表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/35

26話〜妹と従姉と勉強会〜

 



 翌日から、香恋ちゃんの勉強会が本格的に始まった。




 早朝はいつも通りにランニング、

 6:30からはラジオ体操のお手伝い。


 8時までには家事を終わらせて、父さんと香澄さんを見送ったら、勉強会を始める。


 場所は俺の部屋で行う事にした。


 客間から6人掛け用の折り畳み式コタツテーブルを俺の部屋に上げ、座布団を敷いてそこで3人が勉強をする。


 俺と麗姉は正座、香恋ちゃんも正座でやるが、足が痺れてきたら長座でもいいという事にしてある。


 家柄的に正座をする機会が多いし、香恋ちゃんにとっても正しい姿勢が身につく事はプラスになるだろう。


 さて、勉強会だが、1から10まで付きっ切りで勉強を教える……なんて事はしない。


 始めに麗姉が『ここまでやりなさい』と目標と時間を設けたら、後は黙々とこなす。


 昨日の内に香恋ちゃんの宿題を俺と麗姉が確認したが、中学1年から3年で習った物の総復習と言った内容だった。


 問題の前には簡単な公式や教科書のどこを参考にすればいいか記載されてるので、香恋ちゃん1人でも出来る。


 むしろ、宿題で誰かに聞かなければ解けないのは宿題として破綻している。


 なので今は俺と香恋ちゃん、麗姉は1つのテーブルで各々の宿題をしている。




 別に俺や麗姉が居なくてもいいんじゃないか?




 って、疑問を持つ人もいるだろうがそんな事はない。


 まず、3人で勉強をする事でそれなりの緊張感が生まれる。


 人は誰でもマイペースに怠けたい時には怠ける生き物だ。


 特に香恋ちゃんは人目がなければ際限なくトランペットを吹き続けるだろう。


 それを避けるだけでも大きい。


 そして、麗姉が設けた目標と時間設定。


 これがまた絶妙なのだ。


 無理をせず、集中すればギリギリ出来るラインで定められている。


 この目標を達成出来ると『やりきった』という充実感が生まれる。


 充実感はモチベーションのアップに繋がり、

 1人でもここまで出来たと言うのは自信となる。


 そのモチベーションや自信は試験だけではなく、普段の勉強の姿勢にも役立つ。


 分かっていても解けない。


 どうせ分からないからと言った負の意識をなくせる。


 それだけでも身の入り方が全然違う。


 香恋ちゃんは今乾いたスポンジが水を吸収ように知識を蓄えているだろう。


 そして、麗姉の凄い所はその見極めだ。


「ここまでにしましょう」


 と、時間前でも香恋ちゃんの集中が切れ始めたり、時間が来てもまだ出来るようならやらせる。


 その上で香恋ちゃんの宿題をざっと見て、時間がかかって考えていた所、また苦手意識がありそうな所を、


「ああ、そっかー!」


 と、香恋ちゃんが理解出来るまで、麗姉は懇切丁寧に教える。


 こうして1つ1つ分からせる事で苦手がなくなり、分からなかった問題が分かると言うのは喜びに繋がる。


 勉強って楽しいと香恋ちゃんに認識させる。


 そうする事で自主的に勉強する事が習慣化できる。


 俺だとこんなに上手く出来ないだろう。


 モチベーションの管理や問題の解き方1つをとっても、分かっていてもここまで上手く教えられない。


 また、麗姉のこのやり方は香恋ちゃんに合わせたプランであること。


 俺の時は俺の体力に合わせたプランだった。


 ぶっちゃけノンストップで3時間を5セット。


 集中力が切れそうになったらデコピンが飛んで来た。


 モチベーションも『とにかく1番を目指しなさい』だけ。


 それが俺のやり方にはあってたのだろう。


 ただ、麗姉には逆らえないという認識は出来たわけだが。


 まあ、それはさておき、スパルタでも臨機応変に。


 ベストのやり方を見つけ、人心を掌握しつつ、望みを叶えさせる。


 これが1年時に絶対女王の名の下に生徒会長になった麗姉の手腕である。


 さて、麗姉がムチなら俺は飴である。


 具体的には香恋ちゃんを愛でるのが仕事だが、実際にやったケースを見てもらえると分かりやすいと思う。




 ケース1 <褒める>




「はい、20分休憩。

 次は数学やるから、準備しておきなさい」


 麗姉がそう言うと、マイカップを持って俺の部屋から出て行く。


 飲み物のお代わりとお手洗いに行ったのだろう。


 麗姉が部屋から完全に出て行くと、


「お兄ちゃん、疲れたよ〜」


 香恋ちゃんがだらけきって、俺に抱きついてくる。


「うん、お疲れ様。

 よく頑張ったね、偉い、偉い」


 俺は抱きついて来た香恋ちゃんの頭を優しく撫でる。


「えへへ〜、もっと褒めてー」


 と、香恋ちゃんがふにゃふにゃする。


 ああ、これはあれだ。


 疲れきって、幼児退行してるやつだ。


「香恋ちゃんは偉いっ!

