第十二話 王都と冒険者
あぁ、これからどうしようか。
僕の予想では、あの水晶のような物はほとんどすべての都市や町に置いてあるだろう。
なぜなら、先ほどの都市は大都市というような大きさではなかったからだ。
つまり、あの水晶は主要な都市だけに置いてあるというよりは、ほとんどすべての都市に置いてあるということなのだろう。
まあ、都市の中に入る方法がないわけでは無い。
都市を覆っている壁を破壊すれば入ることは出来る。
破壊したら兵が来ると思うだろうが、この世界には魔法というものがある。
音を出さずに破壊は可能だし、その後に壁を直すことも可能だ。
だか、破壊する場所はしっかりと選ばなければならない。
なぜなら、そこに人がいては兵を呼ばれてしまうかもしれないからだ。
なので、都市に入るときは空から見下ろして人気の少なそうな場所から入る必要がある。
とりあえず、早く別の都市へ行って今の方法で入ろう。
なぜ僕がこんなにも都市にこだわるかというと、情報が欲しいからだ。
僕の立場は重犯罪者ということになっている。
そんな状況で人の近くにはいたくない。
しかし、闇雲に人のいない場所を探しては労力の無駄だ。
だから、誰も行かないような場所を聞いて、そこへ行こうと思っている。
きっとそんな場所は危険なのだろうけど、僕は基本的にダメージを受けないから大丈夫だろう。
まず、この場所から都市を探そうか。
前は魔力で足場を作ったが、今回は魔法で空を飛んでみようと思う。
理由は、足場を作るのだとはっきり言ってとても怖い。落ちそうだった。
あと、空を飛んでみたいというのもある。
おそらく、誰でも一度は空を飛んでみたいと思ったことがあるだろう。
僕もその一人で、やはり、鳥のように空を自由に飛び回ってみたいと思っていた。
よし、飛ぶか。
フワァ。
初め、僕は風で体を浮かそうとしたが、音がうるさくて感動が半減した。
静かに飛びたかったため、僕は重力とは逆向きの力を僕の体のすべての細胞にかけて空を飛んでいる。
これなら音は出ない。
動きやすいしとてもいいと思っている。
閑話休題。
町は肉眼では見えない。
そういえば、前の世界ではどこかの部族が数キロ先のものを見ていたような。
あれかっこいいよなぁ。
まあ、僕には無理だけどね。
とりあえず、空飛んだまま動いてみようかな。
ブォォォ。
風が強い。
目が開けられないくらい強い。
風除けでも作ろう。
僕の前に円錐形の魔力の塊を出した。
魔力の塊はほとんど透明だから便利だな。
そうして飛んでいるうちに、ようやく町を見つけた。
でも、情報集めるならもっと大きい都市の方がいいだろうか?
そう思い、僕はもっと大きい都市を探した。
そしたら、前方に城が見えてきた。
周りには町が広がっていた。
こういうのを王都というのだろうか?
まあ、きっとここなら僕の欲しい情報があるだろう。
王都がはっきりと見えてきた。
やはり、大きい。
人気の少なそうな場所もあるな。
一部は建物が乱雑に建てられていて、薄汚れいるような場所があった。
きっとスラムという場所だろう。
そこなら壁を壊して侵入しても平気だろう。
ようやく王都に着いた。
確か、スラムはここら辺だったはずだ。
よし、壁を壊そう。
いや、もし壁に壊されたら警報か何かがなる仕組みがあったらどうしよう。
そしたら、また都市を探さなければならなくなる。
地面を掘って中へ入ろう。
ボコ。
よし。
穴が空いた。
王都の中に入ることに成功した。
あとは、適当に歩いて情報が集まりそうな場所に行けばいいだろう。
結構道が複雑だったらか時間がかかってしまったが、大通りに出ることができた。
しばらく歩いていたら、
「どうしたんだ?迷子か?」
と声をかけられた。
なんて答えようか。
そういえば、冒険者って情報をたくさん持っていそうだ。
「冒険者になりたいんです。」
と答えてみた。
「君みたいな幼い子が?やめた方がいいよ。命を大事にすべきだ。」
と言われた。
僕の年齢でもなれないわけではなさそうだ。
「どうしてもならなくては行けないんです。」
必死そうな感じを出してみた。
そしたら、
「はぁ。冒険者になりたいなら、あそこにある冒険者ギルトに行って申請すればなれるよ。」
と、諦めた感じで言われた。
「ありがとうございます。」
僕はそう言って礼をいった。
あそこの建物にはいればいいんだな。
近くで見ると結構大きい建物だと思った。
入ろう。
ドアを開けたら、人がぶつかってきた。
「イテーんだよぉ!おい、テメーふざけんなよ!」
いきなり殴りかかってきた。
分かりやすい軌道だ。
横に少しだけ動いて避けた。
周りの人たちは
「あいつまたやってるよ。」
「まえは相手に大怪我させたんだよね。」
「自分より弱そうな奴に喧嘩うってストレス解消してるらしいよ。」
「あの子も可哀想に。」
などと囁いていた。
どうすればいいのだろうか?
攻撃を食らっていたそうなふりをすればいいのだろうか?
そうしよう。
バシン。
「いたいなー、いたいなー、降参するよ。」
これで相手も満足するだろう。
そう思っていたら、相手は怒って剣を鞘から抜いた。
「死ねー!」
それは駄目だ。
体から殺気が溢れ出る。
武器を抜いては駄目だ。
相手が殺す気で来るなら、こっちも殺す気でいかなければならない。
と思ったら、相手は尻餅をついて命乞いをしていた。
殺気を食らったせいだろうか?
まあいいか。
でも、今後僕にまた喧嘩売られるのはめんどくさい。
「ねえ、もう僕に喧嘩売らないって約束してよ。」
相手はガクガク頷いた。
ならいい。
僕は今回、チンピラを脅しにきたわけではない。
受付に行く。
「あの、人が立ち入らないような危険な場所ってありますか?」
と聞いたら、
「すみません。一般の方に教えることはできません。」
と言われた。
「どうしても駄目ですか?」
と聞いたら、
「駄目です。」
と言われた。
「じゃあどうすればいいですか?」
と聞いたら、
「冒険者になって実力を示していただければ情報を提供することは可能ですよ。」
と言われた。
ならなるしかない。
「じゃあ、冒険者になります。」
「じゃあお名前をここに記入してください。」
と言われ、紙を出された。
本名で書くのは良くない気がする。
だって僕は重犯罪者だからだ。
前世での苗字を使おうか。
『カンダ』
そう書いて、受付の人に提出した。
「これで登録は完了です。」
これで情報をくれるだろう。
「じゃあ、情報をください。」
しかし、
「実力がまだわからないので情報を提示することはできません。」
と言われた。
じゃあどうすればいいんだ。
「一度、実力を計るために、職員と模擬戦をしてください。」
ということらしい。
「分かりました。」
職員を呼ぶために少しだけ時間がかかるみたいだ。
職員が来るまで殺さない方法を考えておこう。




