表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/101

第14話 支配権能

大会を見なくていい。見たくない。という方は第21話の、神話級一同「み、見えない?!」まで飛ばしても大丈夫です。決勝戦まで飛びます。

 「では互いのスキルについて軽く解説しておこう!

 アリス選手の【静夜を呼ぶ者】は、物理法則や因果、いかなるスキルを無視して対象を斬り裂く事が出来るぞ!!

  対してマーシュ選手の【大地の支配者(アース・ドミネーター)】は、神話級の中でもトップクラスの強さを誇る【支配者(ドミネーター)】系統のスキルで、大地を操る能力で地形を操ったり、岩などを無限に生成して発射する事もできる! 色々なカードを持っている強者だ!」


 「それでは【静夜を呼ぶ者】アリス対!【大地の支配者(アース・ドミネーター)】マーシュ! 試合開始!」

 鼓膜が破れるかと思う程の歓声が上がり、第1試合が始まった。セイは選手専用の観戦席から戦いを見守る。隣のテヌドットがかなり睨んでくる。勘弁して欲しいものだ……


 そんな事を考えている間、アリスはいつの間にか劣勢となっていた。マーシュが形成する岩を斬る事は出来ているが、マーシュのカバー力と岩の数がそれを上回り、優位に立っていたのである。


 「くっ……! これでは埒が明かない! ならば!」

 アリスは新エピックスキル[集中]でマーシュの攻撃を見極め、最低限の動きと最大限の威力で反撃を始めた。

 アリスは攻撃の密度を高め、より速さを求め、戦いの中で成長し続けた。マーシュはギリギリ届いた斬撃を何とか避けていた。


 この一瞬でマーシュの体術のレベルが高くはない事を悟ったアリスは、ほぼ垂直の岩肌を駆け上り剣が届く間合いにまで距離を縮めた。マーシュはきょとんとしていた。が、すぐに状況を把握した。

 「あれを登ってくるなんて!」

 マーシュは急いで岩を生成し、攻撃を防ごうとするが、アリスの猛攻がそれを上回る。アリスが目にも止まらぬ速さで剣を振るい、着々とマーシュのダメージを増やしていく。


 流石にまずいと状況を酷視したマーシュは、新たに無数の岩の柱を作り上に乗った。

 「この! これでもくらえっ!」


 余った柱をアリスにぶつけていく。しかしアリスはすぐにマーシュの位置を確認し、飛んでくる柱を切り刻み、避けながら着実に距離を詰める。が、岩の柱を触手の様に操るマーシュは常に距離を取って戦っていた。剣の間合いに入る事を恐れているのだろう。

 「やはり剣が届かない……」

 アリスはスキルの事もあり、適正武器は片手剣だが、本人はリーチの狭さに不満を持っていた。

 だからセイは、あのスキルを譲渡していた。

 「[黄金の武器庫]!!」

 アリスは剣よりリーチの長い、スピアーを持ち出し、物凄い速度で柱を飛び移りながらマーシュに近づく。


 「くっ……! [岩の鎧(ロックド・アーマー)]!!」

 マーシュは岩の鎧を身に纏い、逆にアリスに距離を詰める、アリスは今を好機と思ったのだろう。

 「はあぁ!! [グランド・スラスト]!!」

 しかしアリスの刃は岩の鎧を貫けず、傷もほとんどついていなかった。


 あれが[支配者(ドミネーター)]系が神話級の中でも最強と呼ばれる理由だ。

 [支配者(ドミネーター)]は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ができるのである。

 おそらくアリスの[グランド・スラスト]を防いだあれは「刃物でのダメージを無効化する」という性質でも追加したのだろう。


 例えば、【獄炎の支配者(フレア・ドミネーター)】なら熱くない炎を出したりできる。このように、[支配者(ドミネーター)]スキルはむちゃくちゃなのである。


 戦闘に戻る。

 そしてアリスの[グランド・スラスト]を止めたマーシュは、すかさず岩で重さを増やし、威力を強化した拳をアリスの腹に叩き込み、周囲に衝撃波が走った。


 「……」

 闘技場ではしばらく沈黙が続いたが、数秒後アリスは静かに倒れ込んだ。

 審判が大声で叫ぶ「アリス、戦闘不能!」

 「勝者は【大地の支配者(アース・ドミネーター)】、マーシュゥゥゥ!!!!!!」


 マーシュは[岩の鎧(ロックド・アーマー)]を解除すると、すぐ座り込んだ。

 刃物でのダメージを無効化しても、流石に多少は衝撃が伝わっていたようで、[グランド・スラスト]が当たった自分の胸に手を当てていた。


 「アリスもかなりの強者だった! 神話級同士の激戦をありがとう!」


 この大会には神話会から来た、神話級にも匹敵する高ランクのヒーラーがおり、即死レベルの致命傷でなければ即時に完全回復出来るそうだ。

 数分後、回復を受けた両者は、ステージ上で厚い握手を交わし多くの歓声と拍手を浴びたのだった。


 控室に戻ったアリスはしばらくぶつぶつと何かを考えていたので、話しかけないでおいた。

「あの性質は……なら[黄金の武器庫]で対応できる武器は……」


 マーシュは、勝った方が次の対戦相手である第2回戦の対戦カードを険しい表情で睨んでいた。


 「【不滅の吸血鬼】ヴォルトデア・ドスタレト vs 【夢物語】セフィー」

 ドスタレトの[不滅の吸血鬼]は神話級スキルなのに対して、セフィーの[夢物語]は伝説級と不利ではあるが、[夢物語]で発生させる[夢霧]という霧を吸い込めば、大幅な弱体化と記憶の混乱、中毒状態とあらゆる状態異常とデバフがかかる。もちろん本人はこの効果を受けなく、指定した場所に斬撃を出現させるEXエピック級スキル[斬]でとどめを刺す。

 セフィーは伝説級とは思えないほど強力なスキルを所持しているのだ。


 対してドスタレトは、第4次元、魔王次元出身の吸血鬼。神話会の1人で「神話会一の狂人」と言われている。本人は礼儀正しいのだが、かなりのサイコパスで命を軽く見る事が多いのだ。


 思っていたより早く第2試合開始のアナウンスがなり始めた。

 「【不滅の吸血鬼】ヴォルトデア・ドスタレト対! 【夢物語】セフィーの対戦が間もなく始まります! 観客の皆様は座席にてお待ちください!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