最終話 一人で眠る
目がさめると、クロモチが溶けていた。
「おーい、クロモチ。大丈夫?」
返事がない。
死んじゃったのかな?
悲しいな。
とりあえず、魔王のところまで行くことにした。
「魔王、おはよう。」
寝ているのだろうか?
返事がない。
揺すって起こそう。
「おーい、朝だよー。」
起きない。
魔王の胸に手を当てた。
心臓が止まっている。
魔王も死んじゃった。
なんで?
「アハハ、随分と間抜けなツラだな。」
何かが何かを言っている。
「聞いてんのか?せっかく神である俺様が話しかけてやってんだから頭を地面に擦り付けて有り難がるぐらいのことしてみろよ。」
うるさい。
「あのスライムとこのバケモンが死んだのがそんなに悲しいのか?悲しいよなぁ、だって俺様はお前が悲しむと思って殺ったんだからよぉ。」
うるさいうるさい。
考えるのはやめた。
もともとのんびり過ごすことが目的だったんだ。
眠いから寝よう。
「おい、シカトしてんじゃねーよ!」
うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい。
なんで邪魔するのかな?
うるさいから殺そう。
うるさい奴の体に核みたいのがあった。
潰そう。
グシャ。
「は?お前何してくれちゃってんの?俺様は神だよ?俺がいなくなったらこの世界滅びるんだよ?早くなんとかしろよ!このままじゃ俺様消えちまうだろ!なんなんだよ!俺様は神だぞ!なんで誰も助けに来ねーんだよ!ふざけんなよ!」
うるさいのがもっとうるさくなった。
でも、少ししたら静かになった。
これでゆっくり寝られる。
最近、ご飯作るのめんどくさいからご飯食べてない。
でも、お腹が空かない。
これならずっと寝られる。
うれしいな。
なんだか空がずっと暗いな。
でも、寝るのに支障は全然ない。
きっと誰か、僕と同じようにずっと寝たいと思った人が空を暗くしてるんだ。
ある日、僕が寝ていると、人間が僕の部屋に入ってきた。
「魔王!人々を苦しめるのをすぐにやめろ!もしやめないのなら、今ここで俺が貴様を殺す!そして人々に平和をもたらす!」
最近は静かでとても寝やすかったのに、なんかうるさいのがきた。
僕は何もしてない。
ただ、寝てるだけなんだけど。
勝手に入ってくるなんて不法進入だと思う。
「無視か、いいだろう。今ここでお前を殺す!」
いきなり剣を僕に向かって振り下ろしてきた。
めんどくさいな。
剣は僕に当たった。
でも、当たっただけだ。
斬れる訳がない。
なんで僕の眠りを妨げるのかな?
なんでみんな僕の幸せを邪魔するの?
でも、もういいや。
知る必要もない。
邪魔者は殺せばいいから。
この男も僕の眠りを邪魔するなら、死ねばいい。
僕はこれの首を刎ねた。
ようやく静かになった。
寝よう。
今日は空がやけに明るい。
何事だろうかと思って外を見てみると、大地が裂け、裂け目からは真っ赤なマグマが噴出し、空からは数多の星が大地に降り注いでいた。
海は荒れ狂い、陸地にあるものすべてを押し流そうとしている。
あぁ、とうとう自然現象さえも僕の平穏を妨げるのか。
なぜ?
僕はそんなに悪いことをしたのか?
なぜなんだ。
その答えがわからないまま、僕は隕石に潰された。
あれ?
僕は死んだはずだ。
だけれども、どこかで見たことのあるような真っ白な空間にいる。
あたりを見渡すと、女神がいた。
まあいいや、寝よう。
そしたら、どこか呆れたような雰囲気でこちらに語りかけてきた。
「あなたは、神を殺しました。その罪はとても重く、私たち神の間で話し合った結果、あなたを永遠に封印することに決まりました。」
そうなんだ。
「最後になにか言い残すことはありませんか?」
うーん。
特にないなぁ。
「特にないです。」
そしたら、無言で女神は僕を真っ暗な闇の中に放り込んだ。
何も見えない。
何も感じない。
自分がここにあるのかすら分からない。
でも、ここならきっと、誰にも邪魔されずに寝れるだろう。
僕はひとりぼっちで真っ暗な闇の中で寝ることにした。
もう、誰も僕に関わることはない。
もう、誰も僕に関わることができない。
誰かと話すことも。
誰かの世話をすることも。
寂しいな。
ここまで読んでくださった読者の皆様。
これにてこの物語は終了です。
ありがとうございました。




