表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/101

第17話 魔神剣騎士の実力

 第199回第1次元武闘大会決勝トーナメント。3日目、第二回戦が始まろうとしていた。


 「【不滅の吸血鬼】ドスタレト選手は第1回戦にて逮捕されたため、【大地の支配者(アース・ドミネーター)】マーシュ選手の不戦勝となる!!」


 「続いては、あの人類最強!【魔神剣騎士】の第2回戦だ! 対戦相手は第1回戦を一瞬で制した【禁忌の魔法使い】!! ハルミン!!

 2人のスキルをざっくり解説しおこう!! まずはテヌドット選手の[魔神剣騎士]!! あらゆる剣を使いこなし、人類最強の剣術を会得している彼の剣は因果を無視するといわれているぞ!!


 対するはハルミン選手の[禁忌の魔法使い]! [魔神剣騎士]に劣るEX伝説級だが、[魔神剣騎士]の魔法版のような効果だ! 本来1人1つの適正属性が、ハルミン選手は無制限! しかも魔力量はなんと177億あり! 隙のない攻撃と防御、回復が可能なオールラウンダーだ!!」


 魔法に興味があるミカは、憧れの人のようにモニターを眺めていた。


 スキルの一部である魔法系スキルには8つの属性、炎・水・氷・雷・地・風・光・闇がある。1人1人に1属性の適正があり、ごくまれに2つ以上の属性に適正がある者が生まれるそうだ。また、ほとんどの魔法は魔導書を読み、内容を理解するか、自分で魔法を開発する事で会得できるのだ。


 光属性と闇属性を除く、それぞれの属性の頂点が[支配者(ドミネーター)]系と呼ばれるスキルなのである。現在炎、水、雷、地、風属性の[支配者(ドミネーター)]は神話会のメンバーである。ちなみに[運命(ディメンション)()支配者(ドミネーター)]は例外でどの属性にも属さないし、[鋼鉄(アイアン)()支配者(ドミネーター)]は地属性の派生として存在している。


 「そういえば俺、自分の適正属性知らないな……

 しかしやっぱその制限が全くないのは強いな……」


 ちなみにテヌドットも光と闇の2属性に適正がある稀な存在だ。


 このようなことを考えている間に、対戦する2人の準備は整ったようだ。

 「では2人の入場だ!!」

 金と紫の鎧を身に纏ったテヌドットが、凛々しい姿で登場した。


 反対からはローブを被り、瘦せこけた魔女のような姿があった。

 「あれが……ハルミン……?」


 彼女が公の場に姿を現すことはかなり珍しいらしく、第1回戦を見ていない一部の観客達はざわついていた。


 しかし実況は試合を始めたくてうずうずしているようだ。

 「両者準備はできたか? では、試合開始!」

 テヌドットは深々と礼をした後、目にも止まらぬ速さでハルミンと距離を縮めた。

 「ヒュンッ」


 しかしハルミンはテレポートで回避し、反撃を仕掛けた。

 「炎火の柱(フレア・トルネード)!!」


 柱のような炎の竜巻が闘技場内に現れ、テヌドットの行く手を阻む。


 テヌドットが紫の魔剣「ゾルディクス」を振るう。すると炎火の柱(フレア・トルネード)の術式が崩壊し、魔法が消え去った。


 驚き、一瞬だけハルミンが固まった瞬間、テヌドットはいつの間にハルミンの目の前に来ていた。


 テヌドットは双剣で同時に斬り掛かるが、ハルミンの自動防御魔法が発動。

 テヌドットの刃は弾かれたが、「ゾルディクス」によってその術式は崩壊した。が、ハルミンが距離をとり次の魔法の準備をするには十分な時間だった。


 「せっかくここまで来たんだ。 悪いが負ける訳にもいかないのよ」

 ハルミンは不敵な笑みを浮かべ8属性全ての魔法を同時展開した。


 「なっ……!?」

 テヌドットはかなり驚いていた。


 それもそのはずだ。魔法の同時展開というのは3つの属性魔法を使いこなすより難しいと言われており、しかもそれを違う属性、同時に8つという人間離れした技を見せたのだ。


 ちなみに本来、適正属性以外の魔法を使うこと自体は出来るが、威力や効力が著しく低下する。そのため、普通は1人1属性使用が常識となっているのである。


 ハルミンが展開した魔法のほとんどは遠距離攻撃魔法だった。

 すぐにかなりの速さで発射され、テヌドット目掛けて飛んで行った。


 8色の閃光が空気を切り裂きテヌドットへ襲いかかる。


 すると今度は神剣「アミリクス」が効力を発揮する。

 アミリクスが金色に輝くと、テヌドットは回復を受けると同時に身体能力が大幅に強化されたのだ。


 アミリクスの回復により万全の状態となったテヌドットは、これまでより速い速度でハルミンに斬りかかった。

 「ハアアッ!」


 「ガキッ!」

 テヌドットの刃がくい込んでいたのは、ハルミンではなくハルミンが生成した岩と氷の混合物だったのだ。

 彼女は最高の比率で岩と氷を混ぜ、強度と柔軟性を生み出した。


 さすがの魔法制御力だ。そもそも2属性の合成自体、2属性使える人が居たとしても戦闘中に行える事ではない。

 ハルミンはその魔法制御力を生かし、触手のようにうねうねしている形成物を操り、テヌドットの剣を捌いていた。


 ゾルディクスが形成物に触れる度、一部が崩壊するがすぐに再生成し再び襲いかかる。


 「クッ…これでは埒が明かない……」

 テヌドットは双剣を交差させ、2属性の反発を利用し爆発的な威力を持った斬撃を放った。


 この斬撃とハルミンの咄嗟に放った、炎・水・雷・氷の4属性混合魔法がぶつかり合い、大爆発が起き会場は沈黙した。


 煙が晴れると、そこには砂埃だけが鎧に付いた無傷のテヌドットがまだ凛々しい姿で立っていた。

 ハルミンは膝から倒れ込み、気を失っていた。


 「勝者は! [魔神剣騎士]! テヌドットォォ!!」


 テヌドットは、360度の観客に何度も礼をし、退場して行ったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