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第13話

休憩を終えてミニゲームを3回やった俺たちはクールダウンとストレッチをして、ミーティングをすることになった。今後の、雪学サッカー部の方針を決めるらしい。


「せんせ〜い、その前にシャワー浴びたいです〜!」


ひまわり先輩がトレーニングウェアをパタパタしてアピールしている。よく見ると、みんなウェアが肌にぴったりくっついていて、身体のラインがよく出ていた。それに、パタパタしたウェアの隙間から綺麗なお腹とへそが覗く。

ひまわり先輩は本当に男の気持ちが分からないというか、サービス精神が旺盛というか。


「海斗〜?なーに見てるのかにゃ〜?」


チラチラ視線が行っていたのがバレたのか、朱莉が俺の肩に手を置いて聞いてくる。


「み、みみ見てないし!」


「海斗はホントに変態さんだなぁ〜。サッカー以外でも視野が広いなんて!」


「上手いこと言って俺を貶めようとするな!」


いや、ほんと。たまたま目に入っただけなのだ。わざとじゃない。


「じゃあ、シャワー浴び終わったらミーティングルームに集合ね〜」


とにかく、園田先生の指示のもと、ミーティングはシャワーの後になった。

男子のシャワールームは無いらしく、俺は制服も持って来ていたので、体を汗拭きシートで拭いてから着替えてミーティングルームに行くことにした。


ミーティングルームに行こうと思い歩き始めたが、気付いたら迷子になっていた。そういえば、校舎に入るのは初めてで、どこにミーティングルームがあるのか分からなかった。キョロキョロしながら歩いていると、突然後ろから声をかけられた。


「そこの君」


「は、はい!」


「ここで何を……君は安達海斗君ね」


なんと、声をかけてきたのは受験の時に面接官をしてくれたもう一人の先生だった。


「サッカー部の副顧問の町田桔梗よ。よろしくお願いしますね」


町田先生に自己紹介されて、俺も慌てて返す。


「は、はい!安達海斗です、よろしくお願いします。町田先生。」 


「私はあまりサッカーについては詳しくないので、練習は園田先生に一任していますが、事務的なことは私が担当しています。何か困ったことがあったら、言ってくださいね。それと、私のことは桔梗先生と呼んでください。私はあなたのことを、海斗と呼びます」


ショートカットの艶のある黒髪とぽってりとした唇が、大人な雰囲気を漂わせる。出るとこが出て、引っ込むところが引っ込んだ綺麗なスタイルが、スーツ越しにもわかり、見惚れてしまう。

しかも、話し方は堅いが呼び方は意外とフランクなようだ。不思議がっているのが分かったのか、桔梗先生は説明してくれた。


「私が教師として働き始めた頃は、私が厳しいせいか、生徒が皆怖がってしまいました。副顧問をしていたサッカー部の女の子たちにも最初は怖がられていたのですが、当時の部長に言われてお互いに名前で呼び合うことにしました。すると、次第に皆と分かり合えるようになりました。それ以降、サッカー部の生徒とは皆、下の名前で呼び合っているんです」


そんなことがあったのか。確かに、桔梗先生には近寄り難さがある。でも、そこで自分を変えようとするということは、それだけサッカー部の人たちのことを大切に思っているということでもあるのだろう。


「それで、他の皆さんはどうしたのですか?」


「シャワーを浴びてます。その後、ミーティングです」


「それで、海斗は何していたんですか?」


「そ、その。ミーティングルームの場所が分からず、迷子になっていました」


「じゃあ、案内しますね。ミーティングには私も参加します。その前に、シャワーを浴びましょうか」


「いや、え、ええ?そ、それはダメじゃないですかね!?」


な、何を考えているんだ!桔梗先生は!みんなとシャワーを浴びるなんて!


「……何を考えてるのか知らないけれど、もちろん彼女たちとは別ですよ」 


ジトーっとした目をこちらに向けてくる。


「は、はは。分かってましたよ?」


「まあいいですが、男子用の設備はもう工事がほとんど終わってるので、入学する頃には使えるようになっている予定です。でも、まだ使用できないので、教員用のシャワールームを使ってください。残念ながら、男性教員用のシャワールームはないので、女性教員用になりますが、この時間は誰も使っていないので大丈夫ですよ」


