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第五話 悲劇

ユウです。

最近僕は近所の友達と山へ山菜や木の実などを採りに行ったりして遊んでいる。

ともだちと遊ぶのがこんなにも楽しいことだとは思ってもいなかった。

前世で僕は友達と馬鹿みたいに騒いでいる奴らのことを心の中で理解できないなどと思っていたが、実際に友達と遊んだりしてみると、とても楽しいし、騒ぎたくなる気持ちもわかると思った。


今日も近所の友達と山へ行く予定だ。

ちなみに、近所の子供たちの中では、僕が一番食べられる野草や木の実を見つけるのが上手い。

なぜなら、前世で僕は一時期、食べるものに困っていたので、食べられる野草の本を全部暗記して、近くの緑がたくさんある公園や、道端に生えていて食べれる野草を食べていたからだ。

「おーい!」

おっと。

もう友達が来たみたいだ。

僕は急いで外に出た。

「よし、ユウ、山へ行くぞ!」

この元気な男の子の名前はマルクだ。

基本的にいつもマルクを中心にしてあと何人かと一緒に山へ行っている。

マルク以外の人は大体いつも違うので僕は名前をよく知らない。

まあ、名前を知らなくても意外に仲良くなれる。

「あぁ。」

いつも通り僕がそう答えると、マルクは

「その素っ気ない返事の仕方をやめろって毎回言ってるだろ。」

と言った。

でも仕方がない。これは前世であまり人とコミュニケーションをとってこなかったからなんて言えばいいのかがよく分からないから。

そんなことを考えながら、

「あぁ。すまない。」

といったら、マルクは、

「はぁ、まあユウらしいからいいか。」

と言った。まあ、マルクは僕のこの口調を嫌がっているわけではなく、単にこのやり取りを楽しんでいるだけなので、本気で口調を変えようとは思わない。僕も実際にこのやり取りを気に入っているからだ。

その様な雑談をしていたら町の外へ出るための門のところについた。

最近、よく町の外の山の方へ行っているので門番の人と知り合いになった。

初めの頃は、ぶっきらぼうに町の外へ出るときの注意点などを言っていたが、今では軽く雑談を交わしたりする。

「どうも門番さん。」

と僕が言うと、

「おはよう。ユウ君。」

とちゃんと挨拶をしてくれた。

「じゃあ、僕たちは山菜を山へ採りに行って来ます。」

と言ったら、

「いってらっしゃい。毎回言うけど、狼とか熊を見つけたら静かに逃げるんだよ。」

と優しく忠告をしてくれた。

僕は、

「ありがとうございます。」

と言った。

毎年、何人かの子供は山へ行って、狼や熊に襲われて死んでしまうらしい。

だから毎回門番さんは子供に気をつけるように言っているらしい。

僕たちも気をつけなければと気を引き締めた。


町から少し歩いて山に着いた。

これからはみんなでバラバラに山菜を採って、最後にここで合流をするというような流れだ。

みんなと別れてから僕はいつも通りに山菜や木の実を採っていた。

だか、今日はなぜかあまり採ることができなかった。あまり山菜が生えてなくて、木の実もあまり落ちていなかった。

おそらく、動物が拾っていったのだろうと思い、採ることを続けた。


そして、時間になり、合流地点へ行き、みんなと合流した。

いつもはこの後に、みんなで山菜や木の実を分け合ったりするのだが、今日はみんなもあまり採れなかったらしく、分けあえるほどの量がなかったので、そのまま帰ることにした。

そのとき、周りの茂みがガサガサと揺れて、そこから熊が出て来た。

周りの子はマルク以外はみんな腰が抜けて立てなくなったいた。

マルクはすぐにみんなに、

「早く逃げろ!」

と言った。

その声を聞いてみんなは逃げ出そうとしたが、立てないようだ。

そしたら、声を出したマルクへ向けて熊が手を振り上げていた。

僕はそのとき、とっさに体が動いて熊に向けて拳を放った。

そしたら、熊が爆散した。

なぜ爆散したかは後で考えるとして、マルクや他の子は無事だろうかと周りを見たら、皆、怯えていた。

近くの子に

「大丈夫か?」

と聞いたら、青ざめた表情で、すごい勢いで僕から離れていった。

僕はみんなに怯えられたらしい。

マルクも怯えた表情で他の子と大急ぎで町へ戻っていった。

まあ、しょうがないと思う。

僕だって、友達が熊を爆散させたら命を助けられたとしても怖いと思うだろうから。

僕も歩いて町へ戻ろうと思った。


僕は町に着いた。

なぜか門の前に人がたくさんいる。

近づいてみようと思う。

人々は僕に対して何か言っている。

「町から出て行け!」

「化け物!来るな!」

「気味が悪い!」

などと言っているようだ。

さらに、人々は何かを掲げている。

よく見たら、それは僕の父さんと母さんの首だった。

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