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可愛い妹が出来たので愛でます  作者: Precious Heart
第3章ー池袋ラプソディー
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23話〜妹と従姉と委員長と③〜

 



 佐藤が去った後、俺は頭を抱えていた。


 佐藤が言った殺す発言の事。


 香恋ちゃんや麗姉、委員長は本当に俺の事が好きなのか?


 委員長はともかく香恋ちゃんは初対面なのに何故佐藤は断言出来るのか?


 色んな疑問が頭の中を駆け巡って行くが、答えなんて出ない。


 香恋ちゃんを見ると、頬を膨らませて佐藤が去った先を睨んでいる。


 麗姉を見ればスマホを猛スピードで何やら操作しており話しかけづらい。


 委員長に目を向けると、涙目の委員長と目が合い、委員長は顔を赤らめると俯いてしまう。


 うん、これどうすればいいんだろう?


 てか、俺はどうしたいんだろう?


「んーと、佐藤さん……でしたっけ?」


 この場で最初に発言したのは意外にも香恋ちゃんだった。


「は、はい、そうです」


 委員長は俯いていた顔を上げて答える。


「さっきの佐藤さん? はいつもあんな危ない人なんですか?」


「いえ、あんな冴ちゃんは初めてです。

 正直、私も何が何だかわからなくて……

 あっ、紛らわしいので私は萌と呼んでください」


「わかりました、それじゃあ萌さんとお呼びしますね。

 それじゃあ、さっきの佐藤さんは普段はどんな人なんですか?」


 香恋ちゃんが委員長への質問を続ける。


 その姿はなんていうか香恋ちゃんらしくなかった。


 基本、人見知りで、俺には可愛らしく甘えてくる香恋ちゃん。


 今はそのどれにも当てはまらない。


 いや、俺と会ったばかりの頃はこんな感じだったかもしれない。


 1週間しか経ってないから、まだ会ったばかりと言えば会ったばかりなんだけど。


「えっと、冴ちゃんは普段から基本的に最低限の事しか言わないですし、表情も読みづらいので、何て言うか分かりづらいです。

 クラスのみんなは不思議ちゃんって呼んでます。

 ただ、そんな冴ちゃんでもずっと傍にいてくれたり、相談に乗ってくれたり、色々応援してくれてたので、

 冴ちゃんがどうしてあんな態度をしたのかが本当に分からないんです」


 委員長は涙を流し、「えっと、ごめんなさい」と言葉を結ぶ。

 それが何に対するごめんなさいかは分からないけど、香恋ちゃんも言葉に詰まり黙ってしまう。


「萌、貴女は冴の家族については知ってるのかしら?」


 そこで、麗姉がスマホから顔を上げ、委員長に訊ねる。


「えっ、冴ちゃんの家族ですか?」


「えぇ、そうよ」


「えーと、あれ?

 そう言えば聞いた事がないかもしれないです……」


「そう」


 麗姉はため息をつき、


「なら、気にする事ないわ。

 優もさっきの殺す発言について気にしなくていいわ。

 多分、頭に血が上っていただけでしょう。

 冷静になればいつも通りに戻るわよ」


 そう、麗姉は断言した。


「えっと、何で生徒会長はそう言い切れるんですか?

 生徒会長は冴ちゃんの何を知ってるんですか?」


「麗華でいいわ。

 もう邪魔する気もないし、ここまで来たら生徒会長も意味がないわね。

 それと、冴に限らず、あの学校において私が知りたいと思って知れない事は何1つないのよ」


 麗姉は悠然と微笑み、そう断言した。


 うん、何て言うか魔王様っぽい。


「えーと、麗華さん、ですか?」


「ええ、それでいいわ。

 それと、冴について何を知ったか詳細は省くわ。

 ただ、彼女、大分複雑な家庭環境があるみたいね」


「そ、そうなんですか?」


「ええ、知りたければ後で本人から聞きなさい。

 実害はないし、あんなんでも友達なんでしょ?」


「はい」


 委員長は麗姉の言葉にしっかりと頷いた。


 まあ、それでも、


「えっと、麗姉。

 実害がないって言っても、万が一佐藤が俺を殺そうとしたらどうするの?」


 それだけは確認しておきたい。


 俺は佐藤の家庭事情なんてわからないし、今後委員長と佐藤とどう付き合っていいかに関わってくる。


「優、さっきも言ったけど気にする事ないわ。

 優が殺される事はないから」


「その根拠は?」


「時間をおけば彼女も落ち着くでしょうし、

 万が一、優に危害が加えられそうなら、





 私がその前に彼女を殺すわ」





 えーと、麗姉、殺すとか物騒な事を言わないで欲しい。


 いつからこの物語りはそんな殺伐としたものになったのだろう?


