第六話 復讐
あぁ。
僕は今怒っている。
おそらく、あいつらから見た僕はすごい形相をしているのではないかと思う。
でも、頭の中は逆に、怒りを通り越して冷静な状態だと言える。
あいつらをどうしてやろうか。
どうやって殺そうか。
あいつらが憎い。
何か僕に対して言っているが、どうでもいい。
心の中にドス黒いものが溜まっているような気がする。
なぜ、僕の両親を殺したのだろう?
僕は基本的に前世でも他人を差別したり、無意味に嫌ったりはしなかった。
話し合えばどうとでもなると思っていた。
だって人間は理性があるから。
本能のままに行動したりはしないと思っていた。
でも、あいつらは本能のままに行動したようだ。
殺したいから殺したのだろう。
愚かだと思う。
熊を素手で殺せる人間に対して敵対するなんて。
普通に考えれば分かるだろう。
馬鹿だ。
馬鹿な人間は嫌いだ。
だから、僕は今からあいつらを一人ずつ殺していこうと思う。
自分が生まれてきたことを懺悔させようと思う。
自ら死を望むような苦痛を与えようと思う。
共に働いた仲間がすぐそばで痛めつけられるのを見させようと思う。
親には、子供が泣き叫ぶのをそばで見させてあげようと思う。
町の人たち全員に馬鹿に生まれた罪を償わせよう。
とりあえず、町中を僕の魔力で満たして、質量を待たせた。
おそらく、あの中にいる全てのものは、動かそうとしても、全身を何かに押さえつけられているような状態になっているだろう。
僕は町にゆっくり近づいた。
町の人は罵声を浴びているような体勢で止まっていた。
その人たちから、両親の首を取った。
両親の表情は怒りや、悲しみ、絶望などで歪んでいた。
体を見つけたらお墓を作って埋葬してあげよう。
僕のせいで死んだようなものだから。
次に、近くにいた人の頭を覆っている魔力の質量を消して、体がどこにあるのかを聞こう。
「おい、僕の両親の体はどこだ。言わなければ殺す。」
と言ったら、
「町の広場にあります。お願いです殺さないでください。せめて家ぞ…」
みたいなことを言ったので途中で殺した。
後で家族を探して見せてこよう。
その前に、広場に行って体を取ってこよう。
広場に着いたら、僕の両親の体を見て大勢の人が笑っている。
後で殺そう。
あれ?
両親の体の隣になぜかマルクが血だらけで磔にされている。
てっきりマルクも向こう側かと思っていたが、殺されたようだ。
僕のせいで。
僕の両親とは別にもう一つお墓を作って埋葬してあげよう。
とりあえず。僕の両親とマルクの遺体は町の外へ置いてきて、町の人たちを殺そうと思う。
ということで、門のところまで来ました。
こいつらの頭の魔力の質量を消した。
色々な反応があった。
まず、僕が両親の体の場所を聞いた時に殺したのを見ていた人たちは一斉に僕に許しを求めた。
次に、僕が殺したのを見ていなかった人たちは僕のことを罵倒し、僕が殺したやつの死体を見て青ざめていた。
僕はとりあえず、
「家族がいるならそいつらを連れてこい。助けてやってもいいぞ。町から出ようとしたら殺す。」
と言ったら、
こいつらはすごい勢いで頷いた。
とりあえず町の外を覆うような魔力の壁以外は質量を消して、家族を呼ばせに行かせた。
なんでこんなことをするのかというと、家族を目の前で殺してやったらきっと普通に殺すよりも絶望するだろうと思ったからだ。
少しして、町中の人間が門のところに家族を連れて来た。
恋人同士のやつもいる。
まず、逃げないようにこいつら全員をまた魔力で動けないようにする。
近くにいた家族の頭の部分だけ動かせるようにした。
まず、妻と子供の前で父親を痛めつける。
「や、やめてくれ。頼む。やめろ。やめろ!やめろぉぉぉぉ!あぁぁぁぁアァァあ!痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!」
妻と子供は青ざめている。
せっかくだから殺させてあげよう。
「お前らの父親を自らの手で殺したら助けてあげよう。」
僕はそう言って妻と子供の魔力での拘束を解いた。
そしたら、妻は泣いて夫に謝りながら首を締めて殺した。
夫は絶望した表情で死んだ。
子供が泣き叫んでいる。
うるさいから殺してやった。
そしたら妻が、
「なんで子供を殺したのよ!!!助けるって言ったじゃない!!」
と泣きながら怒鳴って来た。
僕は、
「助けるわけないだろ。君たちは僕の両親を殺した。もしくはそれを見殺しにした。なら、殺されても仕方がない。
他のやつもよく聞け、君たちは自分でこの結果を選んだ。なら、自分の行動に責任を持つべきだと思う。泣こうが、喚こうが自由だ。だが、君たちは死ぬ。というか、僕が殺す。泣く時間があるなら自らの行いを悔いて来世に活かすべきだと思うよ。じゃあ、続けるね。」
次で最後の一人だ。
一応町長を残して置いてあげた。
なぜなら、最後に素晴らしいことをしようと思いついたからだ。
「町長さん。あなたに最期にいいものを見せてあげようと思う。
この町はあなたの先祖が一から作り上げたそうだね。
あなたはその子孫だからと調子に乗りすぎた。
自分の害になりそうな僕への嫌がらせとして僕の親族、そしてさらにはその処刑を邪魔しようとした子供まで殺した。それがどのような結果を残すかを考えず。
あなたの先祖達が成し遂げて来たことを全てゼロに戻してあげるよ。」
その言葉で町長はどうなるのかを察したらしい。
「やめろ!この町だけは!やめてくれ!
これじゃあ先祖に顔向けできない…」
そう言って泣き出した。
まあいい。
始めようか。
まず、町の上に小さな魔力の塊をたくさん作った。何千何万何億。それを町に向かって高速で落とした。
先ほどまであった町は一瞬で瓦礫の山となった。
町長は魂が抜けたような顔をして、ストレスのせいか髪の毛は真っ白になった。
やることはやったので町長も殺した。
この瓦礫の山に両親とマルクの墓を作ろう。
簡単な墓を作った。
僕は泣いた。
僕のせいで死んだ。
僕はこれからも自分のことを責め続けよう。
もっと強くならなければ。
人間なんて信用ならないと思う。
どうしよう。
悲しい気持ちで上手く考えがまとまらない。
いつの間にか僕は寝てしまった。