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【完結】変身時間のディフェンスフォース 〜ヒーローの変身途中が『隙だらけ』なので死ぬ気で護るしかないし、実は最強の俺が何故か裏方に!?〜  作者: 半袖高太郎
第1部 6章 〜ギャンブリングワールド〜

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経験の差

 追い詰めている。その自負があったのにも関わらず、ホリィは緊張が解けなかった。


さっきまで傷を負っていたにも関わらず、悠然とギャブランは語り出した。


「君の能力は私と似ている」


「何のことでしょう? 未来を決める私の能力と賭け事を一緒にしないでください」


「違う違う。私が言っているのは制約の方だ」


その言葉にホリィの眉が少しだけ動く。ここにきて初めて動揺を見せた。


「私の能力は宣言しないと発動しない」


「——弱点をバラして大丈夫なのですか?」


「構わんさ。つまり認識し、宣言しなければ私の能力は使えない……君もそうだろう?」


「勝手に勘違いしてなさい!」


 余裕なギャブランの意図に冷静に客観視出来ていた蘭華だけが唯一気づく。


飛彩の近くに落とされていた賭けはすでに成功していたのだ。


それに気づかないホリィ達は、悪夢のような答えに不意打ちを受ける。


「ほら、気づいてないだろう?」


すかさず頭上にも波動を放つが、それはいとも簡単に防がれてしまった。


「君が戦っていたのは私の分身だ。本体の私が君の能力の影響を受けなかったのが何よりの証拠だろう?」


「——っ!?」


「そういう賭けを君達が変身し終わるタイミングでやっておいたのさ」


 今までの攻勢は全て仮初めだったが、ホーリーフォーチュンの能力は分かったところでどうにもならない。未来を確定されるだけだ。


「結局、見えない未来は決められないんだ。未来は見えないからこそ楽しい」


 その時間稼ぎの言葉にホリィはどんどんと引き込まれる。分かっていても、妙な動悸にホリィは心をかき乱していった。


「だから、賭けは楽しいんだ」


 一切攻撃する素振りを見せないギャブランに気を取られ、急激な勢いで飛んできた巨大なレーザーのようなものに気づくのが遅れてしまった。


「フォーチュン!」


視界が黒い攻撃に埋まったかと思えば、何かに体当たりされる形で横へと飛んでいく。


凄まじい轟音が遅れてやってきた刹那に攻撃は終わった。


「ほぉら、意識外からの攻撃は防げなかったろう? 遠くに配備させていた私の部下だが……彼にも賭けをしていてね。ここで君を殺せるか否か、私は裏に賭けたんだが」


立ち込める煙を拳圧だけで払うギャブラン。


地上にはレスキューブルーとイエローに抱きかかえられる形で攻撃から逃れたホーリーフォーチュンがいた。


「私は賭けに負けた。お陰で大切な、非常に大切な部下が命というリスクを払うことになる」


 おそらくギャブランは部下が、自身の生命エネルギー以上を引き出すように賭けで仕向けたのだろう。ホリィや司令室に検知されない距離から技を放つために。


戦いをより深く楽しむためなのか、わざとらしく賭けに失敗したショックを演じて地面へと降り立つ。


「ぐっ、うぅぅ……」


「デタラメね……!」


「お二人とも!?」


避けたと言っても三人は避け切ったわけではなく、足に大きなダメージを受けていた。


 質量のない攻撃ゆえに足が千切れたりなどはしなかったが内部がズタズタに引き裂かれているような痛みに悶え苦しむ。


命があるだけでも素晴らしい回避だったが、機動力がなくなった三人は身動きが取れない状況に近い。


「そんな、私の未来確定能力は……」


「悔やむな、経験の差だよ」


ヴィランたちを脅かす一番の脅威となりえたホーリーフォーチュンが陥落しようとしている。


初めて感じる死の恐怖にホリィは震えた。


「センテイア家の者として、醜態を晒すつもりはありません」


 それでも気丈に振る舞うヒーローにギャブランは感嘆の意を込めて兜を揺らした。


世界の終わりをもたらす者の余裕を見せつけるがごとく。


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