表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

29/101

第28話 聖神路典

 「それと、これからは協力関係になるんだ。情報共有はしておくべきだろう。ヲウルト、ゲートを」


 「はい!」

 ヲウルトはそう言って資料倉庫へのゲートを開いた。


 歩きながらテヌドットは続けた。

 「クラークから得られた情報はほとんど【調停】に関する情報だけで、「あの方」に関する情報はほぼ手に入らなかった。リベルのトップがそいつって事だけだ」


 ミカはテヌドットに尋ねた。

 「【調停】以外の異名持ちの情報はもうあるのか?」

 「ああ。くわしくは……【調停】と同時に説明しよう。そして、最近判明したこの世界の事についてもだ」


 6人は少し歩き、資料倉庫に到着した

 「遠かったな」

 セイはは愚痴を口にしたが、テヌドットは少しムッとした。

 「セキュリティだ。侵入されてから時間を稼ぐためにな。さて、本題に入ろう」


 「リベルの異名持ちは8人、序列1位から【調停】サイアン、

【月光】メーノル、

【魔弾】コゥティ、

【悲哀】サラット、

【復讐】セリス、

【愉悦】フラン、

【一刀】クラーク、

【支配】クラインだ。そのうち、【一刀】は逮捕、【支配】は死亡している」


 セルトは現在の情報を確認した。

 「【調停】サイアンは戦闘はできないんすよね?」


 テヌドットは腕を組む。

 「ああ。だが、その護衛として【月光】と【魔弾】がほぼ常に傍にいるようだ。また、2人ともかなり強力なスキルを持っているようだが、詳細は分かっていない」


 「リベルについては以上だ。これからは……世界の構造についてだ」


 アリスはテヌドットに尋ねる。

 「世界の構造って……次元が無数にあるというだけではないのですか?」


 「しかし、神域はどこにある? と聞かれたら?」

 テヌドットはアリスに問いかけ、アリスは少し考え答えた。

 「神域は……次元の1つ?」


 「我々はずっとそう考えてきた。しかし違ったんだ。これは、ヲウルトが召喚した[聖神路典]という書物を解読して得た情報だ。

全ての次元は球体であり、これを[次元球]という。神域とは、26億ある次元球の隙間の空間である。また、次元球は一定の周期で移動するものと、全く動かないものがある。そして、移動する次元同士はまれに衝突(コンフリクト)し、空間が割れる事がある。そうだ」


 壮大な話を聞いたセルトが口を開く。

 「えっと、じゃあ、次元間を移動する時は実は神域に出入りしてたってことすか?!」

 「さあな。そこまでは書かれていなかった」


 「科学次元から都市次元に移動した時は、特に変な空間を通ったりはしなかったぞ」

 セイは、最初の次元間渡航の事を思い出した。


 セイは、科学次元の家で読んだ本の事を思い出した。

 「そういえば、昔読んだ本に「科学者達が、()()()()()()()()()を6つ集め、主要次元連盟を設立した」と書いてあったな。周期とはその次元球の動きの事だったのか」


 ヲウルトは首を傾げた。

 「なぜその本の著者は次元の周期の事を知っていたのでしょうか?」

 テヌドットは考えた。

 「確かにそうだな。この事については引き続き解読を進めておこう。それと、ストラシアは何か情報はないのか? これは情報共有だぞ」


 セイは流石に焦ったが、正直に言うしかなかった。

 「俺達は……有益な情報はほぼ持っていない。すまないが今のところそんな感じだ」


 「フンッ まあいい。これからは協力するのだしな」

 そういってテヌドットは会議を切り上げた。

 「決勝戦は明後日の予定だ。それまでにストラシアからも宣伝をしておいてくれ」


 「分かった」


 こうしてセイとテヌドットは別れ、お互い決勝戦に向けての準備に動き出した。


 神話会内部では、テヌドットとその部下達が忙しくしていた。

 「その資料こっち持ってきて!」

 「宣伝ポスター貼ってきます!」

 「追加分です!」


 一方ストラシアは……

 「暇だな~~あっ マーシュとヲウルトにストラシア勧誘送っとこっと」

 セイはかなり暇を持て余していた。


 『神話級、マーシュ・イナトリスとEX神話級神話(ゴッド)()守護者(ガーディアン)、ヲウルトがストラシアに加入しました。神話級以上の強者が加入した事により、アチーブメント[神話の組織の長]を獲得しました。神話級装備が3つ与えられます』


 「え? それは足りてい……」

 するとセイの目の前に黒い刃の刀と緑の宝石が組み込まれた指輪、そして紺色のローブが出現した。


 『黒い刃の神話級刀、[夜裂(よいざき)]。神話級武器の中で最も切れ味があり、所有者の魔力を吸収する事で、切れ味や刀身の長さを調整可能です。


 最高等級魔法石がはめ込まれた神話級指輪[マジシャン・リング]。魔力や魔法の保存、出力ができる指輪装備の最高等級で、保存量と発動効率が99.98%まで上がった最高級品です。


 かつて最強と謳われた初代勇者【虹の勇者】が愛用していた[虹の勇者のローブ]。高い防御力、優秀な魔力抵抗、都合の良い時だけ起動する認識阻害機能など、様々な効果が発揮できます』


 「いや。これはアリスとミカにちょうど良いな。ローブは……俺が使おう。アリス、ミカ、ちょっとこっちに」

 2人はすぐに来た。

 「これ、セルトだけってのも良くないしな」

 そういってセイは2人にそれぞれ武器を手渡す。

 「えっと……えっ?! いいんですか?」

 (システムで軽く調べたみたいだな)

 「ああ。もちろんだ。長さも変わるしアリスにちょうど良いだろ?」


 ミカはシステムの解説を聞いたのか静かに何かを考えていた。

 「あっ ありがとうございます!」


 「さて、ま。準備はもう別に良いだろ。」


 セイ達は決勝戦当日まで遊んで過ごし、特に準備もせず決勝戦を迎えたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