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第26話 Rebel System

 移動中の戦艦での尋問が始まろうとしていた。

 テヌドットはまず訊いた。

 「ビルの前にいたモンスターは、お前が放ったのか?」

 「いや、あれはフランの仕業だ。彼女なら、「楽しい」「面白い」と感じたことは何でもするからな。少しでもお前達の足止めを、と思ったらしいがあの女には意味がなかったようだ」


 しばらく沈黙が続いたが、クラークは口を開いた。

 「機密情報以外はすべて話そう。次は何を訊く」

 クラークは行動不能のボロボロの状態だった。しかしテヌドットにはそんなことは関係なかった。

 「ではその機密情報とやらを聞かせてもらおうか」


 「……」


 「……」


 流石に無理だったが、クラークが口を開いた。

 「リベルの異名持ちが8人いることは知っているな?」


 「? ああ」

 テヌドットは突然の質問にすこし困惑した様子だった。


 「では全ての異名とその本名に興味はあるか?」

 テヌドットは腕を組む。

 「既に資料室にその情報はある。序列第一位を除いてな」


 「リベルの異名持ちにおいて、序列は単に戦闘能力で決まる物ではない。本人の特技や技術が組織にいかに役立つかどうかが重要視される。現に、序列第一位【調停】サイアン殿は戦闘に関しては素人と言っていい」


 セイはテヌドットに尋ねる。

 「それは知ってたのか?」

 「いや。全く知らなかった。だが、一番知りたいのはそこではない。」

 テヌドットは真剣に訊いた。

 「お前達のトップは誰だ。本拠地はどこだ。言え」


 「それは……無理な話だ。例え私が戦いで負けても、あの方の話をするわけにはいかない」


 「……あの方? それは神のことっすか」

 セルトが口を開く。そしてクラークはセルトを睨んだ。

 テヌドットはセルトに問う。

 「なぜそう思った?」

 

 セルトは弁解するように慌てて答えた。

 「噂で聞いたんす! リベルのトップは実は神の1柱だって」


 テヌドットは向き直る。

 「あの方というのは神のことなのか? でもなぜだ。お前達は神への反逆者だろう」


 「それがその機密情報だ」


 「私はそれを訊いてるんだ……はぁ……まあいい。では次だ。マフィアのボリ組とセル組、この二つに聞き覚えは?」

 「お前達が訊きたい事は分かった。()()()()()の事だろう」


 「非適応体質?」

 テヌドットは何も知らない様子だった。

 「我々がスキルのような物を使えているのは、あの御方が授けてくださった独自のシステムのおかげだ。

リベルメンバーの全員ではないが、少なくとも異名持ちや拠点の長レベルなら持っていることがほとんどだ」

 「しかし全員がそのシステムに適応できるわけではない。そいつらが行き着く先が、あれだ。自我は壊れ、命令を受けた時しか行動できない。いわば廃人だな」


 「待て、そのシステムは何と呼ばれている」

 セイは何かに気付いた。


 「……リベル(Rebel)システム(System)だ」


 セイは驚きと不快感を隠せなかった。その時、セイの頭にある予想が浮かんだ。

 「ストラルスにはリベルシステムについて何も教えてもらっていない……ストラルスこそ、そのリベルが崇拝する神なのか……?」


 しかしその疑問を晴らす前に、目的地に到着してしまっていた。


 「続きはより細かく詳細まで話してもらうぞ」


 そういってテヌドットとクラークは神話会リーンカム支部に入っていった。


 セイとセルトは緊張が解けたように、ぐったりした。

 「はぁ~~疲れたぁ~~~~」

 「そうっすねぇ……」


 『避難所へ向かいます』

 「ああ、たのむ~」


 (おそらく少なくともストラルスはリベルと何か関わりを持っている。あいつを敵に回したくはなったのだが……)


 約10分後、戦艦ストラシアは無事に避難所へ帰還し、避難民にスピーカーで放送を始めた。

 「脅威は神話会とストラシアの協力によって排除されました。安全が確保された地域は……」


 異名持ち2人が敗れたことで、リーンカムに来ていたリベルメンバーは一気に撤退を始めていた。セイは全員を切り伏せたかったが、今はそんな場合ではないと自分に言い聞かせていた。


 「お疲れ様です。セイ様」

 アリスが出迎えてくれていた。

 「セルト……あなた勝手に抜け出しましたね?」

 アリスはすんごい笑顔だった。多分怒ってる。かなり。


 「い、いや~~これでも自分活躍したんすよ~?」

 小声でセイに合図を送る。

 「お願いします! 合わせて!」


 セイは背筋をしっかり伸ばし、はっきり言った。

 「最後のぶつかり合いでぶっ飛ばされて何もできなかった人は誰だったかなー」


 その夜避難所に雷が落ち、ちょっとした騒ぎになった。


 「ところで……こいつ、セルトもストラシアの仲間になることになった。等級は同じだが多分お前の方が強い。鍛えてやってくれ」

 セイは「お好きにボコボコにしてください」と言わんばかりに改めてアリスにセルトを紹介していた。


 「え……?」


 「もうシステム上でも加入したことになってる」

 

 「は、はぁ……」


 するとミカが飛んできた。

 「ナレディアの片づけは終了しました……あっお疲れ様です!」


 「ちょうどいいタイミングだな。改めて紹介するよ。新しいメンバーのセルトだ!」

 セルトは深々とお辞儀をする。

 「よろしくお願いするっス!」


 「あっそうそう覚えているか? ここにはメンバー集めのためにきたんだ。ストラシアメンバー募集と勧誘を、神話会が手伝ってくれるらしいぞ」


 「それは良かったです! 神話会とは友好関係を結べるということですか?」


 「ああ! その通りだ! まあ協力するのはお互い様だがな」


 「もちろんです! 」


 セイ達が盛り上がっている最中、神話会では尋問が続いていた。


 「ではリベルのトップはその「あの御方」という事ですね?」


 「ああ」


 白と金のローブを着ている少年が、テヌドットに見守られている中クラークの尋問を行っていた。


 「しかし神話会はお前みたいなバケモノを隠していたとはな」

 クラークはお手上げのようだった。

 少年は笑顔で答えた。

 「バケモノとは失礼ですね? あなたは僕よりもっと強い人に負けたというのに」


 クラークは笑い、勢いよく返す。

 「ハッ! 面白い冗談だ。お前の方が強いだろう?

 2()()()()E()X()()()()

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