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可愛い妹が出来たので愛でます  作者: Precious Heart
第2章ー怖い従姉が舞台に上がりましたー
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14話〜妹と従姉のファーストコンタクト②〜

 



 麗姉達の席から一旦外した後の香恋ちゃんとの挨拶周り。


 俺はこの挨拶周りを出来るだけゆっくり行う事にした。

 1人1人に話しかけ、話しが途切れそうになれば、ビールを注ぎ話を盛り上げる。

 タバコを吸おうとする人がいたら「妹の前でタバコを吸わないでもらえますか?」とにっこり微笑み、外の喫煙所に誘導した。

 その間、戻ってくるまでその席で待つ事にして、その後もお酌を続ける。

 そうして、地味だが着々と時間を潰していると、


「ねぇ、優、私はさっさと挨拶を済ませなさいと言わなかったかしら?」


 氏子の1人である渡辺さんと話している時に後ろから声をかけられた。

 後ろをゆっくり振り返るとそこには仁王立ちをした麗姉がいた。


「れ、麗姉?」


「あら何かしら?

 何か言い分でも?」


 麗姉が上から見下ろして睨んでくる。


「いやぁ、ちょっと話しが盛り上がっちゃって」


 と、とりあえず俺が言い訳しようとしたら、


「そうなんですか、渡辺さん?」


 麗姉は逃げ道を潰し始める。


「いやいや、ちょっと話をしてただけださ。

 俺は一服してくるから、麗華ちゃんは俺の席を使っていいよ」


「あら、ありがとうございます」


 と、渡辺さんはさっさと席を立ち、俺をあっさりと見捨てた。


 てめぇ、さっきまで香恋ちゃんが可愛すぎる件について俺と盛り上がってたろうが!


「さて、それじゃあお話ししましょうか」


 と、先程まで対面に座っていた裏切り者の席に、正座した麗姉が香恋ちゃんを見てにっこりと微笑む。


「話すって何を?」


 俺は香恋ちゃんに麗姉の毒牙がいかないように口を挟むが、


「そこの香恋と話をするに決まってるじゃない」


 バッサリと切り捨てられる。


 ですよねー。


「えっ、と、わたしですか?」


 今まで黙って正座していた香恋ちゃんが麗姉に訊ねると、


「ええ、そうよ。

 貴女、先程の挨拶は何なのかしら?

 あんな見っともない挨拶しちゃって恥ずかしくないの?」


 麗姉は初っ端から香恋ちゃんに説教をし始めた。


「あ、えーと、ごめんなさい」


 香恋ちゃんはうな垂れた様子で麗姉に謝る。


「麗姉」


「貴女も小鳥遊家の一員になったのだから、常に堂々としていなさい」


「は、はい」


「麗姉」


「もしキチンと出来ないのだったら、私が一から教育してあげますわ」


「……はい」


「麗姉っ!」


「さっきから何よ、優?」


 俺の強目の呼びかけに、麗姉が鬱陶しそうに俺に向き直る。


「何よ? じゃない。

 挨拶もろくにせずに失礼な事を言っているのは麗姉だろ」


 俺は香恋ちゃんの悲しそうな顔をしてしまうのが気に食わず、麗姉に突っかかる。


「失礼な事ではなく当然の事を言ってるだけよ。

 まあ、そう言えば確かに挨拶はしていなかったわね。

 私が宗家の1人娘の小鳥遊麗華よ。

 優の1つ上で、優と同じ高校に通っていて生徒会長を務めてるわ。

 以後、お見知り置きを」


 麗姉はそう言い切ると『これで満足かしら?』と俺を見てくる。

 俺は俺で満足する訳もなく麗姉と無言で目をバチバチさせていると、


「えっ、と、お姉ちゃん」


 何故か、香恋ちゃんが参戦してくる。


「わたしは小鳥遊香恋です。

 西女中学3年生です。

 お兄ちゃんの妹になりました。

 お姉ちゃんとも仲良くしたいので今後ともお願いします」


 麗姉が自己紹介したからか、香恋ちゃんも続け様にそう自己紹介した。


「へぇー」


 その言葉を聞いて、麗姉は面白そうじゃないと口を歪ませて、ジロジロと香恋ちゃんを見つめる。


 ぶっちゃけ、俺は早く帰りたい。


「あら、貴女。

 去年の大祭に来てた子よね?

 その顔、どこかで見た事あると思ったわ」


 麗姉が不敵に笑い、香恋ちゃんにそう訊く。

 俺はと言うと、


「へっ?」


 思わず、気の抜けた声が口から漏れてしまう。


 香恋ちゃんが大祭に来てた?


 半年以上も前の事なのに?


 あれ、でもその時には父さんと香澄さんは知り合ってたから別に不思議ではないのか?


