第十九話 ひとときの平穏
視点主人公に戻します。
ふぁ〜よく寝た。
今日はとても静かで心地がいいなぁ。
ん?いや、さすがにこれは静かすぎるだろう。
鳥の声とか何かが這っている音とか何かの鳴き声とかがいつもなら聞こえるはずなのに。
ふと窓の外を見てみると、昨日まであったはずの森がなくなっていた。
とりあえず近くにいたクロモチに聞いてみよう。
「ねぇ、クロモチ。昨日僕が寝てから何かあった?昨日まで確かにあったはずの森が無くなってるんだけど。」
そう聞くと、クロモチは
「あのね、昨日の夜に、何かがユウを殺そうとしてたから、その仲間とかを食べたんだよ!」
そう言って褒めて褒めてと寄ってきた。
かわいい。かわいいが、何があったのかさっぱり分からない。
魔王に聞いてみよう。
魔王の部屋へ行く途中に誰ともすれ違わなかった。
誰もいないのだろう。
とても静かだ。
そう思いながら歩いて魔王の部屋の前まで来た。
ドアはいつもの通り開きっぱなしだった。
「魔王。入ってもいい?」
「あぁ、ユウか。入っていいよ。」
とりあえず本題の何があったのかを聞くことにしよう。
「あのさ、単刀直入に聞くけれど、昨日の夜に何があったの?森が消えて、このお城にいたはずの人が消えてる。」
「私は特に何もしていないよ。君と一緒にいるスライムが森とかそこに隠れてた奴らを食べた?みたいだよ。」
食べた?どういうことなんだろう。
いや、なんとなくわかる。
文字通り捕食したんだろう。
一応確かめておこう。
「クロモチ、君は森とかその中にいた魔物とかを食べたの?」
「うん!食べたよ。」
「ダメじゃないか。そんな怪しいものを食べて病気になったらどうするんだ。」
そういうと、クロモチはとても落ち込んだ様子だった。
「ユウ。ごめんなさい。」
「でも、僕のことを守ってくれたんだよね。それはとても嬉しいし、感謝するよ。ありがとう、クロモチ。」
そう言ったら、今度はとても嬉しそうな様子になった。
かわいいなぁ。
「そういえば魔王、ご飯どうする?」
「私は料理することを許可されなかったから出来ないよ。ユウはご飯作れる?」
「食材さえあれば食べれるものは作れるけど。」
「じゃあ、ユウが作って。厨房まで一緒に行くよ。」
厨房に着いた。
以外に魔王の部屋から近かった。
「魔王。食材はどこにあるの?」
そしたら、魔王は四角い箱を指差して、
「多分あの箱の中だと思う。」
と言った。
多分冷蔵庫のようなものだろう。
開けてみると中から冷気が出て来た。
「でも、なんで魔王はここに食材があるって分かったの?料理したことないんでしょ。」
「毎食ご飯に毒が入ってたから食べるたびに死んで、少ししたら生き返るけどやっぱり辛いからどうにかしようとしてどこに食材があるかを調べたことがあるんだよね。結局失敗したけど。」
本当にかわいそうだ。
食事を楽しむことを許されずに、食べれば死ぬ。
おそらく1日3食食べては死んでを繰り返したのだろう。
どうしてそんな酷いことができるのだろうか?
美味しいご飯を食べさせてあげたい。
まぁ、僕は料理人ではないから一応まあまあ美味しいぐらいのご飯しか作れないが。
ご飯を作って魔王の部屋で食べた。
「どう?美味しい?」
魔王に聞いてみた。
「うん。美味しいよ。」
そう言って涙を流しながら食べていた。
そうして僕たちはご飯を食べ終わった。
「魔王はこれからどうするの?」
「少し寝てもいいかな。今までしっかりと寝ることができなかったから。」
「分かったよ。じゃあ僕は自分の部屋に行くね。」
「待って、出来れば近くにいてほしい。どうしても、殺されるんじゃないかって怖くなってしまうから。」
「うん。分かったよ。近くにいるよ。じゃあゆっくりと寝れるといいね。」
僕は魔王のベッドのすぐそばにいることにした。
魔王はずっと苦しんで来たんだろうなぁ。
僕には分からないくらい長い年月色々な人によって殺され続けたんだろうなぁ。
昨日、魔王はようやく殺されるという危険から解放された。
これから魔王はようやく平和な日々を過ごすことができるようになる。
僕は、できるだけその平和を維持する手助けをしていこうと思う。
一応魔王の護衛だしね。
あと、普通に魔王を助けたいと思ったから。
これは、ただの自己満足だ。
なんか魔王を幸せにすると僕がいいことをしているような気分になるから。
ただの偽善だけど魔王の平穏な日々を守ってみようと思った。
のんびり過ごすのはその後でいいかな。
ん?
服の裾が引っ張られてる?
みるとクロモチが引っ張っていた。
「どうしたの?」
「お腹減ったよ。ご飯ほしい。」
そういえば今日はまだご飯をあげてなかった。
はいどうぞ。
「ありがとう。」
こんな平和な日々が続くといいなぁ。




