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第1話 襲撃

 1万5千年前に神域で勃発し、後に神域戦争と呼ばれるこの戦争は、約二千年続きおよそ三分の一の神が命を落とした。

 神域戦争勃発と同時期、ある次元の科学者達は

 「神が減っている今、人類が協力し合うことが重要である」

 として周期が近かった次元を6つ集め、主要次元連盟を設立した。


 少し埃くさいデータ資料室でこの世界の歴史について調べていた少年、セイはかなり大きめのため息をはいた。


 「マジで異世界じゃんこれ……」


 そう、セイは地球の日本から転生してきた元日本人である。ちなみに死因は

 [()()()()()()()()()()()()()()()()]である。


 今年、(身体)年齢は10歳になるセイは、第二次元「科学次元」の郊外の有力科学者の下で生まれ育った。

 次元とは1つの宇宙の事で、約22億あると言われている。ただし、それ以上の詳しい事は分かっていない。強いて言えば地球もその中の1つという事だけだ。


 その内の1つ、第二次元「科学次元」とは、主要次元連盟に加盟している次元の一つであり、ベルクリア研究所を中心とした科学技術が最も発展している次元である。


 地球の視点で言ったら近未来の世界のようだった。しかし自然の木も多く生えており、景観はかなり良い。

 そして主要次元連盟に加盟している次元で生まれた子供はみな、10歳になると教会にてスキルとゴッドシステムを授かる。


 スキルは特殊な魔法や技術の事で、だれでもいくつかは持っている。

 また、スキルは主に3種類に分けられる。

 斬撃や弓矢などの技術を会得すると取得できる[技術系スキル]、

 8つの属性に分けられる魔法を放つ[魔法系スキル]、

 そして自身もしくは仲間を強化する[強化系スキル]がある。

 どのスキルも鍛錬をすれば儀式を行わなくとも取得できる可能性があるが、その可能性は限りなく低く、0に近い。その中で言えば[技術系スキル]の取得が比較的確率が高いようだ。


 そしてどうやらこの世界の生物の体内と空気中には「魔力」が存在している、ほとんどのスキルの発動にはこの魔力が必要となり、枯渇すると体が動かなくなったり自我を失い暴走する可能性があるそうだ。


 これまで調べた中で最も聞いたことがないのは「ゴッドシステム」の方だ。これは脳内に直接話しかけてくる体のない案内人のような感じで、神域とつながっているらしい。スキルの取得も、このゴッドシステムがないとできないそうだ。


 この世界の仕組みについてまた少し詳しくなったところで、細々しい頼りない男の声が聞こえた。この次元ではそれなりに有力な科学者。俺の今世の父親だ。

 「そろそろ行くぞ」


 ちなみに母親は別の次元に調査に行ったっきり、何年も帰ってきていないらしい。

 そういう訳で俺、セイもスキル取得の儀式に出るのだが、その前に俺の恥ずかしすぎる前世の事を軽く紹介しておこう。


 前世の俺、神崎昴流(かんざきすばる) は日本産まれの日本育ち、生粋の日本人である。42歳独身。アラフォーのおじさんである。ほぼ帰らずに9連勤の後、疲れきった状態で風呂に入ったら、まあこんな風に転生したって訳だ! 皆は気を付けろよ!


 てことで俺の紹介はここまでにして…


 この世界でのスキル取得の儀式はかなり重要なことのようで、父親と数人の護衛も同行し、ちょっとした集団で教会に行くことになった。


 科学次元では、科学技術や法則を大きく覆す存在として、システムやスキル、それらを提供している神々とルサリナ教がひどい扱いを受けているそうで、教会の数がかなり少ないのだ。つまり、家から教会までがかなり遠いのである。

 なので、俺達は前日の夕方に出発することになった。


 ちなみに、科学次元といわれるほどだし、ワープの技術もあるにはあるが、儀式の日の前日ということで予約できなかったそうだ。なのでこうして地道に車で行くしかなくなったのである。ただ、有力な科学者というだけあって、リムジンのように広い車内はかなり快適だった。


 「いいか。例えどれだけ強力なスキルを授かっても、神がいつ裏切るかは分からない。科学こそが人類の希望なんだ。スキルに頼りすぎるなよ」

 父親は、セイに念を押すように注意した。


 いつの間にか日は暮れ、夜になってきていた。

 科学が発展した次元で空にはいくつかの宇宙船が浮いていたが、それは想像もできないほど大きく、壮大で、綺麗な夜空というには十分だった。


 (俺は夜が好きだな……別に前世から好きなわけではないが、転生してきてから無性に夜が楽しみになっている……)


 夜はかなり暗い、人の気配がしない森を通ることになっていたため、見張りをつけて野宿をすることになった。まあ野宿といっても、簡易的な部屋を出せるため、セイ達は深い眠りにつくことができた。


 しかしこの時、セイたちは、とある集団に包囲されていた事に気付いていなかった。


 「ゴー!(行け!)

 黒い服装で草むらに身を隠していた集団が一気にセイ達に襲い掛かる。


 「なんだ?!」

 「襲撃だ!! 迎え撃て!!」


 護衛の一人が急いでセイの父親の傍に行ったときには、すでに遅かった。


 「あがっ……!」


 セイの父は喉を搔き切られ、胸をレーザーで貫かれていた。しかしその時、その場にいないセイに、何かを伝えようと口を開いている事に、誰も気が付かなかった。

 「セ、イ……お前には……い…………」


 その後あっという間に護衛は全員制圧され、昴流の第二の人生も終わったかのように思われた。実際、セイの首に刃が通る寸前だった。しかし、その瞬間、


 青白い光と衝撃波とともに爆発が起き、周囲の物を吹き飛ばした。それと同時にセイも目を覚まし、魔力に覚醒した。しかしセイは自我を失い、叫びながら魔力の塊を投げつけまくった。


 「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛‼‼‼!」

 セイは周囲の木々や草、護衛の遺体をも吹き飛ばす勢いで暴れた。セイは膨大な魔力により体の制御ができなかった。


 「た、助け……」

 命乞いの声もあったが、セイは謎の集団を完全に制圧していた。

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