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第8話

 左薙先輩とのストレッチが終わったので、ミニゲームのチーム決めへと移る。

 左薙先輩に「自分から経歴とか言い辛いんで、それとなくみんなに言ってもらえませんか?」とお願いしたら「面白いそうだから言わないでおく」と言われてしまった。


 一度集合することになりベンチの方に向かうことにする。それにしても、左薙先輩の胸の感触が忘れられないなぁ……などと考えていると、後頭部にごつーんっとボールが当たった。


「痛っ!!!!!!」


 なんだ!?と振り返ると、コートに散らばったボールを拾い集めている杏奈しかおらず、他には誰もいなかった。

 でも、杏奈が俺の頭にボール当てるわけないしな……。


 ミニゲームは5人対5人の紅白戦でコートはフットサルのサイズでやるらしい。

 みんなが集まる前に、俺は園田先生に気になったことを聞いた。


「ハンデはどうします?」


俺が園田先生にそう聞くと、後ろから怒声が響いた。


「おい!お前舐めてんのか?ハンデなんか付けたら実力分かんねーだろ」


 振り返ってみると、先ほどの金髪ギャル先輩だった。明らかに染めた金髪ではあるがメイク自体はナチュラルメイク。

 小ぶりではあるがすっと伸びた鼻筋に、強気な目つきには高級感が漂う。

飾りすぎない雰囲気は、さすがは元お嬢様学校の生徒といった感じだ。


「いや、そうは言っても俺男子ですし」


「そういうとこだよ。お前女舐めてんだろ」


「……そう捉えられてもおかしくない言い方をしました。すいません。じゃあ言い直させてもらいます。……誰であろうとハンデがないと相手になりません」


「……っ」


 この人が睨むと超怖い。やっぱ美人がキレると迫力が違う。

お互いに睨み合っていると園田先生が折衷案を持ち出した。


「そうね。間をとってうちの正GKの熊本と安達君は別のチームにするっていうのはどうかしら?」


 それだけじゃ、まだ足りないと思う。

 今回の目的はギャル先輩と鏑木部長に認めさせることなのだから。


「あとは、2年生チームと3年生

チームに分けて、俺が2年生チームに入るというのはどうでしょうか?3年生に実力を示したいです。」


 俺にプレーの制限がかかるハンデではないので、金髪ギャル先輩の言う実力も出せるだろう。


「仕方ねぇから、それで納得してやるよ」


 1年生は、俺と委員長が2年生チーム、朱莉と杏奈が3年生チームに入ることになった。これで、ようやくチームが決まった。


「それにしても、キーパーどうしようかな……」


 小声でついつぶやくと、


「ふふん!よくぞ言ってくれました!紹介するわね!下北ちゃん!」


 園田先生が自慢げに声を上げた。するとサイドポニーをぴょこぴょこさせた少女がこちらに向かってきた。


「カントクーなんスか?って姐さん!?」


 サイドポニーの女の子は金髪ギャルの先輩を見ると姐さんと呼んで驚いた。


「おう。あと姐さんって呼ぶな」


「下北さんはオールマイティプレイヤーなの。FWもMFもDFもGKもなんでもござれのスーパープレイヤーなのよ!」


 園田先生がドヤ顔で自慢してくる。


「下北舞ッス。去年唯一のベンチで試合のたびにやるポジションが違っただけッスけどね」


「下北ちゃんは安達君と同じチームでキーパーをお願いしたいの。お願いできる?」


「了解っス!もちろん、姐さんもこっちチームッスよね?」


「いや、あたしはコイツと闘いたいから別チーム。あと姐さんと呼ぶな」


「えー!そんな!いやッス!舎弟が親分に楯突くなんてありえいッス!」


 現在進行形でいやッスと楯突いてるけどそれはいいんだろうか。

 というか、うわぁ、この人やっぱりヤンキーだったんだ。俺がちょっとビビっていると、そのことに気付いて


「おい、そんな目であたしを見るな。あたしはギャルっぽいだけでヤンキーじゃない。こいつが勝手に姐さんとか呼んでるだけだ」


と言ってきた。

そんなこと言われても


「そ、そうなんですね」


と、つい怯えてしまう。

ギャル、怖い。

そういえば名前を聞けてなかった。


「先輩の名前を教えてもらってもいいですか?」


「人に名前を聞くときはまず名乗ってからだと思うけど?」


「……さっき自己紹介しましたよ」


俺がそう聞くと彼女は唇の端を軽く持ち上げて


「そうだっけ?ごめんごめん、興味ないから聞いてなかったかも〜」


とニヤッと笑みを浮かべた。


「っ!……安達海斗です」


「ふぅん、どうでもいいけど。あたしは松本芹香ね」


「松本先輩。一生俺の名前、忘れられなくさせます」


あまりの扱いに俺が松本先輩に啖呵を切ると、横で下北先輩が目を丸くしていた。


「……カントク。今のって告白ッスかね?」


「なんだもいいけど、そろそろチーム練習始めてもいい?」


 俺は自分の発言の恥ずかしさに気づき顔が熱くなるのを感じた。

 そして、それに巻き込まれた松本先輩も頬を染めてこちらをキッと睨んできた。

 試合、荒れそうだなぁ……。

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