ないしょねこれお友達のことなんだけど
僕はいつも帰り道で僕の影とお話しをします。
彼とお話しができるのはその時だけです
彼はとても優しくてとても恐ろしいことを言います。
それは毎日です
僕はそれを一方的にききます
彼は耳がありません
影だからです
僕には耳も口もあります
人だからです
彼はいつも僕の考えてることを
僕より先に言います
彼は影だからです
そして僕はそれを
僕ではない言葉としてききます
いうも笑っています
彼は誰に話しているのかはわかりません
彼は影だからです
そこで僕はお話しを学びます
いっぱい喋ってくれます
彼は僕よりも饒舌です
何度だって喋ってくれます
僕は彼のお話しが好きです
彼の話で笑ったことはありません
彼は一方的話すのです
彼の話は
しょっぱかったり
甘かったり
酸っぱかったり
僕には覚えきれないほど
毎日味が違います
だから僕は彼が好きです
そんな彼にあえるのは
いつも帰り道だけです
ふたりきりだけの時だけです
彼はいちばん弱いのです
僕よりも弱いです
彼は生きていません
それなのにいちばん弱いのです
石は生きていないけど
とても強いです
太陽のひかりもみんな知ってのとおり
とても強いです
たんぽぽの綿毛や
春も秋も七草は
とても強いです
それなのに
彼はいちばん弱いです
わたしはだから
いちばん好きです
いつまでもふたりきりでいたいと思います
「さみしいです」
彼はそう言っ