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第一三話 ギルマス

冒険者になるために試験をうけることになった。

そういえば、僕は今まで相手を倒す、ということをしていない。

基本的には殺しているからだ。

どうすれば殺さないように倒せるのだろうか?

試験で相手を殺してしまったらきっと問題になるだろう。

そうだ。すべての攻撃を受け流して相手が疲れて動けなったところで降参するように問いかければいいんだ。

そうしよう。

そのように考えがまとまった時にちょうど準備ができたので来てくださいと呼ばれた。


職員についていくと、ギルドの裏にある壁に囲まれた広めのスペースに連れて行かれた。

周りをよく見ると、客席のようなものがあった。

そこには、そこそこ人がいたが、その目からは、見世物を見るようなものではなく、何かを学び取ろうというような意欲が感じ取れた。

きっとここではよく練習や模擬戦が行われていて、周りの人たちはそこから技術を学ぼうとしている人たちなのだろう。

そのように周りを観察していたら、向こう側から優しそうな男性がやってきた。

「やあ、君が新しく冒険者になりたいって子かな?僕はここのギルドのトップをやっていて、カインって名前だよ。よろしく。」

とても礼儀正しいし、優しい雰囲気の人だと思った。

でも、多分とても強い。

油断しないように気をつけよう。

でも、とりあえず挨拶をされたから僕も挨拶をしよう。

「僕はカンダです。こちらこそどうぞよろしくおねがいします。」

丁寧にあいさつをしたら

「君、幼いのにすごい丁寧な口調だね。普通の子供はそんな言葉遣いはできないよ。」

と言った。

職員の人がカインに何かを言っている。

「君と話すのは楽しいけれど、そろそろ試験を始めるよ。今回の試験は僕との模擬戦。ルールは相手を殺してはいけないということだけだ。相手が降参といったらその時点で模擬戦は終了だよ。」

そして、職員の人が始め、と言った。

カインは腰から素早く剣を抜いて僕へ迫ってきた。

カインが何をしようと僕のやることは変わらない。

ただ受け流すだけだ。

カインが僕に切りかかってきた。

僕は少しだけ横に動き、剣の腹を叩いてカインのバランスを崩した。

しかし、カインは少し体制を崩しただけで、すぐに僕から離れた。

カインは剣聖のような精密機械のような動きはしないが、戦い慣れているというか、動きの一つ一つが繋がっていて合理的だと思う。

先程も、僕がカインのバランスを崩したのに、すぐに対応して僕の間合いから離れるという動作をした。

そのようにすごいと思っていると、カインはなぜかその場で剣を振った。

何をやったのかはすぐにわかった。

斬撃をこちらに飛ばしたのだ。

僕は冷静に斬撃の目を破壊して霧散させた。

斬撃に気を取られているとカインはいつの間にか僕の視界から消えていた。

どこだろうと周りを見ると、僕の頭上にいた。

カインは僕と目が合うとニヤリとして、

「チェックメイトだよ。『断罪の剣』」

そういうと、僕に向かって剣を振り下ろした。

その距離じゃ当たらないだろうと思っていると、カインの剣から僕に向かって光の帯が飛んできた。

この光の帯にも斬撃と同じように目があった。

ただ、何本もの光の線からできているようで、当然目の数もたくさんあった。

避けながら斬っていこう。


斬り終わった。

カインの方を見ると、とても驚いた表情で固まっていたが、僕が見るとすぐに身構えて、僕に迫ろうとした。

しかし、急に力が抜けたように倒れた。

よし、いまなら降参を受け入れてくれるだろう。

「降参しますか?」

と聞いたら、

「あぁ、もう動けないしね。君すごいよ。さっきも手加減していたみたいだしね。君、人が行かないような危険な場所がどこにあるか知りたいんだよね。あとで僕の部屋に来て。いくつかあるからどんな場所か説明するよ。」

良かった。

これで、やっぱり君には教えないとか言われなくて。

しかもいくつか候補があるらしい。

選べるっていうのはいいことだよね。


その後、呼ばれたためカインの部屋へ行った。

「やあ、ようこそ。一応何件かピックアップしといたよ。一つずつ説明するね。」

といって説明を始めた。

「まず、一つ目の『迷いの森』について説明するよ。この森はなぜか方向感覚が狂って迷ってしまうらしい。空間が歪んでいて森の中から出られないようになっているのではないか、と言っている人もいるんだ。

二つ目は『魔導都市』。ここは古代の魔導関係の施設だね。入ってくる人を容赦なく排除対象として攻撃してくるんだ。鉄の玉を見えないくらいの速さで飛ばしてきたりするからとても危険だね。

最後の場所に名前はないよ。そこは魔王が住んでいると言われているんだ。魔王とは魔の物の王のことで、この世界ができた時に神々によってその土地に封印された穢れた存在。その土地は空気が穢れているらしい。

一応これで全部だよ。個人的には一番最後のはおすすめしないよ。」

三つもあるが、カインの最後の言葉でどこに行こうか決めた。

「僕は魔王がいる土地に行こうと思うよ。」

と言うと、カインは

「正気かい?本当に危険だし死ぬよ?」

と言われた。

でも、僕は考え直す気はない。だって、

「カイン、そこはとても危険でだれも来ないんだろう?なら、僕はそこに行こうと思うよ。」

カインは悲しそうな顔をした後に

「そうか、なら気をつけて。」

と言った。

「そういえば、これを渡してなかった。これを受け取ってくれ。」

と言って僕にカードを渡してきた。

「一応、最上級冒険者の証のカードだよ。僕が最上級冒険者だからそれに勝った君は僕と同じ最上級冒険者というわけだ。」

ここはお礼と別れの挨拶をいうべきだろう。

「ありがとう。そしてさようなら、カイン。」

そういうとカインは、

「次、王都に来たときは冒険者ギルドに来てくれよ。君と話すのは楽しいからね。」

と言って送り出してくれた。

恐らく、もう王都に来ることはないだろう。

なんたって僕は重犯罪者なんだから。

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