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第52話 セイ・アインシトル

 「セイ殿……こちらへ。自分で言える範囲で良いので自己紹介を」

 テヌドットは続けて丁寧な口調でセイを呼ぶと、セイは黙って立ち上がった。

 (まあ追々説明はするだろうし、今は指示に従うか……)

 「ご紹介に預かり……いや、ストラシアのリーダー、セイだ。自分にアインシトルの姓がある事は知らない。主なスキルは[運命(ディメンション)()支配者(ドミネーター)]。他は皆の知っている通りだ」


 セイはいつもの口調で自己紹介すると、テヌドットに視線を送った。

 「ではまず、私がセイ殿の事をセイ・アインシトルと呼んだ理由……」


 「それは、科学次元に登録されている戸籍を確認した所、そこには「セイ」とだけ書かれていました」


 セイはそれを聞いて頭に「?」が浮かんだが、テヌドットの説明はそこからだった。

 「しかしセイ殿の父上である、「コウキ」の過去を調べた所、18歳の時、()()()()()という記載があったのです。我々は更に詳しく調査すると、「コウキ」は別次元、地球から来た人間である事が分かったのです」


 「俺の父が地球人?!」

 セイは思わず声が出たが、もう1つ考えがあった。

 (コウキって……日本人か? なんだかんだ今世の父親の名前知らなかったからな……)


 セイが少し考えていたが、テヌドットの説明はまだ終わっていない。

 「しかしそれは、セイ殿の姓がアインシトルである事にはあまり関係ありません。コウキはその後、ある女性と結婚、そしてセイ殿を出産しました。どうやら当時、セイ殿には()()()()と言われていたそうです」


 セイは立ち上がった。

 「その相手の女性、つまり俺からしたら母親の姓がアインシトルって事なんだな?」

 そこでテヌドットが大きくうなずくと、まだ説明を続けた。

 「そして何らかの理由により2人は離婚、コウキが「アインシトル」の姓を名乗る事はなくなりました。しかし、その数か月後、セイ殿の母親である「アルカ・アインシトル」は1人の娘を産みました」


 セイは点と点が線で繋がったように感じた。

 「それが「アリス・アインシトル」……」

 (なるほど……俺の母親、アルカとは離婚したから、コウキは俺にそれを秘密にしたかったんだな)


 「その通りです」


 セイは大いに納得し、少し満足感を感じた。

 「でもそれは俺に姓がある事、俺とアリスが兄妹である事が分かっただけで世界に関わるような物ではないんじゃないか?」


 「実はセイ殿に関する情報はもう1つあります。それは全次元初のEX神話級スキル[運命(ディメンション)()支配者(ドミネーター)]についてです」


 セイは、自分自身のスキルに疑問を抱いていた事もあり、集中して聞く事にした。

 「皆様は、なぜ「運命の支配者」なのに、「ディメンション」と呼ぶのか、疑問に思った事があると思います」


 (スキル名はシステムの誤訳じゃなかったのか?!

 って事はこの疑問に悩んでたのは俺だけじゃなかったのか……)

 テヌドットは、その疑問を解決するため、全力を注いだと説明した。

 「この事について、我々のシステムやスキルを管理している神域で何かがあったと推測し、調査を行いました。しかし、答えはもっと近く、[聖神路典]にありました」


 するとドウガルーノが反応した。どうやら[聖神路典]の存在は、神話会メンバー全員が知っているわけではないらしい。

 「せいしんろてん……?! オレは聞いた事がないな! 説明を頼めるか!」


 「はい。解説します」

 テヌドットはそう言って、ヲウルトを呼んだ。

 「ヲウルト、今出せるか?」


 打ち合わせに無かったのか、ヲウルトは困惑した様子だった。

 「えっ。大丈夫なんですか?」

 「[聖神路典]を出すくらいなら大丈夫だろう」


 「分かりました……」

 そう言ってヲウルトは亜空間から[聖神路典]を取り出した。セイも、それを生で見るのは初めてだった。

 「あれが……」


 それは、光り輝く装飾などはほとんどなく、見た目はただの地味な図鑑に見えた。しかし、分厚さはかなりあり、遠目から見ても10センチほどありそうだった。

 「これが[聖神路典]です。見た目は地味に見えますが、中にはこの世界にまつわる重要な情報が多く書かれています」


 すると、代表者達から信ぴょう性を疑う声が聞こえた。

 「そんなボロい本、信用できるのか?」


 「世界の命運を任せるにはちょっと質素すぎるような……」


 しかしテヌドットはすぐに証明して見せた。

 「ここには、一つ一つの次元は球体であり、神域はその隙間の空間であると記されています。この事について、ストラシアと農業次元の住民達が農業次元の崩壊時に目撃し、真実である事が証明されています」


 テヌドットの説明により、代表者達は静まり、発表を再開する事になった。

 「話が脱線してしまいましたね。この[聖神路典]には、EX神話級スキルの一覧があり、その上部には、EX神話級スキルの一部を示して、[天創スキル]と書かれていました。

 説明によると、[天創スキル]はEX神話級スキルの中でも、圧倒的な力を持ったスキルだそうです……

 そして天創スキルの所有者は天創者と呼ばれるそうです」


 テヌドットは少し時間をあけた。

 「結果から言いましょう。セイ殿は天創者ではありません。つまり、[運命(ディメンション)()支配者(ドミネーター)]は[()()()()()()]()()()()()()()()


 「なにっ?!」

 その場にいた者全員は[支配者(ドミネーター)]系スキルである[運命(ディメンション)()支配者(ドミネーター)]は[天創スキル]であると。無意識にそう思っていた。


 「[聖神路典]に記されている全ての天創スキルを読み上げます。

 [神話の守護者(ゴッド・ガーディアン)]、

 [永星の勇者]、

 [悪夜の魔王]、

 [白蒼龍(ドラゴニック)()夜空(スラスター)]、

 [運命(フェイト)()支配者(ドミネーター)]、

 [時空(オーバークロック)()支配者(ドミネーター)]、

 [次元(ディメンション)()支配者(ドミネーター)]。

 以上7つが、()()()()()()()()()()


 その時セイは直感で悟った。

 ([白蒼龍(ドラゴニック)()夜空(スラスター)]は[静夜を呼ぶ者(グランド・スラスター)]の最終段階だ!)


しかし次にテヌドットの口から放つ情報は、それ以上にセイと皆を震撼させると同時に、大きな疑問を与えた。


 「それどころか……」

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