「彼女の話についてはここまでにしておきましょう。

 それよりも優が私達3人とこれからどう付き合って行くかの方が大事だわ」


 と、麗姉は話を進める。


 どう付き合って行くかって、やっぱりさっきの好きとか云々の話だよな。


「癪だけど、既に賽は投げられたわ。

 こんな展開は流石の私も想像してなかったけど、投げられたものは仕方ないわね。

 全く、香恋が来てからと言うもの、私の予定が狂いっぱなしよ」


「お姉ちゃん、それわたしは悪くないよっ!」


 異議ありと言わんばかりに香恋ちゃんが発言する。


「あら、私がそう思っているのだから、香恋の意見は意味がないわね」


「むーっ!」


 香恋ちゃんが麗姉に軽くあしらわれて口を尖らせる。


 うん、何だかこのやり取りを見てると落ち着いてくるから不思議だ。


 ただ、この話を進める上で、1つ確認しておきたい事がある。


「えーと、さ、前提として3人が俺の事を好きって、本当?」


 この時の俺は大分情けなかったと思う。


 ただ、俺は確認せずにはいられない。


 佐藤の言葉を鵜呑みにして、自分が3人から好かれていると勘違いした痛い男になりたくはなかったからだ。


「はぁ、優、それを女の子達に言わせるの?」


「まあまあ、お姉ちゃん。

 お兄ちゃんだから仕方ないよ」


 香恋ちゃんと麗姉がやれやれと笑い合う。


 えっと、2人ともそんな仲良かったっけ?


 そして、香恋ちゃんはスーハーと深呼吸して、


「お兄ちゃん、わたしはお兄ちゃんの事が大好きだよ♪

 一目惚れの、もうベタ惚れ。

 いつかは恋人になって、結婚したいぐらいもう、大、大、大ー好きっ!」


 香恋ちゃんは満面な笑みの浮かべ、俺の腕を取る。


「結婚したいって、兄と妹だよ?」


 思わず出た疑問に、「んふー♪」と自慢気に胸を張る。


「やっぱりお兄ちゃんも知らないよねっ!

 あのね、連れ子同士なら別に結婚出来るんだよっ!

 あっ、でも当分はお父さんとお母さんの約束もあるから、妹としていっぱいお兄ちゃんに甘えたいかなっ♪」


 香恋ちゃんは茶目っ気に言うが、俺の知らない事ばかりで戸惑うしかない。


 えっ、てか、父さんも知ってる訳?


 問題が起きたら叩き出すって、そういう事も踏まえての事?


「なら、次は私ね」


 困惑中の俺だが、間髪入れずに麗姉が香恋ちゃんに続く。


「優、私は貴方が好きよ。

 優は私の物。

 誰にも渡しはしないわ」


 麗姉の告白は香恋ちゃんに対して大分簡潔だった。


 ただ、言葉の端々や俺を見つめる瞳に万感の想いが込められていた。


「えっと、麗姉は従姉、ってか家族みたいなもんだし」


「あら、なら別に家族として夫婦になったって問題はないわね。

 香恋の言葉じゃないけど、従姉妹だって結婚出来ない事はないのよ?」


「んなっ!」


 俺は意味のわからない言葉を思わず上げてしまう。


 それぐらい麗姉の発言は俺にとっては驚愕物だった。


「ゆ、優くんっ!」


「は、はいっ!」


 そして、委員長からの唐突な下の名前呼びに俺もつられて返事をする。


「私、佐藤萌も小鳥遊優くんの事が大好きです。

 今日だって、冴ちゃんと優くんをデートに誘う時の服を選んでました。

 け、結婚とかはまだよくわからないけど、優くんと恋人になって、色んな所に行って、2人の思い出をいっぱい作りたいです」


「お、おう」


 なんだこれ?


