第12話 都市次元
『次元間渡航機能を起動。移動準備に入ります……』
3人に緊張が走る。
『完了。移動開始』
戦艦ストラシアが光に包まれ、少し揺れる。
「バチバチッ!」
光が収まるとストラシアの周りには数えきれないほどのビルが建っており、それぞれがとても高い。テレビで見た光景、無事についたようだ。
「ここが[第一、都市次元]か……」
セイ達は新しい次元、新しい冒険に心躍らせながらも、少し緊張していた。
「さて……と、まずはメンバー集めだな」
戦艦ストラシアが到着した場所は、ナレディア。第1次元首都リーンカムの郊外で、他の場所より少し治安が悪い事で知られている。
リーンカムに住めるのは数少ない富豪で、そこに住めなかった人達が流れてくる場所となっており、いくつかのマフィアが敵対している激戦区でもある。
なのでナレディアは、別名「観光客殺し」と言われている。軽い気持ちでは絶対に入っては行けない場所だ。
(まあリベルに関係ない限り、俺達が首を突っ込む事でもないな)
と思いながら、俺達はリーンカムへと向かった。
「カンッ カキンッ」
マフィアか何かが艦体に銃を撃っているのだろうか。まあこの戦艦には[物理攻撃無効]の能力が付与されているので、無視した。
数分後、戦艦はリーンカムへ到着したが、早速警官に止められた。そりゃあそうだが。
「はーい。ちょっと待って〜。なんでこんな飛行船できたの? 飛行許可は取った? 着陸場所は?」
「はぁ……[運命干渉]」
警官は無に還った。
『戦艦ストラシアの光学迷彩は現在利用可能です』
「今すぐ使ってくれ!」
するとミカから真剣な表情で会議室に呼び出された。
会議室に着くとそこにはミカとアリスの姿もあった。
「突然すみません。どうしても気になる事があって……」
「なんだ? 何か気に入らない事でもあったか?」
食べ物はいくらでも生成できるし、娯楽もできるだけ揃えたつもりだ。じゃあ何なんだろうか。
「メンバーはどうやって集めるおつもりですか?」
「……」
「……」
しばらく沈黙は続いた。
「何も考えてなかった。とりあえずリーンカムに行けば何とかなるだろうって思ってた。すまん」
どうしようか迷いながら窓を見ると、何やらドーム状の建物の周辺に人が集まりにぎわっていた。
降りて見に行ってみると、ポスターが多く張られていた。
「第199回武闘大会参加者募集中!」武闘大会は第1次元の名物で、全次元から強者が集まり、神話会のメンバーも多く出ることで有名だった。
これだ! セイ達はすぐに受付に向かった。
「あっ! [永氷の支配者]だ!」
神話級スキルを授かる人が現れるのは10年に一度といわれているため、俺の事はニュースなどで広く知れ渡っていた。もちろん[永氷の支配者]として。
受付の女性は、テンションが上がりながら言った。
「今年もテヌドット様もご出場されますし、激戦の予感がします! 本来は予選の通過が必要ですが、セイ様は神話級であることが確認できていますので特別出場です! 健闘を祈ります」
「2人も強さを確認するいい機会だ! 出場したらどうだ?」
セイはアリスとミカも誘った。
「そうですね……せっかくですし」
意外と2人は乗り気だった。
「しかし予選が免除されるのは神話級の方でして……」
「ああ 2人も神話級なんだ。ニュースに出てないだけ」
一瞬女性は驚いたが、冗談かと思ったのか。軽く流されてしまった。
「えっと……本当は普通に予選を通過していた方とかですか?」
「嘘だと思うならシステムを繋げてみたら?」
実は両者の同意があれば、システムを繋げて相手のスキルの等級を調べる事ができる。スキルを授かった時の認定もこの方法で行われる。
(もちろん俺は[運命の支配者]で隠したが)
受付の女性のゴッドシステムとアリス達のゴッドシステムが接続される。
『アリス、ミカ・フィンダーのスキル等級を確認します。2名とも神話級スキルを所持しています』
「えっ?! わっ分かりました! 今手続きいたします!」
数分後、無事に手続きは通り、明後日からのトーナメントに出場できることになった。
「さて……と、観光でもするか!」
セイ達は戦艦の光学迷彩を起動させたまま上空に停止させ、思いっきり観光を楽しむことにした。
歩いていると、そこら中に洒落たカフェや様々な専門店が多く立ち並んでおり、食べ歩きの店も多くあった。
「ここの店のパンもおいしそうですね!」
2人はかなり興奮していたので自由行動ということにした。
「じゃああっちの繁華街いこっ ミカ」
「いやいやリーンカム博物館へ行きましょう! 主要次元で最も展示数が多いそうですよ!」
……まぁ仲がよさそうなら何よりだ。
セイは確かめたいことがあり、ナレディアへ向かっていた。
戦艦がナレディア上空を通過した時、何発か銃弾が当たっていたがそれらはダメージにはなっていなかった。しかし1つだけ、少しだがダメージが入った痕跡があったのだ。しかもそれは弾跡ではなく斬撃だった。
つまり[運命の支配者]の防御を少しでも貫通するほどの威力だったということだ。
『戦艦ストラシアにダメージを入れた場合最低でもEX伝説級、もしくは神話級の可能性があります』
「確かテヌドットも武闘大会に参加するため第1次元に来てるんだったな。奴か?」
『テヌドットは第1次元に来て以来、常にリーンカムにおり大会に向けての調整に専念しているようです』
そこでセイは未来を見通せる[未来万視]を発動。
その斬撃の元は…1人の老人の男だった。しかし[未来万視]はそこで途切れてしまった。
「もうそのまま向かうしかないか……」




