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過去の払拭

ケモミミ大好き!

コンコンと、王室の扉を誰かがノックした。ついで、聞き覚えのある声が聞こえてきた。

「王様、イアです。メイドのものから仰せつかりただいま戻ってまいりました」

「入れ」

俺はそう短く答える。すると、扉がガチャと音を立てて開いた。そこには一週間前に俺のことを支えてくれると約束してくれたホワイトタイガーの耳と尻尾をもつ美少女、イアが立っていた。イアは王室に入り扉をしめる。そして、少し不安な面持ちで俺の元に近づく。

「えと、アキト、様?」

俺は肩の力を抜いて息を吐く。そして、未だ緊張しているイアに微笑みかける。

「アキトでいいよ、イア」

その俺の態度にどこか安心したのかイアも緊張の糸が切れたのか息を吐く。

「急にびっくりするじゃない、あんな声で答えられたら」

「すまん、つい」

「もぅ〜。それで、私を呼んだ要件を聞かせてもらってもいいかしら?」

「あぁ、その前に紹介したい子がいるんだ」

「紹介したい子?」

イアが不思議がる。なにせ、今この王室にはイアとアキトの二人しかいないのだから。いくら周りを見渡してもイアとアキト以外いない。そんなイアの不思議に答えるようにアキトがその子の名を呼ぶ。

「スフィア、もう出てきていいぞ」

「んっ!」

「!?」

アキトが名を呼ぶと突然、何も無かった虚空から一人の少女が現れた。イアその人を、いや、知っているのだ。彼女は人じゃない。本能的にそれがわかる。だったらなんなのか、その答えは

「かみ、さま…」

スフィアと呼ばれた少女は間違いなくこの国を作ったとされる神様だった。

「そん、な…」

そして、その神様はアキト、人族の王といるのだ。信じられない光景に目を疑う。あの日、獣人族が人族に負けて以来、神は一度も姿を現すことがなかった。それこそ、この五十年間。ずっと。

「お目にかかれて光栄です」

イアの体は自然と動き、頭を垂れていた。スフィアはそれをニコッと微笑み見守るだけだった。

「イア、頭を上げてくれ」

そう言われて、イアは頭を上げ二人を見る。そんなイアの顔には涙が溢れていた。それにはスフィアもびっくりしていた。どうすればいいのか俺をチラチラと見てくるが俺にはどうしようもできない。そして、神様はどうすればいいのかわからないままとりあえずイアの頭を撫でた。すると、イアはさっきまでポロポロと泣いていたのだがその奥底に隠しきれなかった涙は一気に溢れ出した。俺はそれを優しく見守るのだった。


「少しは落ち着いたか?」

「うん」

あれから数分、ずっとイアは泣き続けていた。つまりそれほどこの出来事は獣人族にとって重大なことなのだろう。スフィアもイアが泣き止むまでずっと頭をなでていた。今では俺の隣にいるが。

「じゃあ、少し話したいことがあるんだが。いいか?」

「えぇ、いいわ」

「それじゃあ単刀直入に言うが明日の昼、できる限りでいい。みんなをこの城の広間に集めてくれ」

「それは別に構わないけど、それからどうするつもりなのよ」

「俺がみんなの味方だと思わせる。それが今回の最重要となる事だ」

「どうやって…、それにあなたのいう愚王の演技はもういいの?」

「もういいよ、必要なくなった。これ以上この国の人たちを悲しませるわけにいかない。もう、涙を見るのはゴメンだ」

「…そう」

俺の言葉をイアは真摯に受けて少し暗くなる。しかし、そんな顔を見たくてこの案を出したわけじゃないので明るくさせる。

「今から俺が、この国の味方だということを全国民に証明する」

「でも、それはどうやって?」

「ついてきてくれ、イア」

そうして俺は王室を出る。イアとスフィアも俺の後ろをつけてくる。俺はそのまま王城を出る。そこには大きい広間があった、千人は普通に入れるほどの。そして、そこには

「なっ!?」

「?」

そこには全国民とまでは行かないがこの国のほとんどの獣人族たちがいた。イアはその光景びっくりする。さっき来た時は誰ひとりとしていなかったこの広間に、唐突にしかもほとんどの人口がここに集まっているのだから。しかし、そこにいるもの達はみんな怯えた空気を出している。なにせ、この状況は一つの黒歴史と重なっていたから。過去、一人の愚王は獣人族の殆どをこの広間に集めた。そして行ったこととは何か。決まっている。大量虐殺。仲間同士で獣人族達を殺し合いさせそれを高みの見物をする。それはもう地獄だった。盟約により王に逆らえない獣人族はそれに従うしかなかった。中には家族を、友達を、愛すべき人を自らの手で殺していった。中には見てられなくて放棄した者もいた。そいつらは容赦なく王の手によって首をはねとばされた。そしてまたある者は王に刃を突き立てた。しかし、それは盟約により守られている王に届くことはなく、刃は折れ、その者は苦しみながら息絶えた。地が飛び通い悲鳴が絶えない日々がそうして三日間続いた。その間、終始王は笑っていた。これが王であるということだと。その絶望から生き残った者達も当然この集められた中にいた。


ケモミミ大好き!


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