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第34話 魔を滅す者

 「「魔王だ」」


 (EX神話級の勇者でもきついのか?)

 セイは疑問に思ったが、コーナスは説明を始めた。

 「あなたも知っているとは思うが、ここ第5次元は、徒歩で移動できるほど第4次元との繋がりが異常なまでに強い。そのおかげで、魔法や剣が発展し冒険者という職業も生まれ、ここはいつしか魔法次元と言われるようになった。しかし、第4次元「魔王次元」との戦争は未だに続いている」


 カイルは真剣な目つきで説明した。

 「第4次元の魔王は、[悪夜の魔王]っていう強力なスキルを持ってる。等級は最低でも神話級。だから僕、対の存在である[永星の勇者]が立ち向かうんだ。だから……君達のリベル戦には参加できなさそうだ……」

 カイルは少し残念そうだったが、何かを閃いたようだった。

 「そうだ! コーナスさん、魔王討伐をセイさん達に手伝ってもらえれば僕らもセイさん達に協力できるんじゃない?!」

 コーナスはセイに視線を向ける。

 「それは取引、だな。あなたがが大丈夫なら不可能ではない、が……その前に、勇者の剣[魔を滅す者]を第9次元に取りにいく必要がある」


 「え? なんでっすか?」

 セルトは思わず声が出たが、コーナスは補足をした。

 「これからカイルが本格的に活動するのなら、勇者の剣が必要だろう。[魔を滅す者]はカイルがスキルを授かる前から発見されていた、使い手である勇者がいなかったため、今は第9次元に展示されているのだ」


 「えっと…展示? 勇者の剣を?」

 セイは単純に疑問だったが、カイルが説明をしてくれた。

 「第9次元「農業次元」は、主要次元連盟の食糧の7割を補っていて、モンスターが最も少ない次元なんだ。それで、貴重品である[魔を滅す者]は美術品のように展示されてるんだ。ちなみに今は鍛冶屋で買った普通の剣を使ってるよ。でも全力を出すとすぐ折れちゃうんだ……」

 「なるほど……それを取りに行くと……」

 納得したセイは、船に残ったマーシュとヌイトに連絡を入れた。

 「事情があって第9次元に行く事になりそうだ。離陸準備を初めておいてくれ」

 

 「えっと……何があったんですか?」


 「まあ色々あったんだ。勇者と、この次元のお偉いさん連れてくから、後で説明する」

 「フンッ! オレ様達の邪魔さえしなければどうでもいいさ!」


 「いいぞ。準備すればすぐ出発できる」

 セイはカイルとコーナスに報告すると、

 「行動が早いな。カイルは先に行っていると良い。私は国王様に報告してから行く」


 王都を出る時も検問があったが、セイの[紋章]とカイルの同行により一瞬で通過する事ができた。


 一方、コーナスは王城、ヂーナミア城に到着していた。

 「共同軍……か……。ただし勇者には魔王討伐に専念して貰わねば……これもヂーナミアのため……」

 

 コーナスが城に入り、王座の間へと進む。

 「軍師コーナス、参上いたしました」

 すると奥から若い声が響いた。

 「入るが良い」

 コーナスが、深く礼をし、入った部屋の奥に座っていたのは、若くとも勇ましい第5次元の王。

 「ご報告致します。先程、ストラシアの代表セイが[紋章]を用いて王都に入り、勇者と私に接触。セイはリベル殲滅共同軍などという物に入るよう交渉をしてきました。その後、勇者の意思を尊重した結果、

 「ストラシアは[魔を滅す者]の回収と魔王討伐に協力し、その後勇者及びヂーナミア騎士団はリベル殲滅共同軍に参加する」という結論に至り、勇者は戦艦ストラシアに向かいました」


 「……お前も行くのか?」

 「……はい」


 「お前には勇者とストラシアの監視を任せる。緊急時は武力行使を認める」


 コーナスは勢い良く応えた。

 「はっ!」


 王城を出たコーナスの目つきは鋭かった。


 「おっ 来たな」

 セイはコーナスの到着を見ると、戦艦内に放送をかけた。

 「今お客人が2人、この戦艦に乗り込む。片方はこの次元の希望、勇者カイル。そしてヂーナミアの軍師のコーナスさんだ。くれぐれも丁寧に接してくれ」


 ストラシア号は着陸時、上部(本来の飛行船なら気体を詰める場所)から4本支柱を出して船を支える、そして下部の後方から、搭乗用の階段が出る。という仕組みになっており、それ以外は上部前方の戦闘機の滑走路からしか乗り降りが出来ないのだ。


 もちろん2人も例外ではなく、下部後方から搭乗した。

 「コーナス!!」

 「遅くなった」

 カイルは満面の笑みを浮かべコーナスに大きく手を振った。

 「では、行こう」


 コーナスは、戦艦の中なのだから殺風景だと決まっている。と思っていた。しかしそれは上部に登った瞬間、驚愕に変えられた。

 そこには、太陽光が差し込む大きな吹き抜けと、噴水、光り輝く球体[バルトコア]など戦艦の中とは思えない風景が広がっていた。

 「これは……驚いたな」

 カイルは珍しく子供の様に走り回った。

 「まあ、子供ではあるし」

 セイは2人を広場まで案内した。


 すると操縦司令室長のローナが駆け足で現れた。

 「次元間渡航の準備ができましたわ」

 「分かった。放送でも皆に伝えてくれ」

 ローナは素早く敬礼をすると、操縦司令室に走っていった。


 「間もなく次元間渡航を開始しますわ。めまいと少々の揺れに注意してください?」

 するとすぐにストラシアは光に包まれた。


 『次元間渡航を開始します』



 『精神安定度40%』

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