ダンテ 初デート
頭の悪いダンテが出てきます
ストーリー自体は進んでないので幕間としてお読みください
彼女ができた。
人生で初の彼女だ。女友達だっていた事がない俺だからちょっと未だに信じられない。
リリィ嬢の事を思い浮かべるだけで顔がニヤけてしまう。可愛かった。
俺なんかと普通に話してくれるだけでも喜びでおかしくなりそうなのに、あの照れた表情、真っ赤になった顔、不安そうに涙目になってこちらを見つめる目。思い出すだけで昂ってくる。
なんと言われようとリリィ嬢は可愛い。好きだ。
仲の良い同僚にも話した。すごい驚いてたけど祝福してくれた。
明日は初めてのデートだ。服は新調した。金を飲み以外で使うのは久しぶりだ。
こんな顔の俺の隣を歩くなんて勇気が必要だろうに、普通に街に行きたいと言っていた。お洒落な店なぞ知らんので同僚に聞いて、ランチは個室がある店を予約した。
個室じゃないと店に悪いからな。他の客が怖がる。痣さえなけりゃただの不細工で済むのにな。
とにかく明日は嫌われないようにだけ気をつけよう!
⭐︎⭐︎⭐︎
デートではとにかく嬉しそうに話す彼女の話を聞き、たまに熱をもって見つめてくる瞳を見つめ返し、彼女といるとまるで普通の…いや、モテまくりの男にでもなった様だ!夢なら醒めないで欲しい。頼む。
それにしてもリリィ嬢がこんなに積極的だとは思わなかった…
手を繋いだ(小さくて柔らかかった)、腕まで組まれた(何がとは言わないが柔らかかった)、わざとではないだろうが胸部をむぎゅっと押し付けられた時は本当にヤバいところだった。
俺は正に今、人生を生きている!!!
「この店凄い高いって聞きました。しかも個室なんて…申し訳ないです…」
聖女か!?お前の為なら全財産使い果たしてもいいくらいだ!!!
「いや、俺は痣持ちだから他の客に迷惑かけてしまうだろう。俺の我儘だと思って個室で我慢してくれ。2人きりなんてリリィ嬢には苦痛かもしれないが…」
「そんな事ありません!!2人きりは…正直嬉しいです。ダンテ様を独り占めしてるみたいで…」
死んだ。俺は一回死んだ。そして生き返る!リリィ嬢は聖女だからな!
「俺も…リリィ嬢を独り占めしているって事でいいだろうか?」
くううう!!こんなセリフ吐く俺なんて誰が想像できるだろうか。母親にでも聞かれたら馬鹿言ってんじゃないよって殴られただろうな。
「…はい。私はもう既にダンテ様のものですから…」
赤くなって恥ずかしそうにそう伝えてきたリリィ嬢を前に俺は本日二回目の死を迎えたのだった。