 俺がみんなに聞いた事とはいえ、みんなの告白には想像以上の衝撃があった。


 胸がドキドキして、

 頭がポワポワする。


 まるで何かの熱にかかったようだ。


「それでお兄ちゃんは私達の事を、正直にどう思ってるのかな?」


「あら、それは気になるわね」


「私も聞きたいです」


 3人が俺の気持ちを聞いてくる。


 俺の正直な気持ちか。


 俺は目を閉じて、自分の気持ちを整理してみる。




「えーと、香恋ちゃんは繰り返しになっちゃうけど可愛い妹って感じかな。

 甘えてくる姿がメッチャ可愛いし、たまに見せるトランペットを吹く姿はいいと思うし、兄として幾らでも可愛がる……てか、愛でたい」




「麗姉はやっぱり家族かな。

 昔から何をするにしても一緒だったし、傍にいて当たり前だったし。

 まっ、そりゃあ、正直合宿とか辟易する事もあるけど、やりきった時の達成感はハンパないし、本当に嫌だったら付き合ってなかったんだと思う」




「委員長は凄い真面目ないい子だと思ってる。

 半ば、みんなから押し付けられた1番厄介な委員長なのに一生懸命取り組んでもんな。

 だから、俺は委員長が困ってる事があったら力になりたいと思ったし、クラスの連中からも委員長が親しまれてるんだと思う」




 俺は3人に自分が思ってる事を告げた。


 途中、3人の反応を確認する余裕はなかった。


 それだけドキドキしてたし、緊張もしてたからだと思う。


 ああ、そうだ。


「後、ぶっちゃければ香恋ちゃん、麗姉、委員長から告白されて今凄えドキドキしてるし、告白された時はメッチャ嬉しかった。

 元々3人には好意があったけど、この胸の高鳴りが恋愛的な意味なのかわからない。

 てか、誰と付き合うとか今後どうしてくかについても全然考えがまとまらない。

 えーと、締まらないけど、俺からは以上です、はい」


 俺はそこで言葉を言い切る。


 そうして、3人の反応を確認すると、


「お兄ちゃんはわたしを愛でてくれるんだ〜♪」


 と、蕩けきったような香恋ちゃんが、


「まあ、優から嫌われてなくて、正直安心したわ。

 元々長期的に私色に染めて行くつもりだったから、焦って答えも出す必要はないわね」


 と、今更ながら顔を赤らめた麗姉が、


「私は優くんから思っていた以上に見てもらえてて嬉しいです。

 欲を言えば、委員長じゃなくて下の名前で呼んで欲しいですし、もっと仲良くなりたいですが、優くんから嫌われたくないので、優くんのペースでいいと思います」


 と、委員長が焦らなくていいと言ってくれる。


 えっと、委員長の名前呼びは善処するようにしよう。




「うん、じゃあここに『お兄ちゃん大好きハーレム』の誕生だねっ♪」




 と、香恋ちゃんが笑顔で爆弾発言をぶち込んでくれた。


「えっ、嫌よ、そんなの」


 そう言うのは、露骨に嫌な顔をする麗姉だ。


「えー、だってみんなお兄ちゃんの事が好きなんだから、仲良くしようよー

 お兄ちゃんだって、私達がギスギスしてたら嫌だよね?」


「いや、それはそうだけど」


 ハーレムって漫画じゃあるまいし、

 少なくても女の子が言うものじゃないと思う。


「だよね、だよね♪

 あっ、お姉ちゃんはハーレムになったら、いつかお兄ちゃんが1人を選ぶ時が来た時に自信がないのかな?」


「あら、言うじゃない。

 単純に独占したいからだけど、香恋がそこまで挑発してくれるなら乗ってあげるわ」


「うん、萌さんは?」


「えっと、香恋ちゃん?

 そのハーレムって一体何なのかな?」


「うーん、要はお兄ちゃんを好きな人達でお兄ちゃんに愛でてもらおうって感じかな♪」


「ゆ、優くんともっと仲良くなれるなら、私はそれでいいよ」


「うん、じゃあ、決まりだねっ!

 という事でお兄ちゃん、今後もよろしくねっ♪」


 と、香恋ちゃんが確定事項のように俺に言ってくれる。


「あ、ああ」


 俺はあまりの展開に頷くことしか出来なかった。


 その後は、お腹を空かせた香恋ちゃんがウェイトレスさんに料理を持ってきてもらったり、

 香恋ちゃんが麗姉と委員長と『ライス』を交換し『ライス』グループを作ったり、

 普段の俺の話を香恋ちゃんが聞いたりするなど、

 香恋ちゃん無双タイムに入っていた。


 その間、俺は若干蚊帳の外だったが、とりあえずまとめると、





 今日、俺にハーレムが出来ました。






 いや、マジでなんでこうなったんだろう?






 副題 <爆ぜろ、このリア充め>






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