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第八話 遭難

やばい。

お腹が減って死にそうだ。


なぜ、僕が今、餓死しそうになっているかっというと、簡潔にいえば計画が甘かった。

その一点に限るだろう。


数日前


よし、町へ行こう。

そう思った僕は森へ入っていった。

その森の中の第一印象は、どこか別の世界のようだと感じた。

森の中はまだ明るい時間にもかかわらず、薄暗く、足元はぬかるんでいて、幽霊か何かが出てきそうな雰囲気だった。

数分ほど、歩いたらウサギのようなものに出会った。

なぜ、ようなものといったかというと、

それは、僕が知っているものより、筋肉が盛り上がっていて、牙がとても長く、口からはみ出していたからだ。

そのウサギは、まず、僕ではなく僕の作った水筒を破壊した。

その次に、僕のことを殺そうとしたので、つい、素手で殴ってしまった。

その結果、僕は血だらけになってしまった。

はっきりいって気持ちが悪い。

水筒を破壊されたため、水分がなくなってしまった。

まあ、なんとかなるだろう。

そう考え、僕は歩き続けた。

しかし、その後すぐに、先ほどのウサギような動物たちに襲われた。

おそらく、血の匂いに誘われたのだろう。

とてもうざい。

僕に勝てるわけないのに。

迷惑だから死んで欲しい。

そう心に思ったら、今度は動物たちが一斉に逃げ出した。

もしかしたら、殺意とかいうものが僕から出ていたのかもしれない。

まあ、これなら快適に進める。


しばらくして、僕は疑問に思った。

そろそろ森を抜けてもいいからなのにと。

昔の僕だったらこの森を1日で抜けるなんて不可能だが、今の僕は、身体能力がとても高く、これぐらいの森なら1日で抜けられる。

なのに、まだ抜ける気配が全然しない。

おかしい。

でも、どうしようもないので、進み続けた。


出発から1日たったと思う。

この森はあまり明るさが変わらないから時間感覚が少し狂う。

1日も飲まず食わずというのはとても辛い。

なぜ、動物を食べないのかって?

僕が殺気を出したせいで警戒されたか、怯えられたかして、全く近寄ってこなくなった。

まあ、もし動物の肉が手に入っても、火がつけられない。

火打ち石はあるが、燃やすものがない。


このような日々が続き、今に至る。

ほんとに死ぬ。

誰か助けてくれないかな。

そうだ。

声に出して助けを呼ぼう。

「た…けて」

うまく声が出ない。

水を飲んでいないからだろう。

とりあえず、周りの木々を破壊しまくれば人が来るかもしれない。

そうと決まれば、魔力の刃を四方八方に飛ばしまくろう。


木々を伐採していたら、誰かの声が聞こえた気がした。

顔をそちらへ向けると人が数人いた。

その人達が近づいてきた。


「おい!ガキ!大丈夫か!」

声がでかい。頭に響く。

でも返事をしよう。

「お腹…った。」

声がかすれて出しづらい。

「この子、お腹が減っているんじゃない?」

この声は女性だろう。

「ガキ!腹が減ってるのか!なら今干し肉があるから食え!」

そういって声のデカイ人は僕に干し肉をくれた。

いい匂いがする。

僕は夢中で干し肉を食べた。

とても美味しい。

そしたら、女の人が水を渡してくれた。

「あんまり急がない方がいいわ。」

久しぶりに水を飲んだ。

少し、元気になった。

やはり、食事は偉大だ。

そんなことを思っていると声のデカイ人が僕に話しかけてきた。

「すまん。さっきはお前が死んでるかと思ってデカイ声を出しちまった。怯えさせて悪い。」

声のデカイ人は実は普通の声で喋れる人だった。

今度は女の人が話しかけてきた。

「でも、どうしてこんな危険な森の中であなたみたいな小さい坊やが一人でいるの?ここはとても危険なところで私たちみたいなある程度の実力のある冒険者しか入ってはいけないはずなのだけれども。」

どうしよう。

何か適当に嘘でもつこうか、いや、それだとバレる可能性がある。

それならいっそのこと記憶をなくしたことにしよう。

「分からないです。」

そういうと、女の人は困ったような顔をした。

「どうしましょう。この子を親のところまで連れて行こうと思ったのに記憶がないとなるとねぇ。」

そうしていると、男の人が

「なら、俺たちと一緒にこの子を連れてけばいいじゃねえか。」

と言った。

「もしかしたらこの先の小さな町の子供かもしれねえだろ?」

おそらく、小さな町とは僕が壊したところだ。

よかった。嘘をつかなくて。

おそらく、嘘をついていたら途中でバレていただろう。

そして、女の人は

「そうね。そうしましょう。」

と言った。

そして、

「とりあえず、今日は休んで明日出発にしましょうか。」

と言ったので

男の人が

「そうだな、そうしよう。じゃあお前もしっかり休んどけ。」

と僕に言った。

お言葉に甘えてそうさせてもらおう。

この人たちは一応僕の命の恩人だから安全だと思う。

そして、いつの間にか僕は眠りに落ちていた。

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