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ダンテ 可愛い人

ポートイェート家に着くと、ザック様と妹君のサラ嬢が迎えてくれた。2人一緒にいると、なんつー美貌だ。


サラ嬢は身体付きも顔もとんでもなく綺麗だ。女神だ。王太子殿下が惚れるのもわかる。

2人と共に庭の東屋へ向かうと2人の女性の影が見えた。遠目でも2人とも細身の身体だとわかる。


はは〜ん、わかったぞ。俺ほどではないと思うが、見目が良くない令嬢とくっつける気だな!まぁ俺はこの際、老婆以外なら文句は言わない。しかし俺を充てがわれるその令嬢は可哀想だな。


「やぁ、待たせたね、リリィ、アリ。こちら僕の貴族学校時代の先輩で現在軍に所属しているダンテ・オーロストック様だよ。」


「はじめまして、ダンテ・オーロストックと申します。」


2人のうち、1人が挨拶する。


「はじめまして、アリス・ダグスと申します。」


大変申し訳ないが、このアリスという女性が今日紹介される令嬢だと思った。顔立ちがハッキリしていて、背も高く、美人とは言い難い容姿だ。可哀想に…。でも普通に話してくれるなら俺としては全然OKだ。

もう1人は身体こそ細身だが、身長も顔も普通。別に俺じゃなくてもお似合いの男性が見つかりそうな感じの令嬢だ。


「は、はじめまして、リリィ・バンドンと申します。今日はお時間をいただきありがとうございます。」


顔を赤くして、自己紹介する。

え、もしかしてこっちの子!?と驚いてザック様を見るとニヤニヤしてる。こっちの子か〜そうか〜こんなに普通の令嬢が?問題なさそうな子が??とすまし顔をしながら心で動揺した。


茶会中、リリィ嬢がこちらをチラチラ見てくるのがわかる。たまに目が合うと恥ずかしそうに目を逸らす…え、凄く…なんか…


可愛い。


仕草がとんでもなく可愛い。先程の普通評価を取りやめる。リリィ嬢は可愛い!


そうだ、今まで俺は若い女性と普通に話したことがない。だから外見でしか「可愛い」「綺麗」という判断が下せなかったのだ。しかし、この態度はどういう事だ?これが普通なのか?全ての女性はこんなに可愛いのか?


もしかして俺に惚れてるんじゃないかと勘違いしそうになる。今までにない胸の高鳴りを感じた。

しかし、期待してはいけない。勘違いしたらダメだ。俺は不細工、更には痣持ちなのだ。ぐっとその感情を胸の中に押し込めた。


「2人で散歩でもしてきたら?」


アイザック様に促され、2人で庭の散歩に行く事に。2人きりなのに嫌がられない事に感動する。

エスコートというものをしてみたかったが、俺に触れられるのは嫌かもしれないと思い諦めた。

歩調だけはリリィ嬢にあわせてゆっくりを意識する。


女性と!2人きりとか初めてなんだが!??どうしたら良いのだ。本当に俺と会話をしたかったのか?

俺なんかと?何故??


「リリィ嬢は…その、私と話をしてみたかったというのは…本当ですか?」


背中越しに不躾な質問をしてしまう。慣れてないせいで上手い話ができない。目を見て話すなんてとんでもない。


「は、はい。すみません。急にこんな事になってしまって…あの、姉様の結婚式でダンテ様を見てから…一度でいいからお話をしたいと思っておりまして」


あの結婚式で?俺を見て?どういう事だ?

目が悪くて気付いてない可能性もある為、痣のことも聞いてみる。


「痣は…呪いなんてただの迷信です。見目も別に、素敵だと思います!シュッとしてて…お、王子様みたいです!それに剣の腕も凄いって聞きました。実力もあり、努力もする男だってザック様からお聞きしております。むしろ私なんかがお誘いしてもいいのか迷った位で、サラくらい美人なら良かったんですが、私なんかですみません!」


「そ、そうですか…えーと…ありがとうございます。」


今、王子様みたいって言われた?もしかして本当に俺のことを好ましいと思っているのか??

ずっと勘違いしない様に抑えていた気持ちがブワッと身体中に溢れてくる。俺を受け入れてくれて、努力を理解してくれて、褒めてくれる女性が今ここにいる。


顔が熱い。


振り返ると泣きそうな顔のリリィ嬢がこちらを見ていた。


好き…かもしれない。会ったばかりなのに、会話だってそんなにしてないのに。


お互い立ち止まって向かい合ったまま、真っ赤になって顔も見れず、時間は過ぎた。

俺はもう、今しかないと、決心してリリィ嬢に交際を申し込む。


「あ〜、会ったばかりのしかも5歳も年下に言うことではないかも知れないが…もし良ければ僕とお付き合いしていただけないだろうか?」


「!!はい。よろしくお願いします…」


この日俺は若い女性と初めて会話をし、そして初めての彼女ができた。


アイザック神様ありがとうございます!!!

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