「お母さんと行ったけどよく知ってるね、お姉ちゃん?」


 香恋ちゃんはあっさりと肯定し、逆に麗姉に問いかける。


「ええ、大祭に来た人達は大体頭に入れてるし、貴女は優をずっと見ていたから、特に印象に残ってたわ」


 えっ、偶然じゃなくて俺をずっと見てた?


 麗姉の勘違いじゃなくて?


「あっ、そうなんだ。

 わたしがお兄ちゃんをずっと見てた事を知ってるなんて、

 お姉ちゃんもお兄ちゃんの事をずっと見てたんだね?」


 次々溢れ出てくる疑問と知らなかった事に俺の頭がパンクしそうになる。


「ちょっ、ちょっと待って」


 俺は手を出して2人にストップをかける。


 頭を整理したいのもあるが、


 このまま2人の言い合いがエスカレートするのはなんだか良くない気がしたのだ。


 だから、2人して『今大事な話をしてるんだから口を挟まないで』と顔をしないで欲しい。


 お兄ちゃん、ストレスで胃に穴が空いちゃう。


「えっ、と、香恋ちゃんは去年の大祭で俺を見に来てくれてたんだ? なんで?」


 香恋ちゃんは「だって」と手をモジモジさせ、


「お兄ちゃんを一目見たかったんだもん」


 と、可愛らしい事を言ってくれる。


 うん、照れるね。


「それなら、その時一言言ってくれてたら良かったのに」


「何て声をかければいいかわからなかったし……

 あっ、でも、お兄ちゃんは凄いカッコ良かったよ♪」


「あっ、ありがとう」


 可愛い妹からカッコイイと言われて嬉しくない兄がいるだろうか?


 いや、いるはずがない(反語)


 俺は髪型を崩さないように香恋ちゃんの頭を優しく撫でる。

 香恋ちゃんは目を細め嬉しそう細めて、それを受け入れる。

 しばらく、そうしていると、


「兄妹の仲がいい事はわかったけど、私の事を忘れてないかしら?」


 そう口に出してきた麗姉の視線が痛い。


「ソンナコトナイヨ」


 俺は思わずカタコトで返事してしまう。


「分かりやすい、嘘はお止めなさい」


「はい、すみませんでした」


 俺は素直に謝る事にする。


「それと、香恋。貴女足でも痺れてるのかしら?

 足を微妙に動かすのは見っともないから止めなさい。

 正座ぐらいできないの?」


 と、麗姉は香恋ちゃんに追撃する。


 俺は香恋ちゃんを見ると確かに足もモジモジさせていた。


「まあまあ、麗姉。たかが正座ぐらいでそんな目くじらを立てる事もないだろ?

 香恋ちゃん、辛かったら『失礼します』と言って足を崩していいんだからね?」


「優は甘いわね」


「麗姉が厳し過ぎるんだよ」


 香恋ちゃんはどうするか悩んだ末、


「失礼します」


 と、言って足を崩し始める。


「なっ……」


 そして、麗姉が驚きの声をあげた。


 俺ももちろんビックリした。


 てっきり女の子座りになるかと思いきや、両膝から下を右側にそっとずらし、

 自然と俺が座っている左側に上半身が傾き、

 それを支えるために香恋ちゃんが俺の右腕に抱き着くような形になったからだ。


「えっ、と、香恋ちゃん?」


「お兄ちゃんごめんね。

 でも、この姿勢が1番楽だから……

 お兄ちゃんが重くて迷惑だったら止めるから……」


「いや、迷惑なんて事ないよ。

 ただ、ビックリしただけ」


「本当? なら、良かった♪」


 と、香恋ちゃんは相好を崩して喜ぶ。


 まあ、いっかと俺が思っていると、


「アハ、アハハ」


 と、麗姉が笑い出す。


 えっと、麗姉、その笑い方メッチャ怖いんですけど?


「いい、いいわ。

 香恋、貴女は本当面白いわね」


 何が面白いのかわからないが麗姉はそう言いつつも不敵な笑い方を止めない。


「香恋、貴女、私と仲良くなりたいって言ってたわね?」


「う、うん」


「いいわ、貴女は私が特別にいっぱい可愛がってあげる」


 麗姉が舌舐めずりして、香恋ちゃんにそういった。

 その目は獲物をロックオンした獅子の目だ。


「ちょっ、麗姉?」


 俺は思わず麗姉の名前を呼ぶが、


「えっと、お姉ちゃんがわたしと仲良くしてくれるなら、嬉しいです」


 と、香恋ちゃんがにっこりと麗姉にそう告げた。


 先週、俺に言った言葉に近いものだが、意味が真逆に聞こえるのはなんでだろう?


 その後は、会が終わるまで2人して笑顔で話し続けていたが、俺の胸中はとても穏やかではなかったことをここに明記しておく。







 さて、なんでこんな風になっちゃったんだろ?










 副題 <魔王様からは逃げられない>






 裏題  <いつから魔王の相手がか弱い村人だと勘違いしていた?>





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