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第16話 支配者同士の闘い

 「さあ! 今大会も3日目に入り興奮も最高潮だ! ついに待ちに待った[支配者(ドミネーター)]対決だ!」

 「まずは期待の新星! 【鋼鉄(アイアン)()支配者(ドミネーター)】を見事に倒しリベルの陰謀を阻止した! [永氷(アイシクル)()支配者(ドミネーター)]!! セイ!!」

 セイは黒い瞳を輝かせ、静かに入場した。

 「対するはテヌドットに次ぐ神話会のナンバー2!!! 地球次元からの迷い人! 腰の[雷鳴刀]はいかような威力か?! 【雷撃(エレクトリック)()支配者(ドミネーター)】!! 木田シンイチロー!!」

 サラリーマンかのようにスーツを着て、腰に刀を携えた男が会場に入った。


 「……え? 対戦相手が地球出身?!」

 セイは何も知らなかった。

 セイが少し混乱している間に、試合は始まっていた。


 「最初から全力で行かせてもらうぞ! [雷装]!!」


 木田は雷を纏い、セイに刀を振りかざした。しかしセイは一切動じず氷の柱で防ぐ。

 「フンッ」

 そこでセイは距離を縮め、木田に語り掛けた。

 「後で話をさせてくれないか?」

 「何か用か?」

 木田は軽く返し、刀でセイをはじき返した。


 木田は天候を操り、雷を大量に落とすが、セイはさりげなく[未来万視]を使い、ギリギリでよけ続けた。

 しかし避けてばかりでは勝てない。セイは同時に[永氷の槍(アイシクル・ランス)]を展開した。

 1秒間に20発の槍を発射し続けたが、木田は冷静に電撃で撃ち落としていった。


 実況の声が響く。

 「一瞬の隙も逃がさない激しい攻防だ! 戦況がなかなか読めない!」


 氷の剣と雷鳴刀がぶつかり火花が散る。

 「埒があかないな……」

 しかたない。セイは久しぶりのあのスキルを使うことにした。

 「殺さないよう威力を弱めて……」


 「[赤血の鳥籠]!!」

 木田の足元に魔方陣が現れると同時に、巨大な赤い鳥籠が木田を包み込む。

 木田は奥義を使い、鳥籠の破壊を試みた。


 「切り裂け! [雷神撃]!!」

 強力な雷を纏った刃がすさまじい速度と威力で鳥籠に切りかかった。


 「ガキンッ!」

 大きな金属音と雷鳴が鳴り響いた直後、無傷の鳥籠が斬撃を放つ。


 無数の斬撃が木田を切る。

 「な…に…… お前のスキル…は……」

 木田は体中に傷を負い、少し混乱していたようだった。しかし木田は立っている。

 セイはすかさず[永氷の槍(アイシクル・ランス)]と氷の柱で追撃を開始した。


 流れを奪われた木田は、雷の速度でセイの攻撃を全てよけ続けていた。

 時々雷神撃が飛んでくるが、俺は棒立ちのまま氷の柱で防ぎきる。

 氷で防いでいるとはいえ、雷神撃の威力はかなり高く、セイが生成する氷が一撃食らうごとに使い物にならなくなっているのだ。


 すると再びセイに雷が落ち始めた。しかも数がかなり多く、全てを避けきるには実質瞬間移動の[時空移動]が必須だった。俺は氷を大量に生成し、身を隠しながら[時空移動]を発動した。


 「初戦でこれを使うとは思わなかったぞ!」

 木田は突然叫び、最終奥義の準備を始めていた。

 木田が雷鳴刀を高く掲げると、そこに他とは違う色の雷が落ちた。

 「[完全武装:金雷]!!」

 雷の中から現れた木田の雷鳴刀は金に輝いていた。

 見たらわかる。あれは媒介が電気を通す通さない物体関係なく、触れるだけで感電し焼かれる刃。


 「[真電:雷神撃]!!!」

 黄金の刃がセイに向かってくる。しかしセイは棒立ちのままだった。ただしこれは絶望でも、放心でもない。

 「[対面一体]」

 その瞬間、黄金の斬撃は無へと還り、代わりに木田が同威力の一撃を食らい倒れ、失神状態となっていた。


 「木田シンイチロー選手、戦闘不能! 勝者は【永氷(アイシクル)()支配者(ドミネーター)】! セイ!!」

 これまでの試合で最も大きい歓声が会場を、リーンカムを、都市次元を包み込んだ。


 観客席からの歓声と興奮が収まらない中、試合が終わり治療を受けている木田に歩み寄った。


 男は少し気難しそうに

 「それで……用件は何だ」


 セイは信じてもらえるか自信を持てなかったが、話した。

 「信じられないかもしれないが、俺も元日本人なんだ」

 俺は転生者である事を隠すつもりは全くなかった。そのままセイは続けた。

 「なぁ、迷い人って言われてたが何があったんだ?」


 木田は静かに語りだした。

 「まあ隠すような事ではないし良いだろう……近頃、地球にはよく空に空間の裂け目が出ることがあったんだ。世界中の科学者や専門家が解析したが、何も分からず、すでに調査中に科学者2人が裂け目に吸い込まれ行方不明になっていたそうだ」


 「私は道端に発生した裂け目に吸い込まれ、気付いたらこの世界にいた。その時謎のシステム音声が聞こえてスキルなる物を授かったんだ。

 今度は私からの質問に答えて貰おう。元日本人とはどういう事だ?」


 「俺は転生者ってやつだ。前世の俺の名は神崎昴流だ。他に何か証明が必要か?」

 木田は意外にも興味が無さそうに返した。

 「いや、いい」

 そうやって木田は控え室に戻って行ったのだった。


 しかしセイはこの世界に日本人がいると分かっただけで少しほっとしていた。


 『神話級を2人倒しました! アチーブメントを獲得しました! [特級支配権限]を取得しました』

 「何それ?」

 『[特級支配権限]は、[支配者(ドミネーター)]スキルの性質改変にて矛盾が生じた場合、マスターの優先度が最高値になります』

 よく分からんが、多分「[支配者(ドミネーター)]スキルが強くなる」という事だろう。


 こうして波乱の決勝トーナメントは、第2回戦へと進んだ。

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