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託された人間の王

あけましておめでとうございます!

そしてケモミミ大好き!

「ん、くぅっ」

酷い頭痛ともに目が覚める。

「はっ!ここは…」

王のベッドだった。周りは見慣れた風景で何一つ変わってない。

(あれ?そういえば俺は大臣にあの中国刀みたいなもので切られんだじゃ…)

記憶がぼんやりしていて現状が把握できない。そんな中、王室の扉が開く。

「王様、お加減いかがですかな?」

大臣が入ってきた。片手には中国刀を持って。

(あれ?テイクツー的なあれか?確か俺、大臣にあれで斬られたはずなんだよな?)

おっかしいなぁとか想いながら静かにベッドに座ったまま記憶の整理をする。そんな様子に大臣は近くまで来てその中国刀みたいなものをベッドにかける。あれ?今度は切ってこない?

「だいぶ、落ち着かれましたな」

「落ち着くも何も記憶が曖昧でよく現状が把握出来てないんだが」

「ふむ、ですがその状態でしたら話を聞いてくれますな」

「まぁ、俺が死んだのかどうかも分かってないし話は聞くよ」

「いえ、間違いなく王様はいきておられますよ」

そんな大臣の言葉にアキトは頭にはてなマークばかり浮かべるのだった。だって、あの時完全にそこにかけてある刀で斬られたはずなのだから。

「王様、衆議の者達と話し合った結果をお伝えいたします」

と、斬られるまえにも聞いたセリフを前置きに大臣は話を進める。

「王様、全国民、全獣人族はあなたを真の王として付き従います」

なんの準備もせずに大臣から聞いた言葉に頭がフリーズする。

「へ?」

「つまり、みな王様の事を味方として認めているということです」

改めて大臣からその言葉を聞いて頭の整理が追いつかない。

いやいや、あれだけの事があって収まる予兆さえも見せなかった石投げを自らの身で浴びた俺がわかっていたことだぞ、こんなこと程度じゃ獣人族の心を動かすことなんてできないし彼らに信じてもらうことなんて到底叶わない。下手すれば年単位で覚悟してたことなのに。それがたった、昨日のあれだけで?そんなばかな。

そう俺が深刻に悩んでいるとまたもや王室の扉が勢いよく開いた。

「アキトーー!」

王室の扉を勢いよく開けるとともに入ってきたのはスフィアだった。スフィアはそのままアキトに抱きつく。

「生きてた、アキトいきてたぁ」

泣きながらスフィアは何度もその可愛い顔をアキトの胸元に擦り付けるのだった。そんなスフィアにアキトは優しく頭を撫でるのだった。そうして、少しまた落ち着くことが出来た。さっそく、現状を把握するために大臣に聞くことにした。

「大臣、俺が眠ってる間のことを教えてくれないか?」

「御意に、少し長くなりますのでリラックスして聞いてくださいませ」

大臣は改めてかしこまり、全てを話す。



遡ること石投げの日。

「ウルナ様…」

「ど、どうして人族を庇うのですか!?」

アキトが気を失ったあと、それでも石を投げようとしていた獣人族を止めたのはアキトの前に、庇うように立ったウルナだった。みな、自分たちの姫でもあるウルナに石を投げることなどできず立ち往生する。そんなみんなにウルナは問う。

「みんなは、みんなはこの人からなにか酷いことをされましたか?」

その言葉にみんな黙り込む。なぜなら、みんな何もされてないからだ。

「もし、酷いことをされたのなら正直に申し上げてください。いま、王は誰の言葉も聞いていませんから。また、それを報告するものも私たちの中にはいません」

そう、正直にと。嘘をついても獣人族にはわかる器官がある。第六感。心情を見抜く力。しかし、今この場で第六感を使っても誰かがされたのにも関わらず黙っている人はいなかった。ルナは第六感をフルに使う。そのせいか、毛色が綺麗な銀色から段々と紅色に染まっていく。次第には鼻血までで出した。そんなウルナの姿にみんなが口をアワアワさせる。

「う、ウルナ様!」

「そ、それ以上は危険です!」

「おやめください!」

みんなの静止の声が飛び通う中ウルナはやめない。そんなウルナの姿を見て。みんな慌てて言葉にする。

「私は何もひどいことなどされていません!」

「私もです!」

「俺もです!」

「わ、わしもじゃ!」

みんな、ウルナの意思を理解したのか口々に伝う。何もされていない。

「私も、何もされておりません」

そんな中、一人だけ凛とした声が響いた。その声にみんなが振り向く。そこに立っていたのは。

「ミウさん…」

城のメイドでアキトに街を案内したミウだった。ミウへの王の嫌がらせは他のメイドのものから聞いた。そんなことは城の中だけではなく街中にまで広まっていた。それを知っていたからこそみんなビックリしていた。ウルナはミウに第六感を働かせるが、嘘をいってるようには見えなかった。また、みんなもそれを知ってしまった。

「な、ミウさんの話が嘘なら…」

「もしかして、他のも…」

「そういえばイアちゃんは!?」

「そうだ、あの子がいねぇ!」

「イアちゃんはどこに…」

そんなみんなの声に答えるように王様の方からみんなが心配していた人の声がした。

「みんな、私はここよ」

その言葉にみんなが振り向く。そこには間違いなくイアが立っていた。決して傷ついてもいなく、ましてや、酷いことをされたように見えない。しかも、問題はそこじゃなかった。イアも、アキト側の方に立っていたのだ。

