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可愛い妹が出来たので愛でます  作者: Precious Heart
第2章ー怖い従姉が舞台に上がりましたー
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秘話〜小鳥遊麗華の独白〜

小鳥遊麗華サイドです

 



 私の名前は小鳥遊麗華。


 小鳥遊家の宗家にして宗主であるお父様の1人娘。

 そして、西高校の生徒会長にして絶対女王として親しまれている。


 そんな私には1つ下の従弟がいる。

 勿論、優の事だ。


 昔の優はそれはそれはとても可愛らしかった。

『おねぇちゃん』とよく呼んでは、私の後をくっついて歩いて来た。

 そんな優を私は実の弟みたいに可愛いがり、周りからはよく仲の良い姉と弟に間違われていた。


 うふふ、意外かしら。


 でも、そんな時代も確かにあったのよ。




 そんな私の転機となったのは叔母様が亡くなった時の事。


 お母さんっ子だった優はいっぱい泣いていた。


 叔父様だけでなく、お父様やお母様も優を慰めていたけど、中々立ち直らなかった。


 私はそんな優を見ていられなかった。


 私の半身が泣いているみたいで、見てるだけでとても辛かったから。


 どうか泣かないで。


 いつもみたいに笑っていて。


 どうしても泣き止んで欲しかった私は、


 優に言ってしまったのだ。


『優、泣くのはお止めなさい。

 あなたは小鳥遊家の1人なのよ』


 そう、確かに言ってしまったのだ。


 そして、それは今の小鳥遊麗華というキャラの始まりでもあった。




 それから、優は立ち直り、私は幼いながらも優を鍛えようとしたわ。


 二度と泣かなくて済むように。


 何があってもすぐに立ち直れるように。


 優を力強い男の子にしようとした。


 その努力の甲斐もあって優はすくすくと成長したわ。


 ただ、問題があるとしたらちょっとやり過ぎたぐらいかしら?




 そして、私が中学校に上がった時、私の考えが少し変わった事を覚えているわ。


 周りの同級生が次々に初恋し始めたから。


 節操もなく、やれ同級生やら、先輩やら、黄色い声を上げ始める。


 失恋したかと思いきや、一か月もしたら別の人に恋をし始めていたわ。


 そして、私は思ったわ。


 ああ、人の恋愛感情は移ろいやすく、また際限なく広がっていくものだって。


 同級生が読ませてくれたハーレム物の漫画やワイドショーで流れる浮気の話を見て、その考えは確信に至ったたわ。


 同時にこうも思ったわね。




 なんて人は醜いんだろうって。




 うふふ、ここだけ見たら私はどこぞの魔王だって思われるかしら?


 でもね、そう思ってしまったのだから仕方ないじゃない。


 それに私も何度か異性から告白されたわ。


 恋愛感情について、いまいち分からなかった私は正直に全て断ったけどね。


 ただ、相手の告白を断る事に最初は罪悪感を抱く事もあったわ。


 けれど、その罪悪感はすぐに消えてなくなった。


 あれだけ私に愛を語ってみせたのに、すぐ他の子同様に新しい子と恋愛してるのを見たからだ。


 ほら、やっぱり醜いでしょ?


 お陰さまで私は告白を――相手の思いを断る事に、何も罪悪感を抱かない、自分でも嫌な女になっちゃったわ。


 嫌な女なのは元からかしら?


 それは今となってはどうでもいいけどね。


 言いたいのは、一時の恋愛感情で私を振り回さないで欲しいって事。


 そして、私の心配は優の事。


 まだ優は小学生だから心配は少ないけど、中学校に上がったらきっと私みたいに異性から告白される事もあるだろう。


 そう、一時の恋愛感情で私の優が振り回されてしまう。


 振ったり、振られたりする事もあれば優が傷つく。


 そして、優が傷つく事に慣れてしまったり、


 私みたいに何も感じなくなってしまったとしたら、


 それは腸が煮えくり返るほど度し難く、許し難い物に思えた。


 だから、私はそれを避けるために行動を開始した。


 氏子とかしきたりとか()()()()()()のだけれど、養子にして手元に置いておけるだけの理由で、しきたりに煩いジジイ連中を焚きつけた。


 まあ、これはお父様に止められて、半分不発になってるけど、将来的に種は播けた。


 後は発芽するのを待つだけだし、あくまで保険なので本命には影響しない。


 本命は告白する相手の心をへし折ってしまう事。


 一時の恋愛感情から目を覚まさせてしまう事。


 そのためには小鳥遊家としてでない他の小鳥遊麗華が必要になった。


 力をつけねばいけなかった。


 容姿や勉学は勿論、交友関係にも気を配った。


 そして、私は色んな生徒に貸しを作った。


 別にお金の貸し借りの事じゃない。


 勉強とか悩み相談とかその他諸々だ。


 時には現状のルールを打破するために教師の弱みを握り、校則を変えた事もあった。


 そうして、私は小鳥遊家とは別に絶対的な生徒会長という立場を手に入れた。


 この学校にいる限り私には逆らえないというレッテルを全員に貼りつけた。


 人は第1印象でレッテルを貼り、上下関係を決める。


 私は絶対的な生徒会長というレッテルを貼り、最初から相手のマウントを取る事に成功したのだ。


 後は簡単だった。


 優が中学に上がり、そして高校に上がり、案の定女の子は優に惚れ始めた。

 だけど、私の思惑通り恩を作った生徒の協力もあり、優が告白される前に告白する女の子の心をへし折る事が出来た。




 人の思いを踏み躙るなんて酷い女だって思うかしら?




