表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
れぎおん  作者: 稲葉 鈴
3/8

3.

短め

 部屋へと戻る。

 このビルに来た最初の頃は上り下りが苦痛だったけれど、もう慣れた。

 二階の掲示板に寄って、明日は昼から外に出ることを確認して、バルドヴィーノのオフィスを覗いて一言二言会話して、部屋へと戻る。部屋を出た時のいつもの行動だ。

 部屋はカードキータイプ。昔は機能していたんだろうと思うけれど、今はそんなもの機能していない。つまり鍵などない。

 まあそれでも特に問題はない。入ってくるのは同僚だけだ。大体の場合はチームメイト。

 部屋に入ってすぐの所にスロットがあって、昔はそこにカードキーを差し込むと電気がついたらしい。今はそんなものはない。部屋の中のテーブルに置いてあるランタンがすべてだ。まあ、中央から支給されているランタン型のライト、なんだけれど。

 窓際に机、壁際にベッド。フロアには生きてる水道がある。通りかかるたびにとりあえず水を汲んで部屋に持ち帰る。他のフロアの水道は死んでいるのもあるから、この階は大人気だ。その代わりに部屋はシングルしかない。

 ツインの部屋や広くて死んでるミニキッチンのついた部屋なんかはこのフロアにはないけれど、そこの連中も基本はこのフロアのミニキッチンから水を汲む。調理をする奴はいない。

 コンロ死んでるからな。生きてるコンロは食堂に集まってる。わたし達には食堂があるから、コンロはいらないんだ。

 部屋を入ってすぐの所に、収納ラックがある。見た目よりは沢山入るのがありがたい。

 着替えなんてそんなに持っていないから、ここは割とスカスカだけれど、装備品を床に直置きしなくていいのは利点だと思っている。気にしないヤツは気にしないんだけれど。

 ええと、あったあった。

 装備は基本的に、頭、胴体、腕、足の四か所になる。靴は除外する。フルセットでなにがしかを装備している奴もいるし、ポイント装備だけのヤツもいる。わたしは頭胴体腕の三か所。機動力を落としたくないので足パーツは現在装備していない。

 レギオンの取扱説明書を見ながら、両腕の装備を確認する。記憶は記憶領域のリセットを行ってしまった結果残っていないけれど、もしも私なら。あああった。

 右の腕、前腕から手の甲にかけて取扱説明書の表紙に描いてあるパーツがセットされていた。

 記憶のリセットをした日が九月十五日で、それ以降も外には出ているのに今まで気が付かなかったのがおかしい。とりあえず取扱説明書を開いて……いやこれ装備しないと分からないな。

 装備にもいろんなタイプがあるけれど、自分の場合は革ジャンタイプ。あからさまに金属質やプラスチック質のものを好む人もいる。外観を気にせず手に入った物をいじってみて丁度良かったものを最初は使うしかない。その内にこの辺りのマーケットで物々交換をして好きなタイプにカスタムしていくのだ。百貨店のマーケットとは違う。あれは誰でも参加することが出来るが、ここは同業種だけだ。たまに子供たちが興味本位で覗きに来るが、それは黙認されている。彼らはいつか、同僚になるかもしれないのだから。

 交換するにしろ何にしろ装備品の入手はまあ、運に左右されるから仕方ないところがある。装備品もそうだけれど、バイクや車、武器なんかの方が運に左右されやすい。

 わたしの防具は本体が革、袖口と肘、それから肩回りに金属が仕込まれている。これで革ジャンの下に同じく革製のベストを着たらわたしの準備は整う。革や角、骨で作られている防具の類は入手が安易だ。多分チームに初めて所属するときに貰える。中央に納品した残りが、どこのチームにも溢れているからだ。チームはまとめて中央に納品して、残った分を商店街で必要としている店があったら卸して、それでも余るのだ。その分は、それぞれのチームで防具として、もしくは防具の修繕アイテムとして保管しておくことが多い。アベーレのドックにも、たくさん積まれている。

 その右腕の部分に追加アタッチメントがすでにはめられていた。気が付け。

 接続は肘の部分。動かしても不自然はない。多分、だから気が付かなかったのだろう。いや、仲間たちも誰も気が付いていないのか。誰か聞いてくれ。

 レギオンの先端部分は袖口の所に接続されている。どうやって使うんだこれ。


「まあ、一人で取り扱い説明書見てないで、メカニック工房アベーレのところ行くか」


 アベーレにも呼ばれていることだし、と、階段を下りる。コーヒーの水筒を、持って行くのを忘れずに。さっき忘れちゃって、喉乾いたからね。折角買ったんだから、ちゃんと飲まないと。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