 やれば出来る子っ!

 香恋ちゃん可愛いよっ!」


 俺はオーバーに褒めてあげる。


 すると、香恋ちゃんが、


「ふにゃあ〜」


 と蕩けきって俺に持たれかかり、すりすりしてくる。


 その様子が懐いた子猫っぽくて、俺はつい香恋ちゃんの顎下をころころと擽ぐってしまった。


「にゃあ〜、にゃん♪」


 香恋ちゃんも興に乗ったのか猫っぽい声を出して喜ぶ。


 俺はその様子が可愛くて、香恋ちゃんを撫でて愛でる。


 撫でて愛でるって、略すと愛撫だなぁと馬鹿な事を考えながら、香恋ちゃんの気持ちをリフレッシュさせてあげた。


 なお、その様子は麗姉にバッチリ見られ、その後しばらく当たりが強くなったのは言うまでもない。




 ケース2 <膝枕>



 昼食後。


 すぐに勉強を再開しようとしていたが、香恋ちゃんがうとうとし始めていた。


「香恋、勉強を再開するわよ?」


 麗姉が強めに言うが、


「あっ、うん……」


 と、香恋ちゃんの反応が鈍い。


「これは駄目ね。

 いいわ、20分の仮眠をとりましょう。

 本番で寝られても困るし、感覚を身につけなさい」


 麗姉はさっさと見切りをつけ、スマホのタイマーをセッティングする。


 効率を重視する麗姉らしい判断でもある。


 実際、昼食後の30分未満の仮眠はその後の能率を大幅に上がるみたいだしな。


 本番でも大体1時間以上の昼休憩が設けられる事も多いので、20分というのはいいラインだろう。


「ふぁ〜い」


 と、香恋ちゃんが気の抜けた返事をすると、その場で横になろうとする。


「おっ、と」


 俺はそのままだと頭が痛いだろうと思い、香恋ちゃんの横に座り直し、


「はい、枕」


 と、俺の膝の上に香恋ちゃんの頭を乗せてあげる。


 俗に言う膝枕だな。


「ふみゅ、ありがとぅ〜」


 香恋ちゃんは舌ったらずな声を出して、そのまま寝に入った。


 すぅすぅと可愛らしい寝息が聞こえてくる。


 俺は満足げに香恋ちゃんの寝顔を眺めていると、


「優、ベット借りるわね」


「あっ、うん」


 つまらなさそうな顔をした麗姉が俺のベットに潜り込む。


 そして、うつ伏せになり俺の枕に顔を埋めて寝に入った。


 えぇっと、その姿勢は寝苦しくないのかな?


 麗姉らしくない行動に俺は見やるが、考えてもわからないので香恋ちゃんの寝顔に視線を戻す。


 穏やかで可愛らしい小顔。


 顔にかかった前髪をそっとずらしてあげると、髪がサラサラな事に気づく。


 いつも思うけど、香恋ちゃんはいい香りがするので、俺も気分が安らぐ。


 ふと、香恋ちゃんのおでこにキスしてみたい衝動に駆られたが、それはマズイだろうと踏み止まる。


 俺はそうしてタイマーが鳴るまでの20分間、香恋ちゃんの寝顔を堪能した。


 なお、タイマーが鳴り、目を覚ました香恋ちゃんが膝枕されていた事に気付き、顔を真っ赤に染めて羞恥に悶えていた事を追加しておく。




 ケース3 <肩揉み>




「はい、今日はこれでおしまい。

 明日も朝からやるから、12時前には寝なさい。

 それまでなら、トランペットをしても構わないわ」


 夜の9時を回り、麗姉が帰り支度を始める。


 去年なら12時近くまで勉強をしていたが、今の香恋ちゃんだと効率が下がるのと、トランペットを吹く事で1日の疲れを癒すのが狙いである。


「うあぁ、疲れたよー」


 香恋ちゃんがぐぅーと伸びをし、肩を軽く回す。


「あれ、香恋ちゃん、肩凝った?」


 俺はふと疑問に思ったので聞いてみると、


「うん、ちょっと」


 と、香恋ちゃんが照れ笑いする。


「なら、肩揉んであげようか?」


 俺は親切心から香恋ちゃんに提案する。


 機会があれば神輿のじいちゃん連中の肩を揉んでいるので、それなりに自信はある。


「えっと、いいの?