 でも、私はなんとも思わない。


 優が恋愛で傷つく事がないのであればそれでいい。


 優の心が平穏でいられるように。


 いつか泣いていた優を見ないで済むように。


 私は喜んで魔王となろう。





 けれど、そんな魔王にだって誤算はある。





 1つ目は優が私に対して苦手意識を持ってしまった事。


 これは自業自得だから甘んじて受けるしかない。




 2つ目は優がちょっと鈍感になってしまった事。


 これは告白される前に私が全て邪魔して来たからだ。


 だから、優は相手の好意と行為に対して恋愛感情と結びつける事が出来ない。


 具体的に言えば、女の子が目の前で顔を真っ赤に染めて立ったとしても、それを告白と結びつける事が出来ずに、『そんな緊張してなんの相談かな?』と思ってしまうのだ。


 そんな優の目を覚まさせるには、無理矢理、恋愛を意識させてあげないといけない。


 それこそいきなりキスをするぐらいの勢いで行かないといけない。




 だって、古今東西、魔王に囚われたお姫様を救うのは王子様のキスなのだから。




 ……柄にもない事を言ったわね、忘れてちょうだい。


 その点において、不安対象になる相手はいない。


 優の今のクラスの委員長の心が中々折れないけど、彼女にそこまでの度胸はない。


 それに、私が言うのもなんだけど、彼女はなんていうか不幸の星の元に産まれたと思うほど、不運なのだ。


 具体的に言えば、私が手を出すまでもなく、半分近くは自滅し、告白に失敗している。


 だけど、私は念には念を入れることを怠らずに彼女の心を折る。




 そして、3つ目は優に香恋という妹が出来た事。


 しかも、優が女の子に対して「可愛い」と感じていた。


 これは今までにない事だった。


 しかも、生徒会長としての小鳥遊麗華は使えない。


 香恋は生徒会長としての小鳥遊麗華を知らないからだ。


 だから、私は小鳥遊家の小鳥遊麗華としてからマウントを取る事が出来ない。


 これは、些か難しいかと思ったが、香恋の自己紹介を聞いてそれは杞憂に終わった。


 可愛いだけの取るに足らない小娘だと思った。


 そう思ったのに……




 私は優に少し嫌われるのを覚悟で強引にマウントを取りにかかった。


 案の定、呆気なく香恋は私に苦手意識を感じて意気消沈した。


 香恋は私に逆らえないというレッテルを貼り終わった。


 貼り終わった、はずだった。


 見切りをつけた私の自己紹介に、香恋は自己紹介を返してきた。


 心を折ったはずなのに、立ち上がってきた。


 そう、諦める事を知らない物語りの勇者のように。


 面白いと思った。


 なら、魔王として勇者の心を本気で折ってやろうとした。


 香恋が去年の大祭に来ていた事は知っていた。


 祭りという浮ついた雰囲気で、優に告白してくる女がいないか見張っていたからだ。


 だから、その時、香恋が優に恋心を抱いた事も気づいていた。


 告白する事はなかったからその時は放置したけど。


 私はその大事な思い出に土足で踏み上がった。


 そうして思い出を汚し、心を折ろうとした。


 だが、香恋の心は折れなかった。


 むしろ、やり返された。


 そして、魔王など関係ないと言わんばかりに優とイチャつき始めた。


 こんな事は初めてだった。


 私は改めてマウントを取ろうと小言を言ってみた。


 まるで小姑みたいだと自虐しながら。


 そして、その小言すら香恋は私の予想を上回って来た。


 香恋が優に自然と抱きついたのだ。


 思わず、私は愕然とした。






 ()()()()()()()()()()






 香恋みたいな子が計算して行動しようしたら、その動作にはぎこちなさが伴う。


 だけど、香恋にはそのぎこちなさがなかった。


 まるで、『お兄ちゃんが出来たらしてみたい100の事』が常に頭の中にあって、それがたまたま今のシチュエーションに合っただけみたいだった。


 そう、香恋は私の事など、最初から眼中になかった。


 香恋は優の事しか考えてなかった。


『お姉ちゃんは1人で魔王でもなんでもやってれば?』と言わんばかりだった。


『お姉ちゃんがそうしてる間にお兄ちゃんの事はもらうけどね♪』とも言われた気がした。


 思わず、私の口から笑いが溢れていた。


 優は怖がっていたけど、面白くて仕方なかった。


 だってそうでしょう?


 これまで私が作り上げてきた小鳥遊麗華というキャラを、取るに足らないと思った小娘に一蹴されたのだから。


 笑わずにはいられない。




 だから、


 これからは、


 香恋に対しては、


 小鳥遊家の小鳥遊麗華ではなく、


 生徒会長の小鳥遊麗華ではなく、


 本当は優の事が大好きで、


 それでも『従姉だから』という理由で振られる事を怖がって土俵に上がらずにいた、


 本当の小鳥遊麗華で臨まなければならない。




『香恋、貴女、私と仲良くなりたいって言ってたわね?』


(香恋が本当の私を土俵にあげたいって言ったんだからね?)




『う、うん』


(あれ、お姉ちゃん土俵に上がるんだ?)




『いいわ、貴女は私が特別にいっぱい可愛がってあげる』


(ええ、本当の私を土俵にあげた事、たっぷりと後悔させてあげるわ)




『えっと、お姉ちゃんがわたしと仲良くしてくれるなら、嬉しいです』


(恋のライバルが増えたぐらいで後悔なんてしないもん)






『優は私の優』

『お兄ちゃんは私のお兄ちゃん』






『『絶対に負けないんだから!!』』





 副題 <香恋ちゃんパナイわぁ>







これにて2章終了となります。

次回3章もよろしくお願いします。

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