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第47話 神話会からの緊急招集

 「わあ……これは……」

 メサルテは、依頼数を圧倒的に上回る頭の数に困惑したが、気にせずにセイが尋ねる。

 「余った分も買い取りはしてくれるんだよな?」


 「あっはい……

 えっと、これはS級の……こっちはB級のがいち、に、さん……」


 「かなりの量があるので報酬のお渡しは明日になるかと……明日これますか?」

 「大丈夫だ」

 (どうせしばらく暇だしな)

 セイは暇を持て余しているため、即答だった。


 「それと……高難度かつ大量の依頼を完了させたので、おそらくSS級に昇格するので冒険者カードも忘れずにお願いしますね」

 (そんなに依頼受けてたのか……)


 セイは自覚していなかったが、実は冒険者ギルドの4割の依頼を1人で完了させていた。そして、この日のメサルテの帰宅時間は23時を過ぎたころだった。


 翌日、冒険者ギルドではちょっとした騒ぎになっていた。

 「見ろよあれ……一体どれだけの依頼をこなしたら……」

 「俺もいつかあれを受け取れるかな……」

 「いや無理だろ!」

 ギルドのカウンターでは、大量の金貨が山積みにされていた。


 「うわっ……! あれ、全部俺のか?」

 セイが冒険者ギルドに到着すると、山積みの金貨を見て驚愕していた。するとそれが冒険者達の目に留まる。

 「あれ、あいつのか!?」

 「登録時点でS級になった奴だろ?!」


 すると金貨の山の裏からメサルテが顔を出し手を振る。

 「セイさん! こっちです!」

 セイはカウンターへ駆け寄る。

 「なんで最初からここに山積みにしてんの?!」

 メサルテは苦笑いして答えた。

 「あまりに重くて……セイさんなら、昨日モンスターの頭をしまっていたみたいに持てますよね?」

 「亜空間収納か。まあできなくはないけど……」


 メサルテは手を出した。

 「カードを貸してください。SS級にアップグレードしておくので、その間に金貨を仕舞っておいてください! 盗まれるかもしれないので!」

 セイはカードを渡すと、亜空間を生成した。

 「[次元吸収]応用。[亜空間生成]」


 それを見た冒険者達はより驚愕した。

 「おい見たか?! 金貨が消えたぞ!」

 「なんだあれ?!」


 それが聞こえていたセイは少し気まずくなった。

 (めっちゃ注目されてる……メサルテ早く来ないかな……)


 数分後、セイが固まりかけた所にメサルテが走って来た。そしてこけた。

 「いたっ!」

 セイはゆっくり手を差し出す。

 「大丈夫か?」

 メサルテは顔を赤くして素早く立ち上がった。

 「だ、大丈夫ですっ! こちら! カードになります!」

 返されたカードの見た目はあまり変わっていなかったが、Sの文字が1つ増えていた。

 「たまに召集がかかることがありますが、それ以外に変更点はありませんので、お好きなように活動して下されば大丈夫です!」


 「そうか。まあ今日は帰るよ。これくらいの収入があればしばらくは大丈夫だろうしな」

 セイが船に戻ると、アリスが走って来た。

 「神話会から通信が来てますよ!」

 船には動画と音声を受け取り、発信できる通信機能があり、特に連絡先を交換する必要もなく誰でも送ることができる物だ。そして神話会との通信は取り決めで、重要な事は船の通信に入れるようにしてきたのだ。


 セイは艦長室で通信を確認することにした。

 「通信は音声か」

 するとテヌドットの声が鳴った。

 「セイ、かなり急だが、明日に神話会会議が行われる事になった。[聖神路典]の解読で、お前に関わる重要な事が分かった。他の神話会メンバーも召集されるが、お前にも参加してほしくてな。お前は、全次元を救う重要な存在となるかもしれない」


 セイはいきなりの事に意味が分からなかった。すると、

 「ピコンッ」

 また通信の通知が鳴った。


 「ハァ、ハァ……こちら、トスコリカ軍! 現在、ジジッ……と交戦中! ストラ……ジジッ救援を求む! 繰り返す……! こち……うわあああ!!!」

 通信は爆発音と共に切れてしまっていた。


 「何だ? トスコリカって確か……」

 『第7次元、海洋次元の首都です。通信の音声はトスコリカ軍の兵士が戦闘中に助けを求めた物だと思われます』


 「俺は向かった方が良いのか? [未来万視]」

 そこで見たのは、どこまでも水平線が続く海の上で飛び交う戦闘機とミサイルだった。

 『マスターがいなくとも、ストラシアは本来戦艦です。参戦すれば十分に勝利する可能性があります』


 「分かった。ひとまず俺は神話会へと向かおう。それと、アリスを呼ぼうか」

 セイは[念話]をアリスにつなぎ呼び出した。

 「アリス、話がある。艦長室に来てくれ」

 「……? はい。今行きますね」


 

 「失礼します」

 数分後、アリスが到着すると、セイは話を始めた。

 「俺は神話会に行かなければいけなくなったんだが……同時に海洋次元から救援要請が届いたんだ。途切れ途切れだったが、あれはストラシアに救援を求めているとみて間違いないだろう。そこで、俺を神話会本部に届けた後、アリスに一時的に全ての指揮権を渡す事にした」


 アリスは突然の状況に困惑した。

 「えっセイ様なしで戦場へ?!」


 「ああ。えっと神話会本部……えっと」

 『第3次元、神聖次元です』

 「神聖次元から別行動になる。安心しろ、もし早く終わったらすぐに向かうから」


 アリスは完全にはのみこめていなかったが、渋々了承した。しかし、同時に疑問が浮かんだ。

 「また私たちの魔力で次元間渡航をするのですか?」

 アリスはその時の魔力消費がトラウマになっていた。


 「それか、大丈夫だ」

 そういうと、セイは紫の球体を亜空間から取り出した。

 「これは魔力貯蔵球(マジック・ストレージ)、魔力を貯蔵できるんだ。もしもの時のためにあらかじめ俺の魔力の2割を貯めてある。数回の次元間渡航なら余裕でできるはずだ」


 「分かりました……」

 アリスは魔力貯蔵球(マジック・ストレージ)を受け取ると、操縦指令室長のローナに通話をかけた。

 「第3次元への渡航を始めて。セイ様が降りたら海洋次元へ」

 ローナは突然のアリスからの指令に驚いたが、すぐに冷静を取り戻した。

 「分かりましたわ! 今すぐ次元間渡航の準備を!」


 そこにセイが割り込んだ。

 「ちょっと待て! 先にカイルとコーナスに別れの挨拶だけしていかないか?」

 アリスとローナは突然の事に驚いて、すっかり忘れていた様子だった。

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