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第42話 片翼の英雄

 巨大な扉が開くと奥に黄金の王座があり、そこに佇んでいたのは、金と白の冠を被った若い王だった。

 (ひとまず……[鑑定])

 『ベルノーシャ・ヂーナミア

 種族、人間

 出身、第4次元

 年齢、671歳

 適正属性、炎

 所有スキル、レベル3EX級[魔力消費効率上昇][王の領域(KING WORLD)]

 魔法およびスキルを発動する際の魔力消費が三分の一になります。

 周囲に魔力を帯びた圧力を掛け、国王、次元首としての威厳を示します』


 すると、ベルノーシャは勇ましく叫んだ。

 「我こそが、最も偉大で輝かしい第5次元の王、ベルノーシャ・ヂーナミアである!」

 その瞬間、コーナスとアリス、ミカ、セルト、そしてカイルまで物凄い勢いで跪いた。

 (コーナスとカイルは分かるけど……なんで3人まで?)

 セイは気になったが、その答えはすぐに知ることになった。


 『[王の領域(KING WORLD)]の圧力操作によるマスターへの干渉を検知しました。[能力干渉無効]で無効済みです』

 「あっ……」


 「……?」

 ベルノーシャはスキルが効かないのが疑問に思ったようで、不思議な表情をしていた。同時に、コーナスは跪かないセイに驚き、すぐに弁明した。

 「も、申し訳ございません! セイ殿は戦闘に備え常に自身を強化しているのです! その影響で……」


 しかしベルノーシャはその弁明を遮った。

 「もう良い! 全員下がれ!」

 コーナスはかなり焦っていた。

 「しかし……!」


 すると何かを思いついたかのようなベルノーシャはセイ達に話し始めた。

 「勇者カイルの仲間となる予定のS級冒険者パーティ、[片翼の英雄]が……

 現在、行方不明となっている」


 「えっ?!」

 カイルは驚き、悲しそうな表情を浮かべた。

 「[片翼の英雄]は、僕がスキルを授かる前から時々お世話になってた冒険者パーティなんだ。それと、この次元には2つしかいないS級パーティなんだ」


 「なるほど……」

 (カイルがスキルを授かる前から…… もしその[片翼の英雄]が犠牲になっていた場合、カイルは精神に大きなダメージとなる。ただ……)

 「大丈夫。3人は無事だ。[未来万視]で視たから間違いない」


 「ほんと?!」

 カイルは嬉しそうに確かめた。するとベルノーシャは続ける。

 「その[片翼の英雄]を捜索し、全員を無事に連れ戻せ。勇者カイルはその後すぐに魔王討伐へ赴くように!」


 すると(主にコーナスが)大きな声で返事をし、6人は王の間から出た。

 「はっ!!」


 6人は巨大な廊下を歩きながら、[片翼の英雄]の捜索について話していた。

 「ねぇ、[片翼の英雄]が無事なのは分かったけど……3人はどこにいるの?」


 セイは少し考えた。

 「それはまだ分からない。[片翼の英雄]も冒険者パーティなんだろ? 依頼を受けたのなら冒険者ギルドに行って訊けば分かるんじゃないのか?」

 しかしカイルはもじもじしている。

 「えっと……セイさんのスキルでなんとか……ならない?」


 「あぁ。そういう事ね、[未来万視]」


 セイは冒険者ギルドの受付に訊きにく未来を視た。

 「[片翼の英雄]の居場所って分かる?」

 「えっと……セイさんですね。普通はお教えできないんですけど……きっとカイルさん関係ですよね。今調べますね」

 そういって受付嬢は奥に入っていった。数分後、一枚の紙を持って出てきた。

 「[片翼の英雄]は、3日前にブリザード・ドラゴンの討伐依頼のため、[サルエス山脈]に行っていますね」


 「ドラゴン……この次元にはドラゴンがいるのか?」

 「はい。別にこの次元だけではないですが、第5次元は特に竜種(ドラゴン)が多いと言われています」

 セイは少し竜種(ドラゴン)を見てみたいと思った。


 「……」

 「どう?」

 カイルがセイに尋ねた。

 「分かったぞ。3日前に[サルエス山脈]に行ったって」

 カイルとコーナスはかなり驚いた様子だった。

 「[サルエス山脈]、ですか……」

 セイは疑問に思った。

 「え? そんなに危険な地域なのか?」


 カイルは勢いよく説明した。

 「危険どころじゃないよ! 1年中強い吹雪が吹き荒れてるし、なにより、凶暴な竜種(ドラゴン)がいっぱいいるんだよ!?」


 「でも考えてみな。[片翼の英雄]は無事だし、俺らはEX神話級が2人、神話級も大勢いる。大丈夫だろ!」

 セイはカイルを奮い立たせると、強く踏み出して船へと向かった。

 「システム、目的地をサルエス山脈に設定して出発してくれ」


 『目的地、サルエス山脈に設定完了。進行開始します』

 船はゆっくりと動き出した。ちなみにミカ、マーシュ、ヌイトはそのまま留守番になった。


 風景は段々と雪景色が広がって来た、到着するころには辺り一面雪景色で、強い吹雪も吹いていた。

 「詳しい場所は……今から調べるよ。[未来万視]」


 セイは様々な場所を捜索する未来を視る。しかし、かなり時間をかけても[片翼の英雄]を見つけ出すことはできなかった。

 「これは、かなり遠い所かもしれないな。そうだ、カイル。[片翼の英雄]はブリザード・ドラゴンの討伐に行ったらしい。そのドラゴンの生息域って知ってるか?」

 セイはカイルに尋ねたが、分からない様子だった。するとコーナスが何か知っているようだった。


 「ブリザード・ドラゴンは、このサルエス山脈に生息すると言われている、竜種(ドラゴン)の中の頂点に君臨するともいわれているんです。最も凶暴かつ、強力。生息地は……サルエス山脈全体です」


 セイは絶叫した。

 「じゃあ結局何も分かってないって事じゃん!!」

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