第十五話 ペットを飼う
いいね。
やっぱりこういう生活はとてもいいと思う。
お腹減ったら狩りに出て、ご飯食べて眠くなったらベッドで寝る。
こういう生活を僕は望んでいたんだ。
娯楽とかも今はいらない。
暇になったらお家を改造するか、新しい魔法を作ってもっと快適な生活を送れるようにするからだ。
お腹減ったし狩りに行こう、そう思い家の外に出ると、なぜか家の周りに魔法で張っていた膜が消えていた。
これはおかしい。
ここで暮らし始めて数日経つが、今までにそんなことは一度もなかった。
誰かに破壊されたのだろうか?
周りを歩いていると黒くて丸い生き物を見つけた。
スライムみたいな奴だ。
僕はゲームとかで出てくるスライムは結構可愛くて好きだ。
よし、捕まえよう。
ガシッ。
「ぐー」
ほとんど抵抗しなかった。
可愛い鳴き声だなぁ。
「僕と一緒に暮らさない?」
「ぐー」
ふよふよ縦に揺れてたからいいってことなんだろう。
早くこのスライムと戯れたい。
食事を素早く終わらせて僕は家に帰った。
そういえば、スライムって何食べるんだろう?
そうだ!僕は鑑定というスキルを持っていた。
それを使えば全てが分かるだろう。
早速鑑定してみた。
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名前:無し
種族:スライム
体力:無限
防御:無敵
魔力:たくさん
力:強い
知能:天才
備考:
スライムは魔力を食べるよ。
あと、無敵じゃないの?
妖精さんの一言:
仕事増えるから自分で考えなよ。
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すごい。
色々ありすぎてとてもびっくりした。
ステータスがとても雑になってた。
これって実は妖精さんの仕事だったんだね。
まあいいか。
ご飯何食べるか分かったし。
あと、名前つけてあげよう。
どんな名前にしようか。
黒い…あと丸いな…餅みたいに柔らかい…。
よし!決めたぞ。
「今日から君の名前はクロモチだ。」
黒くて餅みたいだしいいよね。
「ぐー」
クロモチも喜んでるようだ。
そうだ、ご飯をあげよう。
「クロモチ、ご飯いるか?」
そう言ったら嬉しそうにふよふよ動いた。
僕は手から魔力を出してクロモチの前に出した。
結構な量を食べるみたいだ。
僕のたくさんある魔力の八割ぐらいを持って行かれた。
クロモチは満足したのかそのままスヤスヤ寝始めた。
とても癒されるな。
そういえば、ここって魔王の土地だよな。
じゃあ、もしかしてここに住むのに魔王に許可がいるんじゃないだろうか?
ここで、魔王に挨拶に行かないでそのまま住み続けることもできるだろう。
だが、自分に置き換えてみれば、そんなことをされたら不愉快だと思う。
だから今から魔王に挨拶に行こう。
きっと飛び続けていれば、どこかで魔王を見つけるだろう。
そしたらあなたの土地に住まわしてもらってます、と言えばいいだろう。
クロモチのことももちろん連れて行く。
誰かにさらわれたら嫌だからね。
僕は今、クロモチを大事に抱えながら魔王を探している。
実際、どんなところにいるのかは分からないが、森の浅いところに封印する様なことはないだろうと思い、空を飛び続けた。
しばらく飛んでいたら、立派なお城があった。
もしかしたら、もう封印は解けていて、魔王はとりあえず城を作ったのだろうか?
まあ、そんな事はどうでもいいんだ。
とりあえず、僕はここで暮らす許可が欲しいだけだから。
お城の前まで来た。
門の前には警備をしているであろう者が居た。
僕は魔王に会えるかこの人にとりあえず聞いてみることにした。
「あのー。すみません、魔王様に会いたいんですけど会えますか?」
と聞いたら、
「お前は人間だな!人間を通す事は出来ない!ここから立ち去れ!」
と怒鳴られてしまった。
しかし、僕も人間だからという理由で魔王に住む許可をもらえないというのはあまり良くない気がする。
やはり、許可は取るべきだ。
なら、要件をしっかり伝えよう。
そうすれば合わせてくれるかもしれない。
「魔王様に危害を加えることはありません。僕はただ、この土地に住む許可をいただきたいだけです。」
と言った。
これで僕は無害だと分かってくれただろうか?
「しつこいぞ!何回言わせるんだ!こうなったらここで俺が始末してやる!」
と言って武器を持った。
相手の体力が切れたらまたお願いしよう。
警備の人は剣を持って僕に斬りかかってきた。
人間と比べると、とてつもなく速い。
僕は少しだけびっくりした。
だが、避けれないわけではない。
なので、僕は少しだけ横にずれて避けた。
しかし、横から強い衝撃がきた。
なんだろうと思ってみると、尻尾があった。
なるほど、僕は尻尾で攻撃されたらしい。
すごいと思う。
この攻撃は人間には出来ないから、僕は剣を避けて完全に油断をしていた。
まあ、尻尾で叩かれてもダメージをくらったわけじゃない。
それぐらいじゃ僕のバランスを崩すことすらできない。
それでもまだこちらに向かってくる。
魔王への忠誠心が強いからだろうか?
自分よりも強い相手を前に怯まないなんて。
しばらく戦っていると、周りにたくさんの人ではない者たちが集まっていた。
しかし、敵対する様な意思は感じられない。
じゃあ、なぜこの門番の人は僕と戦っているのだろうか?
しばらく戦ったら門番の人の体力が尽きた。
周りの人たちはいけいけー、などと言っている。
見世物じゃないんだけどなぁ。
まあいいか。近くの人に魔王に会えないか聞いてみよう。
「あの、すみません。魔王様に会いたいんですけど会えますか?」
と聞いたら、すぐ来るんじゃないの?
とニヤニヤしながら言っきた。
なぜにやけるんだろう?
しばらくしたら魔王らしき人物が来た。
「我は魔王である。勇者よ覚悟しろ。」
と言ってる。
見た目がいかにも魔王って感じだ。
しかし、声は女性みたいな声だと思った。
それより、僕は勇者じゃないし、覚悟もしない。
ちゃんと訂正しよう。
「あの、僕は勇者じゃないし戦うつもりもないのですが。」
そう言ったら、
「え?人間が来たって聞いたからせっかくカッコ良く魔王みたいな見た目に変身したのに君、勇者じゃないの?」
と真顔で聞かれた。
「はい。そうです。僕はこの土地に住みたいので、あなたに許可を貰いに来ただけです。」
周りからはブーイングされた。
「えぇ。つまらないよ。そうだ、私に勝てたら許可してあげるよ。じゃあ、よーいどん!」
と言っていきなり攻撃して来た。
はっきり言って威力の次元が違う。
多分当たったら吹き飛ばされるだろう。
しかも、僕は今、クロモチを持っているのだ。
クロモチに攻撃が当たって死んじゃったらもう僕は立ち直れないだろう。
だから全力で避ける。
「避けてばっかりじゃつまらないよー。ちゃんと攻撃もしてよ。」
と言われた。
でも、隙がない。
しかも、多分これは本気ではないだろう。
でも、攻撃しろと言われたなら、しなければならないだろう。
僕は魔王の耳の近くで空気を破裂させて大きな音を出した。
少しだけ隙ができたので、人の体で急所と言われる鳩尾を殴った。
魔王は後ろに飛んで衝撃を減らしたみたいだ。
「いったー。もう少し手加減しようよ。
えい、倍返しだー!」
と言って何かを唱えた。
その瞬間、僕は鳩尾にとてつもない痛みを感じた。
そして、僕の意識は途絶えた。




