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可愛い妹が出来たので愛でます  作者: Precious Heart
第1章ー可愛い妹が出来ましたー
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3話〜可愛い妹が出来ました〜

 



 簡単な自己紹介の後、一旦父さんがみんなを席に着かせる。

 席順は4人掛けのテーブルに、


 父さん――――俺


 香澄(かすみ)さん―――香恋(かれん)ちゃん


 こんな感じで座った。

 妥当な所ではあるが、真正面に紹介されたばかりの香恋ちゃんが座られると……落ち着かない。

 気を抜けば自然と香恋ちゃんの顔を眺めてしまうし、香恋ちゃんは香恋ちゃんで俺を見てくるので、要は見つめ合ってしまい恥ずかしいのだ。


「料理は後にして、先に大事な話をしたいと思う」


 そう、父さんが切り出したので、俺は視線を父に移す。


「単刀直入に言うが、俺と香澄さんは再婚したいと思っている。

 これはお互い合意の上だし、優と香恋ちゃんも賛成してくれている。

 そこで問題は優と香恋ちゃんだ」


 父さんが優と香恋ちゃんを一度見る。


「多感なこの時期に他人だった年頃の異性が家族になるのは一般的には問題が多いだろう。

 だが、幸い香恋ちゃんは俺と香澄さんが優の話を聞かせたところ、一緒に住む事を前向きに考えてくれている」


「ちょっと待って。

 俺は全く香恋ちゃんの話は聞いてなかったんですが?

 それ以前に香澄さんに子供がいた事すら知らなかったことついては?」


 知らぬは俺1人と知り、思わず口を挟む。

 すると、父さんはふぅとため息をつき、


「優に話した所でどうせ喜んで賛成するんだけなんだから、その時間を香恋ちゃんへの時間に使った方が効率的だろう?」


「酷っ! しかし、その通りだから否定出来ない!」


「くすっ」と笑いが2人分。

 香澄さんと香恋ちゃんを見ると2人は同じように笑ったいた。

 こうして見ると2人はやっぱり親子なんだなぁと思う。


「だが、香恋ちゃんが賛成しているとは言え、一緒に住み始めたら問題も色々出てくるだろう。

 それに加え、今年は香恋ちゃんは受験で色々大変だ。

 だから、香恋ちゃんに1番負担がかからないように香澄さんと香恋ちゃんを交えて話し合った結果――」


 父さんがそこで間を溜める。


「話し合った結果?」


 間が長いので俺は続きを促す。


「香恋ちゃんの夏休みの開始に合わせて、引越しや養子縁組等の手続きを諸々行う。

 また、香澄さんも今月を持って寿退社して、暫くは家事に専念してもらう。

 これは今まで母子家庭で頑張って来た香澄さんを休ませたい俺の希望でもある。

 そして、夏休み中にみんなで過ごして、香恋ちゃんがやっぱり優と住むのに問題があると思った時は――」


 そこで父さんがまた間を溜める。


「問題があると思ったら? まさか、すぐに離縁するのか?」


 再びのその間に若干イラッとした俺は思いついた対処を口にする。




「いや、優を家から叩き出す」




「何でだよっ!」


 香澄さんと香恋ちゃんの前だが、思わず大声でツッコム。


「何でも何もすぐに離縁して振り回したら香恋ちゃんが可哀想だろ?」


「それは確かにそうだけど!

 だけど、その優しさを俺にも欲しい!

 てか、叩き出して俺の家とかどうすんの!?」


「その場合は兄貴の家にお世話になる。

 もう、兄貴の了承は得てるし、むしろ、麗華(れいか)ちゃんは今すぐにでも来いとも言っていた」


「麗姉ならそう言うだろうけど、俺がキツイよ!?」


 父さんが従姉――麗姉の名前を挙げるが断固拒否したい。

 そんな日にはストレスで死ぬ、いやマジで。


「まあ、問題があったらの話だ。

 兄貴の所に行きたくなかったら問題を起こすなよ?」


「そんな事言われなくても起こさないわ!

 むしろ、もっと息子を信頼してくれ!」


「勿論信頼も信用もしている。

 むしろ、信頼しているからこそ別の不安もあるんだが、その辺も会社の顧問弁護士とも相談して既に対処法は考えてある」


「えっ、何、俺は社会的にも死ぬの?」


 父さんの不安が何かは分からないがこの歳で裁判沙汰は嫌だよ?


「それは安心しろ。社会的に死ぬ事はないから。

 そもそも問題が起きるとしたら、()()()()()()()だから」


「いや、マジで意味が分からないんだけど?」


「それは気にするな。

 とまあ、今後については話した通りにしたいが、優も香澄さんも香恋ちゃんもそれでいいな?」


 父さんが話しの締めを始める。


「……言いたい事はあるけど、再婚には賛成だし、元々妹が欲しかった俺からしたら香恋ちゃんが妹になってくれるのはメッチャ嬉しいからそれでいいよ」


 と、俺が、


「私は勿論大丈夫です。

 私の意見を多く取り入れてもらってますし、息子も欲しかったので」


 と、香澄さんが、


「わ、わたしもお兄ちゃんが昔からいたらいいなぁって思ってたので、優さんがお兄ちゃんになってくれるなら、す、凄い嬉しい……です」


 と、香恋ちゃんが頬を紅潮させて賛成してくれる。


 ああ、本当に香恋ちゃんが可愛い過ぎる。


「……マジで優から手を出すなよ?」


「出さないよ!」


 父さんの呆れ声に俺は今日1番の大声を出した。




 その後は料理が出され楽しい談笑となった。

 香恋ちゃんが5歳の時に父親が事故に遭い死別していた事。

 香恋ちゃんがトランペットを嗜んでいる事。

 色々実りのある会食だったが、俺が言いたい事は1つだけ。





 俺に可愛い妹が出来ました。








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