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28話 〜友達と夏の暑い日〜

 



 そして、翌日。


「優っち、妹が出来たってマジ!?

 どう言う事!?」


「春樹、とりあえず落ち着いて、座れや」


 11時までに買い物を済ませ、昨日の夜に『ライス』で決めた時間通りに遊びに来た春樹をリビングの椅子に座らせる。


 龍弥は案の定都合が悪かったため、今日遊ぶのは春樹とだけだ。


「飲み物は麦茶でいいか?」


「オッケー」


「あいよー」


 俺はキッチンに行きグラスを2つ取り出す。


 そして、冷蔵庫の中から作り置きしている氷と麦茶ポットから麦茶をグラスに注ぎ、リビングへと戻る。


「ほいよ」


「サンキュー」


 グラスを渡すと、春樹はそれをゴクゴクと一気飲みした。


「あっー、美味ー!

 夏場の麦茶って異常なぐらい美味いよな!」


「……そうか、それは良かったな」


 俺はそう答えるとキッチンに戻り、冷蔵庫から麦茶ポットをそのままリビングに持って行き、テーブルの上に置く。


 面倒になったからだ。


 春樹は「おっ、気が効くねー」と上機嫌で麦茶を注ぎ、それをまたゴクゴクと飲み干す。


「……そんな外暑かったか?」


 例年より確かに暑いとはいえ、飲み過ぎじゃないか?


「いやぁー、クソ暑い上に、ここまで走って来たら汗かいちったわ」


「えっ、何で?」


「そりゃあ、優っちが悪いからに決まってんじゃん!」


「いや、意味不明だから」


 何で、俺が悪いと走って来るんだ?


「だってさぁー、昨日いきなり『ライス』で明日暇か? って送って来たかと思えば、遊ぼうぜってメッセージ来るし。

 いや、まぁ、夏実も部活で、昼は友達の家で飯食うっつうから丁度良かったんだけどさ!」


「なら、良かったじゃん」


「いやいや、それはいいんだけど、その後思い出したかのように『そう言えば、親が再婚して妹が出来た』ってメッセージ来たじゃん!

 詳しく聞こうと思えば『明日、詳しく話すわ』の一点張りで、終いには既読にならないし!」


 それは春樹に悪いけど話し出したら絶対夜遅くなるし。


 色々説明しようかと思ったけど、いざ説明しようと考えたら面倒になったからな。


「そんで気になって全然寝れなくて、気付いたら30分前に起きてたわ」


「えっと、アホ?」


「アホちゃうし!

 しかも、夏実が勝手に乗ってったのか俺のチャリとキーがないし!」


「それ……俺は悪くないよな?」


「それはそうだけどさぁ!」


 と、春樹はそこでグイグイと麦茶を飲み込み、


「んな事より、優っちの話だよ!

 何がどうなってんの!?」


「メッセージで送った通りだよ。

 親が再婚して妹が出来た」


「それは知ってるってば!

 いつ再婚したん!?」


 え〜と、あれは試験明けの事だから……


「大体、2週間前かな?」


「普通に学校やってた時じゃん!

 何で教えてくれなかったん!?」


「んー、なんとなく?」


「なんとなくかいっ!」


 春樹が全力でツッコム。


 今日の春樹のテンション高過ぎだろ。


「いやまぁ、優っちはそういう所があるってわかってたけどさぁ。

 んで、妹ちゃんはどんな感じの子なん?」


「おっ、それ聞く?」


「もっちのろん」


「えっとな、香恋ちゃんは1個下の中3で控えめに言ってもメッチャ可愛い。幾らでも愛でられる。今時珍しい黒髪ロングだけど超似合ってて可愛い。人見知りな所はあるけど、俺に甘えて来る所もメッチャ可愛い。ただそれだけじゃなくてトランペットやってんだけど、メチャクチャ上手い。この前フッズの楽器フェアに行ったんだけど、試しに吹いてただけでかなりの人だかりになってたわ。まあ、トランペットのやり過ぎで勉強が疎かになっちゃってたけど、そこもまた可愛いよな。そんでもって――」


「はーい、優っち、ストッープ!」


 俺の話の途中で春樹が口を挟んできた。


 その様子は焦ってるし、なんか引いてる?


「どうした?」


「どうした? はこっちのセリフだし!

 えっ、てか、まだ会って2週間だよな!?

 なんで、そんなシスコンなん!?」


「シスコンの春樹にシスコンって言われたくねぇな」


「別にシスコンじゃないし!」


 はいはい、よく言うわ。


 春樹の話の大方は妹の話って気付いてないんかね?


「とりま、シスコンの話は置いといて」


「言い出したのは春樹だけどな」


「お・い・と・い・て!

 それにしても優っちがそこまで女の子を気にするとか初めてじゃん?」


「そうか?

 まあ、昔から妹は欲しかったからな」


「それは初耳だけど、妹つっても義妹やん。

 もしかして、女の子として好きになったりしてるん?」


 春樹が茶化して聞いてくる。


 女の子として好き、か。


 どうなんだろうな。


 そりゃあ、好きと言えば好きだけど。


 この前、告白されて保留みたいな形になったしな。


「うわっ、マジか……」


 気づけば、春樹が呆然として呟く。


「マジかって、何がだよ?」


「優っち、自覚ないん?

 今、メッチャ顔真っ赤やで?」


「あー、夏だからな」


 俺は適当な事を言いつつ顔を触る。


 うん、メッチャ熱くなってるな。


「夏、関係ないし。

 てか、優っちがなぁ。

 委員長とか生徒会長ならともかく、まさかの義妹で来るとは」


「な、なんで、そこで委員長と麗姉が出て来るんだよ」


 あっ、やべ、どもった。


 春樹の目がキラーンって輝く。


「いや、なんとなくだけど、何、その反応?

 まさか委員長や生徒会長とも何かあったん?」


「あ〜」


 俺は天井を仰ぎ、失敗を悟る。


 いや、まぁ、別に言ってもいいんだけど。


 やっちまった感がハンパない。


 俺は言葉に困り、何となくスマホを確認し、


「あっ、香恋ちゃんから連絡来てた」


 メッセージを確認すると、後30分ぐらいで友達を1人連れて帰宅するみたいだった。


「とりあえず、昼飯作るから話しはまた後でな。

 それと、香恋ちゃんとお友達が1人来るけど、粗相したら叩き出すから」


「りょーかい、りょーかい。

 優っちは心配症だな〜」


 春樹が軽いノリで返事をして、俺は昼飯の準備に取り掛かる。


 後で、何て説明しようか考えながら、ふと思う。





 春樹に好きな人っているのかな?





 副題 <お兄ちゃん、私の出番がないよっ!?>





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