「は、はぁ」


そして、桔梗先生に案内してもらい、教員用のシャワールームへと着いた。


「それでは、私は外で待っていますので、シャワーを浴びて来てください」


中から水の音がしないので、誰もいないようだ。俺は備え付けのボディーソープで体を洗い流す。

シャワーを流し始めてから、なにか、横から水が出ている音が聞こえるが、気のせいだろうか。

きっときのせいだろう。

一通り体を洗い終えてドアを開けると、何故か隣のドアも同時に開いた。


向こうもそれに気づいたようで、こちらを向く。


「あ、園田先生」


「あら、安達くん。こんな所でめずら……」


お互い見つめあって、お互いの姿を確認するように視線が下に降りる。シャンプーの匂いか、園田先生の匂いか、女性特有の甘い香りが鼻をくすぐる。大きく膨らんだ胸に亜麻色の髪が張り付いている。艶のあるその髪は淫靡に垂れて、胸の先端をちょうど隠す。そして、さらに視線が下がって……!


「きゃあああああああ」


「いやぁああああああ」


バチィィイイン!!!と大きな音がシャワールームに響いた。色々と見てしまったせいで逆上せてくらくらしていたからか、このまま気を失った方が楽そうだなとか、原因は分からないが、そのまま気絶した。





目を覚ますと、園田先生が更衣室で頭を抱えていた。もうすでに服は着ていて、俺の目の前に膝をついてる形だ。


「うぅ。生徒に裸を見せ、さらにはビンタ……。懲戒免職?新卒2年目でニート?私の教員生活、これで終了?」


園田先生が顔を真っ青にしてこの世の終わりのような顔をしている。

ここは、アレしかない。


「うぅ……」


俺は、今起きましたという風を装いながら体と起こす。


「あ、安達君!大丈夫?体に不調はない?」


「あ、あれ?園田先生、なんでこんなところに?てか、なんで俺バスタオル一枚なんですか!?」


「も、もしかして、記憶がないの?」


「は、はい。シャワーを浴びているところまでは覚えているんですが……」


「じゃ、じゃあ何も見ていないし、覚えていないのね?」


「は、はい」


「本当?見てない?」


「見てません!」


そこで、園田先生は十秒ほど考えて、真面目な顔をして話し始めた。


「やっぱり、嘘はよくないわね。安達君、ごめんなさい。私、シャワー浴びたときに、あなたの裸を見て、それでビンタしてしまったの。本当にごめんなさい」


「……。すみません。俺も本当は覚えています」


「こうなってしまったら、校長に報告して辞職するしか……」


「いやいや、俺は全く気にしてませんから!こちらこそ、最低なことをしてすみませんでした!大丈夫ですか?」


「わ、私は大丈夫!初めてだし、恥ずかしかったけど……」


「す、すいません」


「本当にほっぺた大丈夫?痛くない?」


俺のほっぺたを撫でながら聞いてくる。園田先生の指はやっぱり柔らかくてドキドキした。


「は、はい、全然大丈夫です!」

  

「そっか、良かった」


園田先生は心底安心したようにホッと一息ついた。


「それに、イヤなもの見せちゃってごめんね?」


「い、いえ!全然大丈夫です、はい!」


「そうよね!安達君の周りには可愛い女の子いっぱいだし、私のなんて見てもなんとも思わないわよね!」


「い、いえ!大変綺麗でした!」


「え?」


「あ。……アハハ」


ジトーっとした目でこちらを見てくるが、その頬は赤く染まっていた。


「じゃあ、今回のことはお互い様ということにしよっか」


そう言うと、ニコッと優しい笑みを浮かべて俺を安心させてくれる。こういう所で、大人の女性だなと感じさせられる。


「は、はい」


「そして、私達だけの秘密ね」


その唇の前に人差し指の付けるあざとい仕草に、見惚れてしまった。


「それで、なんで安達君はここのシャワールーム使ってたの?」


俺も服を着て、園田先生は向こうを向きながら話していると、そんなことを聞いてきた。


「あ、それは桔梗先生に、今は誰も教員用のシャワールームは誰も使っていないから使っていいと言われまして」


「へ、桔梗先生……?」


そこで、園田先生はこちらを振り向いて驚いた顔をしていた。


「ちなみに、桔梗先生なら外にいますよ」


園田先生はそのまま外に出て行き


「桔梗先生!どういうことですか!」


という大きな声が響いた。


「……すみませんでした。まさか、摩利先生が入っているとは思わず」


「普段はしっかりしているのに、年に二回くらいとてつもないポンコツするの、どうにかしてください!」


本当にこの学校で生活するのは大変そうだ。ちなみに、桔梗先生にはお互いの裸は見ていないということにしておいた。

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