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扉を開けたのは

けもみみだいすき!

「ん…、っつ!」

目が覚めると体のあちこちから激痛が走る。そんなあまりの痛みに目がぱっちりと覚める。左腕、右上腕、腹部、そのどこもが痛い。頭痛も酷い。脚だけは座っていたため無事だ。しかしそれ以外はズタボロ。のはずなのだが…。

「ここは…」

周りを見回すと見知ってる場所だった。というか、もう順応した場所でもあった。ここは王室のベッド。俺はそこに寝かされていた。しかし、なんでここに寝ているのか。少しばかし思い出せない。頭を強く打ち付けたからと言って記憶が無い訳では無い。というか、結構鮮明に残っている。ウルナが自分をかばったことも覚えている。上半身を起こそうとするが腹部の激痛が酷く起き上がれない。

「くっ、これじゃまともに動けない」

当たり前だ。意思をあれだけぶつけられて生きてる方が不思議なのだ。と言うより、ひ弱な人間は最初の投擲で死んでもおかしくなかったはずなのだ。

(あの時は最初の一撃で冷静に考えられなかったけど、よく考えたらなんで俺生きてるんだ…)

タフという言葉で片付けられるような頑丈さではない。

(あれか?ラノベ大好きのご都合主義ってやつ?)

良くありがちな定義ではあるけど、ご都合主義というよりチートな気がする。

(そういえば、ウルナに殺されかけた時も異常に体がおかしかったしな…。ここに来たことで身体能力が変化したのか、あるいはスフィアのお陰なのか?)

神のご加護というのもありえたがどちらにせよ、全部聞いてみないとわからない事だ。しかし、周りには誰もおらず、また、誰かが王室を訪ねてくる様子もない。

(こういう時ラノベならヒロインが付き添って看病してくれてるんだろうな)

これが現実だよな。と心の中で愚痴るのだった。アキトは頑張って脚だけを動かそうとする。が

「ぐぁぁ!」

脚に力を入れるにはどうしてもお腹に力を入れることになる。ということはつまり、激痛を我慢しなくてはならない。脚をブラブラさせるだけなら問題は無いがそれだけでは動けない。このまま動けないままだと何も始まらないのだ。いや、誰かが来るのを待つという手があるわけではない。しかし、事態が事態なだけに早く把握しておきたいのだ。頑張ってなんとか、ベッドに座ることが出来る。

「はぁ、きっついな…」

そんな簡単な動作が今はすごく辛い。それだけで俺の額は汗で濡れる。今まで味わったことのないこの苦痛はとても苦しいものがある。問題はここからだ。立てるかどうか。人が立つ時は常に脚に力をいれて直立が可能になる。そこから直立歩行するには更にお腹に力をいれて全身の筋肉を使うことになる。考えただけで嫌になる。しかし、生きてる以上動かなければならない。今の俺に休息はない。言ってしまったからには、獣人族の投げた石が当たったということは俺は殺される可能性がある。王の言葉が絶対ということは言葉自体が呪いのようなものなのだ。そのままの意味で。だからこそ、生きてるいるのなら俺はやらなきゃならないんだ。神と誓ったことを、スフィアの願いを叶えるために。少し足に力を入れて立とうとするが。

「うぐっ!」

反射的に後ろのベッドに倒れ込んだ。激痛という激痛が体中を走り回る。本当に痛い時は涙さえも出ないかとかいろいろと人間的に気になる部分はあるがそんなことはどうでもいい。激痛で体が動かない。そんな時に誰か殺しに来たなら止まれと命令するだけでいいだろう、そう思うだろう。けど違うんだ。命令はできる。そうすることで俺は死なずに済むだろう。俺も最初はそう考えた。でも違うんだ。これには決定的な落とし穴がある。王たちはこれを使った虐殺もしていたんだ。言葉は呪いだ。今の俺がそれを行使できる。ただ、言葉は言葉なのだ。その人がそれを守らなければ拘束力も何も無い。本来ならそれでよかったんだ。王の言葉は呪いの言葉。拘束力がないという事はどういうことか。俺がその獣人族にそう言って仮に彼が止まらなかったら?俺は確実に言い残れるだろう。しかし、止まらなかったら彼は王の言葉の呪いで苦しみ息絶えるだろう。それは許されない。俺がそんなことはさせない。仮にそんなことをしたら最後。俺は過去の愚王と同じようにあの黒日記に記載されるだろう。そして、全獣人族の勝ち取れてきたいた信頼さえもなくなる。それこそ本当に詰みの状態になる。だから、動かなきゃならない。なのに!

「う、ごけ…っ!」

激痛に抗いながらも体を動かそうとするが全身の筋肉が悲鳴をあげるだけで動かない。

誰かが来る前に早くここを出て状況の把握とその対策を建てないといけない。誰かを待つのに賭けるぐらいなら自分から行動した方が確実だ。しかし動けなければ意味がない。このまま賭けに挑むのは正直厳しい。俺が気を失う最後、俺を庇った白銀色の毛並みを持つ獣人族。確かにあれはウルナだった。なぜ彼女がそうしたのか。それは俺にはわからない。けれど、彼女の存在がイマイチ分からない以上下手に期待出来ない。情報不足は否めない。しかし、過去を悔やめる時間もない。早く先に行かなければ。

「ぐっ、ぅっ!」

必死に痛みを堪えながら起き上がる。その時、王室の扉がガチャっと音を立てて開いた。


けもみみだいすき!

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