プロローグ
はじめての投稿なので長い目でよろしくお願いします。
見た目と爵位がアンバランスな仲良し三人組がい
る。
爵位も見た目も上級、王太子殿下の婚約者候補筆頭である公爵家長女のサラ。
見た目も爵位も中の中で特筆することがあまりない伯爵家三女のリリィ。
容姿さえ良ければ…と残念がられるが頭だけは良い子爵家長女のアリ。
通常はあまり交流がないであろう3人だが、3人ともお互いを尊重しているし尊敬している。趣味も性格もバラバラな3人が何故そんなに仲が良いか…それは多分、私のおかげだと自分で思ってる。
私は伯爵家三女、全てが中の中と自分でも自覚しているリリィ・バンドン、17歳。容姿だけでなく、勉強マナー全てにおいて平均点。容姿については化粧すれば中の上くらいには格上げされるかな〜くらい。
はじめの出会い…そんな大した話しゃないけど、サラと私の母親が昔からの親友で小さい頃から会っていた。幼馴染みたいなもん。もちろんうちの2人の姉とサラの2人の兄も一緒だから家族みんなで幼い頃から知ってる。サラも含めて兄妹3人とも優しく一緒にいると穏やかな気持ちになる。金持ち喧嘩せず、を体現している感じ。
アリとは私の家庭教師を通して出会った、3年前くらい。子爵家で同年代、とーっても頭が良い子がいるって授業中に聞いてなんか、すごく興味が出ちゃったんだよね。だから子供も参加するお茶会で私から話かけた。サッパリした性格で何でも言い合えるので気分が良い。
そんな2人を引き合わせて最近は3人で会う事が多い。8割はサラの家に招待されてお茶会って感じだけど。
全てにおいて平均点。そんな私が何故その3人組の中核を担っているのか、説明しよう。
私リリィは前世の記憶がある。22歳くらいまでの女性の記憶、全然違う世界の。本当にそれが過去の私の記憶なのか、他の誰かの記憶だけ植え付けられただけなのかはわからない。死んでここに生まれ変わったのか、それともまだその子は別世界で生きてるのかも不明。死んだって記憶自体はないから…
そしてその世界とここでの価値観が全然違かった。過去の記憶では身分差は多少あれど今世ほどではなく、能力があって努力すればそこそこの生活もできた。電話とかネットとかこの世界では考えられない様な便利なものもあった。
生活についてはこの世界で赤ちゃんの頃から育ってきたから全て受け入れてる。そこそこ金がある家に生まれて良かった。
でも慣れない事が一つ。人物の美しさに関しての感覚が真逆なのだ。こちらでは出来るだけ凹凸のない平面顔が美形とされ、体型もぽっちゃり気味が一番人気がある。男女ともに。デブすぎるのもダメだけど、細いよりは断然デブがモテる世界である。
…無理ぃ〜。前世の記憶(ここではそう呼ぼうと思う)では私はキラキラに輝く目鼻立ちがハッキリした細身タイプが好みだった様だ。その外見に関する感覚だけはこの世界に慣れなくて未だに混乱してしまう。
だから友人アリに初めて会った時、とんでもなく驚いた。あまりの綺麗さに!目鼻立ちハッキリ、背も高くスラっと細身の身体。足も長い。前世の記憶だとモデルみたいな感じ。しかも頭が良くて性格もハッキリスッキリしてるなんて、なんか凄い衝撃だった。こんな子がこの世界ではブスの域に入るのか…残念がられるのか、と。とんでもない世界だ。
当初私の誉め殺しに「嫌味なのか、目が悪いのか疑った」と言ってたアリだけど、私があまりにも本気の目で羨ましそうに見るから結局私の趣味が悪いんだな、で結論付けたそう。そこからなんとなく一緒にいる。仲良しだと思う。
サラは逆に平面のっぺり顔でぽっちゃり体型。こちらの世界では美少女だ。王太子殿下にも気に入られてアプローチを受けるくらいには整ってる。
サラとアリを引き合わせた時、アリにちょっと睨まれたけど(自分引き立て役じゃん!って思ったらしい)話してみると意外と気が合い、高飛車にならないで楽しく交流するサラにびっくりしてた。サラとしてもハッキリ物を言ってくれるアリは付き合いやすくて好きらしい。
美人とブスだと仲が良くても比べられたりしてギクシャクしそうなもんだけど、そこで価値観真逆な私がいるからなんだかんだでうまくやってる。ここの価値観でも過去の記憶の価値観でも常に普通な私が…(悲しくなってきた)
そんな凸凹仲良し3人組のドタバタ恋愛観備忘録である。