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可愛い妹が出来たので愛でます  作者: Precious Heart
第3章ー池袋ラプソディー
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秘話〜佐藤冴の独白〜

 



 佐藤冴。


 それが私の名前。




 ん、家族の話をする。


 私が肉親と呼べるのは母のみ。


 父だった男は離婚して別の女と暮らしてる。


 あの男は糞だった。


 母はずっと変わらずあの男を愛してた。


 私も父としてそれなりにあの男を慕ってた。


 それなのにあの男はよく浮気をしては母を悲しませた。


 終いには、家に寄り付かなくなり他所に子供を作って離婚。


 絵に描いたようなクズ。


 居なくなってせいせいした。


 けど、母は悲しみにくれ、心労で倒れた。


 今も入院している。


 母の介護は伯母がしてくれている。


 伯母は法的制度も使い、私と母の財産管理をしてくれている。


 そこに不正はない。


 むしろ、『一緒に住む?』と言ってくれるぐらいの善人。


 それを断ったのは私だ。


 1人の方が気楽だからだ。


 だから、私は中学、高校と寮がある私立を選んだ。


 基本、寮は遠方の特待生のみが使う事が多い。


 私の場合、学校側が私の家庭事情を考慮し、入寮を許可してくれた。




 ん、私の性格の話をする。


 私は感情を出すのが苦手だ。


 元々感情の起伏が大きくない。


 また、他人と話すのも面倒になる。


 優しい伯母ですらそう思う時がある。


 そんな私を私は嫌いだ。


 自分が嫌いなのに、誰かを好きになる気もない。




 そんな、私の趣味は人間観察。


 付け加えると恋愛してる男女を見る事が1番好き。


 矛盾?


 そんな事はない。


 例え矛盾しててもおかしくない。


 二律背反、心の中の天使と悪魔、人間は矛盾を抱える者だ。


 気にする必要はない。


 話がちょっと逸れた。


 男女が恋愛し、

 時に喧嘩し、

 時に別れたりするけど、

 それでも前向きである姿が好ましい。


 同時に、救われた気がする。




 父と母にも別の道があったんじゃないかと。




 私は高校生になり萌と友達になった。


 萌は私とは真逆の人間だ。


 だから、仲良くなれたのかもしれない。


 萌は思ってる事がすぐ顔に出る。


 その上、ビックリするほど真っ直ぐだ。


 私には少し眩しい。


 そんな萌が小鳥遊に恋をした。


 私はすぐにそれがわかった。


 そして、私は萌の恋を応援した。


 私のたった1人の親友と呼べる存在。


 母のように不幸になって欲しくない。


 それなのに。


 だからこそ。




 私は今日大失敗した。




 小鳥遊の傍に2人の女がいた。


 1人は妹になったばかりの可愛い少女。


 もう1人はずっと萌の邪魔をしていた生徒会長。


 今まで何も行動してなかったのに、急に恋する乙女になっていた。


 正直、この時点で頭に来ていた。


 けど、生徒会長が恋する乙女になったのは私としては好ましい。


 だから、この時点では我慢出来た。


 我慢出来なくなったのはサイザで小鳥遊を尋問した時。


 明らかに3人が小鳥遊を好きなのに小鳥遊は気づく様子がない。




 その姿が私と母を無視し続けたあの男と被った。




 私が口を出す事ではない。


 それはただの八つ当たり。


 そう頭で分かっていても私は止まらなかった。


 言っている内に本当に小鳥遊を殺したくなってきた。


 これは本当にマズイ。


 私は慌ててサイザを後にした。


 そのまま電車に乗り寮の自室へと戻った。




 冷静になってから私を襲ったのは後悔と驚きだ。




 後悔は全てを駄目にした事。


 萌の応援も、


 今までしてきた事も、


 夏休みの計画も、


 3人の恋心も全てがパー。


 私が小鳥遊から距離を置かれるのはいい。


 自業自得だから。


 けど、萌まで距離を置かれたらやるせない。


 萌を不幸にさせたくなかったのに、私自身の手で不幸にさせてしまう。


 そうならないように、私はまた睡眠時間を削って考えなければならない。


 私は私に出来る事をしないといけない。




 驚きは私にあそこまでの感情があった事。


 頭でわかってるのに体が心に従った事は初めて。


 本当なら喜ぶべき事。


 私も同級生みたいに普通の人間になれる。


 自分の事を好きになれる事のはず。


 だけど、怒りで我を忘れたのは喜ぶべき事ではない。




 そう、1人で思考を巡らせていると、スマホが鳴った。


 電話だった。


 珍しい。


 スマホを見れば萌からだった。


 そのスマホを取るのは怖い。


 けれど、取らない訳にはいかない。


「ん、もしもし」


『もしもし、冴ちゃん。

 大丈夫?』


 萌は甘い。


 あんな事したのに私を気遣う。


 でも、そこが萌のいい所。


「ん、大丈夫。

 冷静になった。

 後、ごめん。

 つい頭に血がのぼった。

 小鳥遊を殺す気なんてないから安心していい」


『あっ、麗華さんの言う通りだったんだ……』


「生徒会長?」


 生徒会長がどうかしたのだろうか。


『ううん、気にしないで』


 一体なんなんだろう?


「萌、あの後どうなった?」


 聞きたくないけど聞かなばいけない。


『えーとね、うん、何て言えばいいんだろう?』


「ん、正直に言っていい。

 私のせいであの場でみんなの関係は壊れた」


『あー、壊れたけど、壊れてないって言うのかな?』


「ん、よくわからない。

 端的に言って」


『端的に言ったら、ゆ、優くんのハーレムが出来ました』


「ん、意味がわからない」


 本当に意味がわからない。


 あの状況からどうすればそうなる?


『だよね、私も不思議に思う』


 電話口で萌がカラカラと笑う。


 どうやら悪い方向にはならなかったみたいだ。


『だから、冴ちゃん。

 明日また会おう?

 会って今日の事話すから。

 その時は冴ちゃんの事も聞かせてね』


「ん、わかった」


『それじゃあ、また後で『ライス』送るからよろしくね』


「ん、また『ライス』で」


 そう言って、通話を切る。


 さて、不安はなくなった。


 私の想定とは外れた形で。


 ただ、悪い事はなかったようだ。


 萌が小鳥遊を名前で呼んだ。


 萌が生徒会長を名前で呼んだ。


 その事からみんな仲良くなった事は確か。


 萌や生徒会長の案じゃない。


 小鳥遊だとも思わない。


 なら、あの場にいたのは小鳥遊妹。


 あの可愛いらしい少女があの場をひっくり返したのか?


 私の視線から目を背けたあの子が?


 これは明日、萌に確認しないといけない。


 それと同時に私も自分の事を萌に伝えよう。


 私の話は重い。


 だから、萌には伝えなかった。


 萌から引かれたり嫌われたくなかった。


 けど、あんな事をした私を萌は態度で許していた。


 なら、萌をもっと信用しよう。




 私が私の事を少しでも好きになれるよう。


 これから頑張ろう。






 副題 <裏魔王は迷える子羊でした>







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