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可愛い妹が出来たので愛でます  作者: Precious Heart
第2章ー怖い従姉が舞台に上がりましたー
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10話〜妹と引越の後片付け〜

 



 翌日の土曜日。


 香澄さんと香恋ちゃんの引越作業は滞りなく終わった。


 ダンボールと自転車などの細かい荷物しかないのだから遅くなる事はまずなかったとは言え、とりあえず一安心である。

 因みに、引越作業は先日同様、父さんの会社の斉藤さんが、今度は2トントラックで荷物の搬出入を行い、トータルで2時間とかかっていない。

 あまりの手際の良さから思わず話を聞いたところ、色んな運送業を転々とし、今の父さんの会社に落ち着いたのだと言う。

 そんな斉藤さんは父さんから心付けをもらい、意気揚々と帰って行ったのを追記しておく。


 そして、今、俺はと言うと……


「香恋ちゃん、これは?」


「あっ、お兄ちゃん、それはこっちにお願い」


「ここでいい?」


「うん、ありがとう♪」


 香恋ちゃんのダンボールを開け、その中身を香恋ちゃんの指示されたところへ片付けているところだ。


 …………


 オーケー


 わかってる。


 妹とはいえ、他人の荷物を開けるのはデリカシーに欠けている。


 春樹みたいなデリカシーのない行動はしないんじゃなかったっけ、と言いたいんだろう?


 これには深い事情があるのだ。


 まずは今日の簡単なタイムスケジュールがこれだ。




  8:00 引越作業開始


 10:00 引越作業終了


 12:00 お昼ご飯


 15:00 着付け開始


 17:00 お宮参り(参拝)


 18:00 社務所の会議室にてお披露目会


 21:00 終了




 これは今朝の段階でわかっていた。


 悲劇だったのは引越作業、もといダンボール等の搬入が終わった後の事。


 香恋ちゃんは空いている時間を自由時間だと思っていたのだ。


 今までみたいに周りを気にせず、防音室を兼ねた自室で好きなだけトランペットが吹けるとテンションが上がっていた香恋ちゃんは、早速俺を自室に招きトランペットを吹き始めたのだ。


 そして、落とされる香澄さんの雷。


 『荷物の整理が最優先だと言うのは言わなくても普通わかるでしょ?』との事。


 全くもってその通りだった。


 そして、香恋ちゃんの荷物の整理が終わるまで、トランペットを取り上げられてしまったのだ。


 香恋ちゃんからしたら天国から地獄への急転直下。


 その時の香恋ちゃんの表情と言ったら、筆舌に尽くし難かった。


 だから、俺は思わず言ってしまったのだ。


『悲しんでてもしょうがないから、後片付けをさっさと終わらせようか。

 俺も手伝うから、2人でやればあっという間に終わるよ』


 と。


 香恋ちゃんは機嫌を取り戻し、


 そうして今に至る。




 うん、思い返してみたらそこまで深い事情でもなかったわ。


 香恋ちゃんは上機嫌で鼻歌を歌いながら作業をしてるし、俺も気にせず後片付けをさっさと終わらせればいい話だ。


 ダンボールも残りわずかだからすぐに終わるだろう。


 そう、油断してたのが良くなかった。


 俺は手に取ったダンボールのフタを開け、

 中身を確認してから勢いよくフタを閉じた。


 ダンボールの中身は下着だった。


 可愛らしいピンク色や白色のブラジャーとショーツが見えてしまった。


 そりゃあ、そうだよ。


 箪笥を始めたとした家具は全て新調したのだから、当然中身はダンボールに入れてくるに決まってる。


 妹になったばかりの下着を見るとか事案もんだろ。


「あれ、お兄ちゃん、どうしたの?」


 頭の中でテンパってしまい固まっていた俺に香恋ちゃんが声をかけた。

 そうして香恋ちゃんが下着の入ったダンボールの存在に気付き、顔を真っ赤に染めた。


 はい、終了。


 引越初日にやらかすとか、家から叩き出されるフラグしかなかったわ。


「見、見た?」


「うん、ごめん。見ちゃった」


 ガムテープが空いてるのに見ていないと嘘を言っても仕方ない。


「うわーん、お兄ちゃんの馬鹿ーーーっ!」


 香恋ちゃんは真っ赤になった顔を両手で覆い、蹲ってしまう。

 そして、蹲ったまま「お兄ちゃんの馬鹿!」、「変態さん!」、「お兄ちゃんなんてもう大っきらい!」、「もうお嫁に行けないー!」と俺を罵る。

 お、おう。

 香恋ちゃんの言葉がグサグサと俺の心に突き刺さる。


「香恋ちゃん本当ごめん!

 お兄ちゃんが馬鹿だった!

 それと、香恋ちゃんは可愛いんだから、お嫁にだってちゃんと行けるよ!」


 と、俺は香恋ちゃんを慰める。

 やらかした本人が言うなとは思うけど、今はそれを気にしても仕方ない。

 香恋ちゃんは覆ってた両手を外し、耳まで真っ赤に染まった顔をあげる。


「ほんとう?」


「うん!」


 何が?


「わたし、まだお嫁に行ける?」


「うん!」


「嘘じゃないよね?」


「うん!」


「じゃあ、もし行けなかったら、お兄ちゃんがちゃんと責任とってわたしをお嫁にもらってくれる?」


「うん! ……うん?」


 何も考えずに勢いでとにかく相槌を打っていたが、今、香恋ちゃんは何て言ってた?


「なら、許してあげる。

 けど、今は部屋からお願いだから出てって?

 後は、わたしでも出来るから。

 手伝ってくれてありがとうね、お兄ちゃん」


 香恋ちゃんは矢継ぎ早にそう告げると、

 俺の背中を押して部屋から俺を追い出した。


 とりあえず、家から追い出される心配はないだろうが、俺は後悔と不安でいっぱいになる。





 俺は一体何を約束したんだろう?





 副題 <妹とお約束な約束>






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