「ど、どういうことなんだイアちゃん」

その光景にみんなが驚き戸惑う。もうどうしたらいいのか分からないのだ。そこで狙うように、ウルナが再度口を開く。

「みんなには見えてない?ここに神様がいるのよ」

その言葉に皆がハッとなる。恐る恐る左側、その方向へと見やる。そしてみんなが驚いた。

「やっと、気づいてくれた」

「「「神様!」」」

スフィアはにっこりと、笑顔で彼らの眼差しを受ける。

本当に神様がいることに更にみんなが混乱する。

「な、なぜ、人族の近くに…」

「あ、危ないですぞ!神様!」

そんなみんなの言葉にスフィアはなだめるように言った。

「アキトは、王は私たちの味方だよ」

「「「!?」」」

理解出来なかった。長い間苦しめられてきた獣人族には人族は完全なる敵にしか見えなかったから。だからこそ、理解不能なのだ。そんな彼らにウルナが最後の後押しをする。

「一度、この王を信じてみませんか?」




ー衆議会議室ー


「さてはて、どうしたものか」

「今回は儂らで決めれるようなことはそんなにないじゃろね」

「だが、このまま王の言いなりになるのはやはり気が進まぬ」

「いままでのことを考えるとのぅ」

「しかし、ウルナ様やイアはどういうつもりなのかね」

「神様がおろうとは、何たる失態…」

年老いた獣人族が丸く、少し金の刺繍が施されたテーブルを円に座り話し合う。彼らは人族との戦争において最も活躍した獣人七武醒達だ。今は城の管理や獣人族の管理などをしているが。

「この議題、お前はどう思うかね?イグニス」

その中でも中央の席に座っていた大臣、もといイグニスにみんなの視線が集まる。イグニスはゆっくりと閉じていた目を開ける。

「娘を信じようと思う」

ただ、それだけ言った。その言葉にどこか見たことのある白色の丸い耳、ホワイトタイガーの耳と尻尾を持ったティグザが賛同する。

「儂も、そうしようと思う」

ティグザの賛同にしばしみな黙り込む。やがて、それぞれ口に課題を言い残し、それを了承したイグニスがこの議題を打ち上げるのだった。



「神様…」

「…」

イグニスが来たのは祈りの間。ここは元々はスフィアを崇めるための場しよなのだが先代の愚王によって荒らされていた。そんな場所にスフィアはいた。ずっと、祈り続けていたんだ。

スフィアはイグニスの声にも反応せず祈りを崩さない。そんなスフィアにイグニスはただ待ち続ける。やがて、スフィアは痺れを切らしてイグニスに答える。

「どうしたの?」

「お願いしたいことがございます」

イグニスは膝をつき深く頭を下げてお願いする。

「この私に、獣人族七秘宝が一つ。断罪刀を貸していただけないでしょうか?」

「それで、どうするの?」

「王を、助けます」

その言葉にスフィアは祈りを崩し振り返る。そこには深々と頭を下げたイグニスの姿があった。

「断罪刀を使っていたのは君だったね」

スフィアはアキトと接するような、甘えたような表情ではなく。それは、神と獣人族の圧倒的な差を感じさせる態度だった。そんなスフィアにイグニスは冷や汗が伝う。

「断罪刀は名前の通り、罪を断ち切る刀。その意味わからない訳では無いよね?」

「重々承知しております」

「今の私たちに残された七秘宝は全部で三つ。そのなかに断罪刀は含まれているけれど、これ以上七秘宝を無くすわけにはいかない」

「ですが…」

「そもそも断罪刀は傷を癒せる武器じゃない。アキトの傷を癒すには、それこそ人族に奪われた七秘宝、肆星輪ぐらいしかない」

そんな、スフィアのもっともな意見にイグニスは押し黙る。しかし、このまま放っておけばアキトが死ぬのも時間の問題。

「神様、断罪刀にはもう一つの使い道があります」

「それをすると君が死ぬ」

「構いませぬ」

「ほんき?」

「この国のためならばこの命、軽いものです」

そんな、イグニスの固い決断にスフィアは

「…わかった、断罪刀の使用を許可する」

「ありがとうございます」



そして今に至る。

「つまり俺は…」

「その痛みの元となる罪をこの剣で断ち切らさせて頂きました」

おかげで体のあちこちが健在だ。痛みもなく後遺症も残ってない。それはとても有難かった。しかし、なによりも嬉しかったのはこの国が少なからず俺の存在を認めてくれたことだ。それだけでも大きな1歩だ。まだ、俺のことを認めない人たちは多数いるだろう。その中でも衆議?というか恐らくこの国の中でも大臣と同じくらい大事な役割を持った人達が保留にしてくれたのは俺としては大きい。これから事をスムーズに進めることも出来るだろう。けど、今ここで新たな問題が出てきしまった。俺がさっきの大臣の話を聞いて分からないと思えるほど馬鹿じゃない。それに、スフィアの浮かない表情も。大臣の、必死に隠しているみたいだがわかる。額の冷や汗に体の痙攣。俺は気を失う前に確かにあの断罪刀でなにかされた。けど、斬られた感覚はなかった。あれはなんというか殴ったって例える方がしっくりくるだろう。要するに

「大臣、ありがとう。これは俺の頼みだ、俺がいいと言うまで休んでくれ」

「な、何故でしょうか?」

「大臣、お前は断罪刀のもう一つの力とやらを使ったんだろ」

「…」

大臣はそんなアキトの言葉に押し黙る。しかし、沈黙は肯定を意味する。

「スフィア」

「?」

「断罪刀のもう一つの力を教えてくれないか?その性質も」

アキトは真剣な表情でスフィアに断罪刀について聞く。それは今の大臣の症状の原因でもあるだろうから。

「…ん、わかった」

スフィアは少し迷った末、教えることにした。

断罪刀の、そのもう一つの自己犠牲としての力を…。

ケモミミ大好き!

今年もよろしくお願いします!

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