表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/101

第49話 獄炎の支配者

 「そろそろですかね。セイさまぁー!!」

 アリスの声が船内に響き、ドアの1つからセイの頭が飛び出した。

 「もうすぐ着くのかー?! 準備はできたぞー!」

 セイもまた大声で返すと、部屋から出て会議室へと向かった。


 セイが席に着く頃には、ヲウルトを除く5人の執行者が集まり、席に着いていた。

 「よし。全員いるな。では始めよう」

 セイは長い机に手を置き、宣言した。


 「ま、もうそろそろ到着するんだよな? アリス」

 セイはアリスに視点をおくると、アリスは頷いた。

 「はい。間もなく神話会本部がある神聖次元の首都、[聖地ルサリナ]に到着します」


 「では、早速本題から入ろう。まず、俺はここで一旦船を降りる」

 セイは、全員知っていると思って話したが、セルトとヌイトは全く知らなかったのか、とても驚いた様子だった。


 「ああ……ごめん。言ってなかったか。実はこの次元に来たのは、テヌドットに呼ばれたからなんだ」

 セルトはセイに尋ねた。

 「じゃ、それで呼び出されたのが神話会本部って事すか? 随分偉そうに呼び出すっすね!」


 「フッそうだな。確かに偉そうだ」


 ヌイトは腕を組み、大きなため息をついた。

 「あっごめん。話が逸れたな。えっと……それで呼ばれたのは、[神話会会議]だ。主に神話会メンバーで構成されるこの会議に、俺が招待された。俺のスキルに何か関係するようだ。こちらは俺が行かなくてはならない。だが……」


 ミカは状況を理解した。

 「戦争への参加は、セイ様は必要ない……という事ですか? すいません、言い方がよくありませんでした」

 ミカは速攻で謝罪したが、セイは全く気にしていなかった。それどころか、その説明に満足した様子だった。

 「そういう事。だから、俺が戻るまで一切の指揮権をアリスに譲渡する。指揮は任せたぞ、アリス」


 「それと、戦争については海洋次元で行われている事以外情報がない。ひとまず最初は状況が分かるまで過度な干渉は控えるように。俺も何か分かったら連絡するようにはするから」

 セイは皆に、慎重に行動するようにと伝えた。


 「俺からは以上だ。何か用件がある奴は?」

 するとマーシュがゆっくりと手を挙げた。

 「よ、用件って程じゃないけど、神話会って意外と変な人が多いから気を付けてね……」


 セイは苦笑いして応えた。

 「まあ、確かに……

 じゃあ、行ってくるよ」


 船を降りたセイは久々の単独行動だったが、神話会本部は目の前だった。セイは初めての神話会本部と、久々の単独行動にワクワクしていた。が、その時、上空から隕石の様な燃える何かがセイに迫ってきた。


 「……え?」

 セイは咄嗟に[神葬]を抜き、氷の盾を生成してそれを防いだ。

 「これ、人だな」

 セイはその炎から感じる気配を強く感じていた。


 「おうおうおう!! よく防げたな!

 でもまだまだ! オレの[獄炎の支配者(フレア・ドミネーター)]を食らいやがれ! [永氷(アイシクル)()支配者(ドミネーター)]!!!」


 炎の中から姿を現したのは、見るからに熱血系な女だった。しかしセイはそれ以上に気になった事があった。


 (え? 今俺の事[永氷(アイシクル)()支配者(ドミネーター)]って呼んだ? 今頃珍しいな……)


 「[爆炎]!!」

 しかしセイがそんな事を考えている間に、[獄炎の支配者(フレア・ドミネーター)]を名乗る女はスキルでセイに襲いかかった。女が指を指した場所が爆発し、勢いよく炎があがった。


 もちろんセイは黙っていなかった。

 「いきなり何するんだ!! [究極者(きわめるもの)]、体術!!」

 セイは剣を持ったまま、凄まじい速度で女との距離を縮めた。


 「なっ?!」

 一瞬で距離を詰め、セイは剣を振った。

 「[明光の一刀]」


 「氷の野郎に負けてたまるか!!」

 突然女はそう叫ぶと、自身の手を爆発させ、その反動でセイから離れ、攻撃をギリギリでかわした。

 「まだまだぁ!! [支配権能]!!」

 すると大きな青い炎がセイを包み込み、その左右に炎の竜巻が現れた。


 「どうだ! その炎はどれだけ冷やしたって消えない、超高温の炎だ!! 氷で太刀打ちできる訳がねぇ!!」


 その時、セイはある事に確信を持ち、そして不敵な笑みをこぼした。

 「そうか、では、見せてやろう。神話を超えた者の力を!!!」


 「[特級支配権限]!! [支配権能上書き]!! 続けて[赤血の鳥籠]!」

 その瞬間、炎の勢いは大きく弱まり、遂には消えてしまった。そして女の手足を赤い鳥籠が覆った。


 「なんだこれ!? 取れねぇ!」

 女はしばらく抵抗を続けたが、鳥籠から斬撃が放たれると、大きな悲鳴を上げた。

 「ザシュッ……」


 「うわあぁぁ!!! 手……明足がぁぁ!! オレの手足がぁぁぁ!!」

 女はその場に倒れ込むと、気絶していた。

 「一応死なせはしない」

 セイは[運命(ディメンション)()支配者(ドミネーター)]を使い止血し、応急処置を施した。すると、


 「遅かったか!」

 今度は見るからに脳筋のマッチョな男が歩いてきた。セイは先ほどのこともあり警戒したが、襲ってくることはなかった。

 「ウチのレヌベータが迷惑をかけたな! 俺はドウガルーノ! [闘神降臨]を持っていて、レヌベータと神話会に所属している!」


 ドウガルーノは全身の筋肉をセイに見せつけながら自己紹介した。

 「安心しろ! お前を逮捕したりはしない! 彼女はいつもケンカっ早いんだ! 特に昔から[永氷(アイシクル)()支配者(ドミネーター)]にはよくケンカを売ってるんだ! 炎を操る以上、氷には負けたくないのだろう!」


 セイは立ち上がった。

 「だとしても俺は[運命(ディメンション)()支配者(ドミネーター)]だぞ…… よくケンカを売ってこられるな」

 レヌベータは気を失ったままだったが、ドウガルーノが答えた。

 「それはおそらく彼女がそのことを知らないからだろう! 彼女は昨日まで魔王次元で監視の任務にあたっていた! かなり長く勤めていたから知らないのも無理はない!」


 「そうか。ところで俺も会議に呼ばれてるんだが、その会場はここか?」

 セイはドウガルーノに尋ねると、彼は大きくうなずいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