 じゃあ、お兄ちゃん、お願いします」


 言い方は遠慮がちだったが、すぐに香恋ちゃんが俺に背を向けてくれる。


「よし、任されました」


 と、俺は香恋ちゃんの華奢な肩に手を置く。


 そして、ツボの位置を確認し、先ずは軽く親指で刺激すると、


「痛いっ、痛いっ、お兄ちゃん痛いよっ!」


 香恋ちゃんがオーバーに痛みを訴える。


「えっ、ごめん」


 俺はバッと手を離し香恋ちゃんに謝る。


 香恋ちゃんは顔だけ振り返り俺を見る。


 その目は痛みでウルウルしていた。


「お兄ちゃん、もっと優しくして」


 と、懇願してくる。


「う、うん、わかった」


 香恋ちゃんの懇願に狼狽して答える。


 優しくしてって、軽くツボを押しただけなんだけど?


 俺は戸惑いつつ、今度はツボに指を触れさせてみる。


 それだけで、香恋ちゃんはビクッと肩を震わせた。


 ああ、あかん。


 香恋ちゃんのツボを押すのはNGだと理解した。


 なら、お次は、ツボに触れずに筋肉を優しく揉んであげる。


 が、


「っ―――!」


 と、香恋ちゃんは痛みに耐えるように身体を震わせる。


 これも駄目か。


 てか、軽く揉んでみたが、香恋ちゃんの肩は全然凝っていなかった。


 もう撫でるだけでいいや。


 俺はそう決めると香恋ちゃんの肩をすりすり撫でる。


 そこでようやく香恋ちゃんの気持ちが安らいだ。


 ふと、俺はそこで香恋ちゃんの脇腹をチョンと叩いてみると、


「ひゃうっ!」


 と、可愛らしい悲鳴をあげ、唇を尖らせて「お兄ぃちゃん?」と不満を訴える。


 うん、確信したけど、香恋ちゃんが敏感過ぎる。


 俺は「ごめん、ごめん、もうしない」と軽く謝り、肩への愛撫を再開する。


 5分ぐらいそうしてると、


「お兄ちゃん、ありがとう!

 大分楽になったよ!」


 香恋ちゃんは笑顔でお礼を言ってくれる。


 けど、楽になったって俺は撫でただけだし、恐らくそれはプラシーボ効果だろう。


 まあ、口には出さないんだけだね。


 俺が悟りを1人で開いていると、


「あら、優、私には揉んでくれないのかしら」


 と、麗姉が俺に言ってくる。


 てか、麗姉はまだ帰ってなかったのか。


「えっ、と?」


「私にも1日の疲れを労ってくれても罰は当たらないと思うけど?」


 俺が戸惑っていると『早くやりなさい』と目で急かしてくる。


「うん、まあ、ご希望ならやるけど……」


 ぶっちゃけ麗姉への肩揉みとか苦手なんだよな。


 そう言って機嫌を損ねられても困るので揉むけどさ。


 スタンバイした麗姉の肩に俺は手を置き、ツボを押し始めると、


「あっ……あっ……」


 と、余程気持ちいいのか喘ぎ声を漏らし始める。


 麗姉は香恋ちゃんと違い、凝っているのがよく分かるので入念に揉みしだいて行く。


 その都度、


「あっ、っん、いいわ、優。

 んっ、やっぱり上手ね」


 と、喘ぎ声を続けたまま褒めてくるので、調子が狂う。


 恋愛を意識させられたからわかった事だけど、肩を揉んでる時の麗姉はかなりエロい。


 俺は込み上げてくる感情を抑えながら、無心に麗姉の肩を揉み続ける。


 麗姉の喘ぎ声を聞きつつ、10分近く続いた精神修行が終わる頃には、


「ああ、気持ち良かったわ、優。

 また、宜しくね」


 と、頬を紅潮させツヤツヤした麗姉が、げっそりとした俺に声をかけて部屋からさっさと出て行く。


 だから、麗姉の肩揉みは苦手なんだよ……


 俺が深呼吸して気持ちを落ち着かせていると、


「お、お兄ちゃんっ!」


 香恋ちゃんが目に力を込めて、俺を呼ぶ。


「ん、香恋ちゃんどうしたの?」


「えっとね!

 最初は痛いかもしれないけど、次は痛いの我慢するからっ!

 だから、わたしもいつか気持ちよくさせてねっ!

 おやすみっ!」


 と、香恋ちゃんは言い放つと部屋から出て行った。


 俺は部屋に取り残され、呆然としてしまう。


「気持ちよくさせてねって、肩揉みにそこまで気を張らなくても……」


 俺のそのボヤキに答える人はいない。




 と、俺がやったのはこんな感じだ。


 羅列するとろくな事をしてない気がしないわけでもないが、香恋ちゃんも麗姉も満足してるので良しとする。


 肩揉みについては恒例化しちゃったけど、いつかは止めて欲しい。


 まあ、俺の内心はともかく、勉強会は概ね順調である。


 概ねと言うのは勿論例外があったからで。


 その話しは次にしておこう。


 とりあえず、俺が言いたい事は1つだけ。





 疲れた、お休みなさい。





 副題 <敏感過ぎる妹とエロ過ぎる従姉>






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓期間外の小話はこちらから↓

『かわいも』小話
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