第一話 死亡
「暑いなぁ。なんで夏休みなんかになるんだ。」
僕の名前は神田 優。高校二年生だ。
今は夏休みで、クラスの人達は友達と遊びに行ったり、親と旅行をしたりしている。
ちなみに、僕には友達がいないから遊びに行ったりはしない。
親は父母どちらも僕が小さい頃に死んでしまった。
高校までは学費は親戚が払ってくれていたが、高校生になったので払ってくれなくなった。
さらに、家からも追い出されたため、今は学校の近くのアパートに住んでいて、バイトを何個も掛け持ちしながら生活をしている。
こんな状態だから高校卒業後は大学に行かないでハローワークに行ってとにかく仕事を見つけるつもりだ。
つまり、簡単にいうならば、僕は夏休みが嫌いだ。他の人たちが夏休みになって馬鹿騒ぎしているのを見ると、何がそんなに楽しいのだろう?と、思ってしまう。
僕からすれば、夏休みは給食がない分無駄に食費がかかるので、全然嬉しくない。
「ジリリリリリリリ」
アラームが鳴った。
「もうバイトの時間か。はぁ。憂鬱だな。
できることならもう少しだけ家でゆっくり休みたいところだ。」
そんなことを呟きながら着替えて、バイト先のコンビニへ急いだ。
そして、いつも通りにコンビニのバイトを終わらせて、次のバイト先へ向かっている途中のことだ。
周りの人達が上を指して悲鳴を上げながら僕から離れる様に逃げ惑っていた。
何だろうと思って上を見上げた瞬間、僕は鉄パイプに貫かれた。死ぬまでの少しの時間に、
「あぁ、僕はもう死ぬんだなぁ。」
と思ったが、別に楽しかったわけでもないので、死ぬのが怖いという感情はなかった。
そして、僕は死んだ。
「あれ、ここはどこだ?」
僕は見たことのない真っ白な空間にいた。
「自分は死んだはずなのになんで意識があるんだろう?ここは病室でもなさそうだ。」
と考えた後に、ここは天国だと思った。生前では、生きるために仕事をバイトを仕方がなくしていたが、天国ならばゆっくり休んでもいいだろう。と思い、その場で寝ることにした。
「なんで寝ようとしているのですか。早く起きなさい。」
しかし、その様な声が後ろから聞こえてきたため、ひとまず、僕は会話をしてみようと思い、振り返ると女の人がいた。
「あなたは誰ですか?」
その様に聞くと、女の人は、
「私は女神です。私は死んだ人を別の世界へ転生させることが仕事なので、あなたを剣と魔法のある世界へ転生させます。しかし、あなたは生前に、悪いことを全くしなかったため、一つだけ好きな能力を与えます。どんなものが欲しいか行ってください。」
女の人は女神だったらしい。
好きな能力を一つくれると言っている。
まあ、僕の願いはもうすでに決まっているんだけどね。
「向こうの世界でのんびり過ごせる程度の能力をください。」
はっきり言ってのんびり過ごせればいい。
僕の願いはたったそれだけだ。
その様に女神に言ったら、
「分かりました。では転生させます。」
と言って僕は白い光に包まれた。