18話〜従姉とコーディネート〜
帰宅後。
朝ご飯を取り終えた俺は、香恋ちゃんと一旦別れて自室に戻った。
買い物は自宅を9時に出て、それまでに準備しておく事になっている。
準備と言っても、男の俺だとそこまでやる事は多くない。
忘れ物がないかの確認と着替え、髪型のセットぐらいだ。
荷物はそこまで必要もないので、財布、ハンカチ、ティッシュ、交通系ICカードをもうセカンドバッグに入れてある。
髪型は短髪のツーブロックと比較的楽な髪型をしており、朝シャンした後に既にセット済みだ。
となると、やる事と言えば着替えぐらいだろう。
流石の俺も、朝来ていた黒のタンクトップにハーフジャージで池袋に行く度胸はない。
クローゼットを軽く眺め、お気に入りの服を選ぼうとするが、今日は暑いからジャッケットを羽織りたくはない。
さて、どうしようかな?
「左から2番目の開襟シャツとこの前買ったスキニーパンツにしときなさい」
「うん、そうするか」
俺は言われた通りにクローゼットから解禁シャツとタンスからスキニーパンツを取り出す。
それで、着替えようとして、
「てか、何で当たり前の様に麗姉がいるのさ?」
俺は当然のツッコミを麗姉に入れる。
「準備が終わって暇になったからかしらね」
「あっ、そう。
これから着替えるんで、出て行ってもらえませんかね?」
「あら、今更私に見られても恥ずかしい事はないでしょ。
昔は一緒にお風呂だって入ってたわよね」
「いつの話だよ?」
俺はジト目で麗姉を見るが、麗姉はベッドに腰掛けたまま頑として動こうとはしない。
なので、俺は麗姉に背を向けてさっさと着替える事にする。
今着ているタンクトップを脱ぎ、インナーを着てから、開襟シャツを羽織る。
その都度麗姉が「成長したわね」とか「いい広背筋ね」とか口にするが止めて欲しい。
見られるのを慣れているとは言え、何だかむず痒い。
んで、ズボンをさっさと着替える。
恥ずかしいので、詳細は割愛。
ただ、パンツの色を吟味する必要はないよねとだけは言っておく。
「ん、終わったよ」
俺は着替え終えると、麗姉に振り返ってからそう告げる。
「あら、そう。
やっぱりシンプルイズベストね。
似合ってるわよ」
「ど、どうも」
まさか麗姉が褒めてくれるとは思っていなかったので、何だか照れる。
俺は麗姉の服装を軽くチェックする。
麗姉のトップスは白のブラウスであり、ボトムスは黒のタイトスカートである。
モデル顔負けのスタイルの麗姉がその服装をしていると、グッと大人の雰囲気が漂う。
妖艶ではあるが下品さはないオーラがある。
「麗姉も雰囲気に合ってて綺麗だよ」
半分お世辞だが、半分は本当である。
「あら、ありがとう。
でも、綺麗なのは知ってるわ」
と、麗姉はいつも通りに言うが、それは照れ隠しな気がした。
若干、麗姉の頬が紅潮して見えたからだ。
こんな麗姉は初めてかも知れない。
いつもは俺に褒めさせて、真顔で「当然でしょ」と切り返してくるからだ。
なんか心境の変化でもあったのかな?
俺はいつもと違う麗姉に落ち着かずにいると、コンコンと部屋のドアがノックされる。
「はーい」
俺は、条件反射で返事すると、
「お兄ちゃん、準備できたー?」
と、ドアを開けておめかしした香恋ちゃんが入ってくる。
そして、
「えっ、何で、お姉ちゃんがいるの?」
香恋ちゃんは目をパチクリさせて、驚きを露わにする。
まあ、そうなるよね。
「あら、香恋だって今部屋にいるのだから、私がいたって何もおかしくないじゃない」
「そうだけど、って、ああああ!」
セリフの途中で香恋ちゃんは悲鳴に近い声をだした。
一体なんだろうと思っていると、香恋ちゃんは俺と麗姉を見比べて、
「ぺ、ペアルックっ!!」
と、そう声をあげた。
「へっ?」
俺は意味が分からず、自分の服装と麗姉の服装を見比べて見る。
俺は白の開襟シャツに黒のスキニーパンツ。
麗姉は前述通り、白のブラウスに黒のタイトスカート。
色は一緒で、袖や裾の長さも似通っている。
ペアルックと言われれば、ペアルック以外の何物でもない。
「あら、奇遇ね」
と、麗姉は惚けているが、指定したのは麗姉なので恐らく狙ってやったのだろう。
「嘘だっ!!」
と、香恋ちゃんがそう口に出すがそれはいけない。
別の漫画になってしまう。
俺は猟奇殺人の被害者にはなりたくないからな。
「まあ、別に嘘でも本当でもどうでもいいわ。
それで、香恋はどうするのかしら?」
麗姉はしたり顔で香恋ちゃんを挑発する。
ううー、と香恋ちゃんは唸り、
「私も着替えてくる」
と、部屋から出て行こうとする。
「別に着替えてもいいけど、ちょうどいい服はあるのかしら?
それと、もうすぐ9時だけど、時間なくなっちゃうわよ?」
朝の意趣返しなのだろうか?
朝、香恋ちゃんが言ったセリフを麗姉が言う。
「お姉ちゃんって意地汚いよね」
「あら、褒めてくれて嬉しいわ」
香恋ちゃんらしくない言葉に、麗姉は微笑んで返す。
この件に関して俺はずっと蚊帳の外で、
香恋ちゃんは諦めてこのまま買い物に行く事になった。
えーと、俺から言える事は1つだけ。
この雰囲気で、この3人で買い物しに行くの?
マジで?
副題 <魔王様が本気を出し始めました>




