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第24話 3人の神話級

 テヌドットの覚醒から一夜明け、セイとテヌドットの2人はマフィア2組とリベルのアジトへの突撃準備を整えていた。テヌドットは双剣の手入れ、セイは魔力の増幅と新応用能力の開発を進めていた。


 「そろそろ時間だ。準備はいいか?」

 フィンガーレスグローブをはめながらテヌドットは話した。

 「ああ。とっくの前にな」

 テヌドットは、小さくうなずくと双剣を腰に差し準備を整えた。


 リーンカム自体かなり大きく、郊外といってもナレディアにはかなりの距離だった。

 昨夜、この事も作戦の課題となっていた。2人の休息のため、夜から出発するわけにもいかず、2人以上を転送する魔法はあいにくハルミンは使えない。しかしその問題を解決する方法が一つだけあった。


 「戦艦ストラシアだ」

 当たり前だがテヌドットはセイを睨んだ。

 「盗品を使う気か!」


 「でもそれ以外に方法がないだろう?」


 するとマーシュが疑問を口にした。

 「その言い方からして…その戦艦はすぐに乗れるほど近いところにあるんですか? みたところ近くにはないみたいですが……」


 セイが説明をはじめる。

 「ああ。戦艦ならずっとここの上空にあるぞ。なんで見えないかはー」


 「光学迷彩を使っているからか」

 ハルミンがセイの説明を遮った。

 「リベルが付近にいないか調べるため、気配察知魔法を使った時に巨大な物体反応が上空にあったんだ。術式崩壊が効かなかったから科学次元の何かということはすぐ分かったよ」


 セイはお手上げのポーズをした。

 「ああ。その通りだ。で、テヌドットさんはいいのかなー? じゃこの作戦が成功したら報酬として正式にストラシアの物になる。それまでは、神話会が封鎖した場所にあった物を有効活用した。って事でどうだ?」


 「はぁ……まぁそれなら良いだろう」


 時は現在に戻る。

 「光学迷彩解除」

 するとバチバチと音を出しながら、戦艦ストラシアがその姿を現した。


 アリスやミカ、木田、マーシュが送りに来ていた。

 「いってらっしゃいませ」

 「頼んだぞ」

 「頑張ってください!」


 2人は、戦艦の下部後方から乗り込み、システムに出発の指示を出す。

 「システム、ナレディアに出発だ」

 すぐに戦艦は動き出した。


 『ナレディア中部、設定地点までの所要時間は10分弱です』


 セイとテヌドットの2人は、到着まで戦艦ストラシアの内部を見る事になった。


 「ベルクリア研究所が極秘で造っていた船だからな。私も内部構造や搭載された機能については何も知らない」

 2人は下部から上部への階段を登っていた。

 「上部はただの円柱状の空間だったぞ。俺の改造で今では上部だけで4階構造になっている。訓練場や会議室、食堂とか結構色んな施設を入れてるぞ。ま、人が全くいなくて機能はしてないんだけどな……」


 テヌドットは、セイ達がリベルの壊滅が目標である事と、組織のメンバーをただただ手足のように働かせるつもりでは無い事に気付いた。

 「お前の組織、ストラシア……といったか? 戦艦を正式に譲る事になったら、神話会とストラシアで協力関係を結ぶ事は可能か? もし受け入れられたらメンバーの募集を手伝おう」


 「なんだ? 気が変わったか? 協力関係を結ぶ事は良いし、メンバー募集の手伝いは助かるが、俺達の目標はあくまでリベルの壊滅だ。それ以外の事に協力する事はほぼないと思うが、それでも良いのか?」


 テヌドットは応え、もうひとつの疑問を投げかけた。

 「ああ。今回の件をきっかけに、神話会はリベル対策に本格的に乗り出す予定だからな。それともうひとつ。【愉悦】が言っていた【支配】を殺したとはどういう事だ? 【支配】はリベルの異名持ちの1人だろ? いつの間に……」


 「あーな。それか。科学次元でリベルの拠点を潰しまくってた時に倒したんだ。ベルクリア研究所との繋がりの証拠を見つけたのもその時だ。リベルの科学次元支部とか言ってたな」


 テヌドットは少し呆れていた。

 「はぁ……正直、【支配】を倒した報酬でこの船を贈っても良いくらいだぞ」


 「えっまじで!」


 「もう遅い」


 「えぇ〜……けち」


 そんな話をしていると、システムの声が聞こえた。

 『目的地に到着しました。光学迷彩は起動済みです』


 「助かる。……さて、出てこい」


 「あぁぁぁ……バレとったか…」

 セルトが影から出てきた。

 「すんませんね……2人の戦いが気になったので。後、セイさん組織つくってるんですか?」


 セイはニヤッとした。

 「入るか?」


 セルトは苦笑いして答える。

 「えっと…またバレてました? そりゃあ入れてくださるんならありがたいっすけど」


 「リベルに何か恨みが?」


 「いやいや。別にそんなことじゃなくて。自分は神話級にも通用する強さを持っていたと思ってたんすけど、あなたの部下に現実を教えられましてね……強くなりたいという気持ちが強いっす」

 セルトは続ける。

 「別に自分は生まれも育ちも、金持ちでも貧乏でも、過保護でもない普通なんです。何か特徴が欲しいって時に授かったのがこの[閃光]スキルなんです」


 「なるほどな。まあ事情は分かった。システム、ストラシアに加入させることはできるか?」

 『セルトがストラシアに加入しました。システムが接続され、接続先のスキルが強化されます』


 「あ……」


 セルトのシステムに通知が届く。

 『EXエピック級スキル[閃光]が強化されます。強化完了。

神話級スキル[閃光の刃]を取得しました』


 「え…?」

 セルトも突然の神話級スキルの取得に唖然としていた。

 「どういうことすか?!」

 セイは目をそらしながら答える。

 「あー……なんでだろうな……」


 セルトはシステムから[閃光の刃]の詳細を聞いていた。

 「特に変わってないみたいすね。速さと威力、応用範囲が強化されたみたいす」


 テヌドットはまた呆れていた。

 「それで、お前はくるのか?」


 「新神話級スキルを試すチャンスっす! いかせていただきます!」


 こうして準備を整えたのち、3人は飛び降りた。

 「テヌドットかセルト、殲滅系の技はあるか?」

 「新技試させていただきますね!」

 セルトが勢いよく地面に到達した瞬間、技を発動させた。


 「[時雨(しぐれ)]」

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