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夢で見た話

作者: クトウ

季節は初夏、男が1人山奥の村に引っ越してくる。

鬱蒼とした藪に囲まれた様な、古い一軒家。

周りの人間はよそ者には一定の距離感と不信感を持った嫌な目つきで見てくるような、ありがちな田舎の風景。


男は家財道具も揃っていない様な状態で半自給自足の様な生活を送る。

時折異臭の様なものを感じるが、男は気に留めた様子もなく場面は続いていく。

家の周りの店には経営が立ち行かず潰れた店がある。

どうやらこの場所では何度も店が入れ替わっているらしい。

口さがない人間なんかはこの場所は呪われているからすぐ潰れるなんてことも言うらしい。


そんな中、都会で知り合った女性を家に呼び、同じ時を過ごす。

彼女はずっと何かに怯えている様である。

彼女は何かの視線を感じると、変な臭いがする、と怯えている。

男はここは村社会で、よそ者がいるとジロジロ見られるんだと笑う。変な臭いは山の奥だから都会にない臭いもするだろうと話す。

彼女はそう言うのじゃないと怯える。

そこまで言うのであれば車で街まで送り届けると、男は車を準備をしに家の外に出る。

しかし、一向に彼女は家の外に出てこない。

いつもは五月蝿いくらいに聞こえる虫の音が聞こえない。

怪訝に思った男は家の中に戻るが彼女の姿は見えない。

焦った男は家を探すが、どこにも彼女の痕跡すら見つからない。

家の周りを探すが煙の様に彼女は消えてしまった。


男は困惑の中収まらない動悸を抑えつける様に胸を掻きむしる。

何が起こっているのかわからない。

いつもは気にならない村人の無遠慮な視線が非常に不愉快に感じる。

ボソボソと村人が呟いている。気持ちの悪い声だ。

入ってはならない場所に入るからだと。声は言う。

男が激昂し胸ぐらを掴み何を知っていると言うが、村人は気持ちの悪い視線と声を向けるのみで要領を得ない。

埒が明かないと村人を突き放し警察に連絡をするが、なぜか通じない。

ふと気づくと村人が集まってきており、一様に視線と声を向けてくる。

男は彼女の消えた理由は村人にあると考え、古びたナタを持ち何か知っていることがあるなら早く言え、さもないとと叫ぶ。

村人は怯えた様子もなく、ブツブツと入ってはならない場所に入るからだと言い続ける。

カッとなった男は村人が彼女を攫ったのだと思い込み、手近な村人にナタを突きつけて脅す。

しかし村人は何も反応を示さない、ブツブツと繰り返すだけだ。

いつもの異臭を感じる。

目の端で村人が腐った野菜や肉を手に持ち家の周りに投げ入れているのを見つける。

やはりこの異常事態は村人の行いであると男は村人を斬り殺してしまう。

1人を殺してもなお、周りの村人は変わらずブツブツと繰り返す。

どこか異界に踏み込んでいたのだと、ここから逃げ出さなくてはならないと男は思う。

ナタを振り回し村人を突き飛ばし男は車に向かう。

車にたどり着いた男は車が事故にあったように大きく破損していることに気づく。

そこで男の記憶が戻ってくる。

男は車で事故を起こしており、多くの人間をその事故で死なせている。そこには彼女の姿もあり、男はその事実を認められず、山奥に逃げてきていた事を思い出す。


どこまでが現実でどこからが妄想なのか男には区別がつかない。

村人は繰り返し繰り返しブツブツと呟きながら、どこからともなく集まってきて男の周りに集まってくる。

男は状況を受け入れられず目の前の村人を手当たり次第殺し続けてしまう。

夜がふけて、夜が明けても村人は押し寄せてくる。

人を殺し続けている。

罪に対する罰なのか呪われた土地による呪いなのか、男はその地獄から抜け出せない。

人を殺し続けて、殺し続けて…

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