きっかけ
ケモ耳大好き
俺がしばらく背中をなで続けていると神様は落ち着いたのか、泣き止んだ。俺はそっと神様を離す。目の下は赤く腫れていたが笑顔だった。
(俺に守れるのだろうか、この笑顔…)
ふとそんなこと思う。
(けど、もう答えは決まってるんだよな)
俺は再度、心に強く打ち付ける。俺がやりたいことを。やらなきゃいけないと思ったことを。
(守る、それが今の俺のやるべきことだ)
その言葉が心に響く。地球ではないどこかの世界、そんな世界に俺は地球からいきなり転移させられて、しかも、急にこの国の王様になるだなんて。どんだけハッピーなんだ。けど、もっとハッピーにするには俺が変えなきゃいけないんだ。今ここで自由にやれるのは俺だけなのだから。バッドエンドもデッドエンドも俺は望まない。俺が望むのは王道なハッピーエンドだけだ。
(やろう、地球に心残りがないわけではないけれど。今ここでやるべきことが出来たんだ。それにあの世界に戻れるわけじゃない。今ここでの生活が今の俺の人生なんだ。だからやるぞ、ハッピーエンドにするために)
俺は神様を見る。神様も俺を見る。そこで改めて認識させられた。やっぱり、幼いものの可愛いなって。こんな状況で何言ってんだって思うかもしれないけど。
「あ、そういえば名前はなんていうんだ?」
「名前?名前…ない」
「ない?」
「うん!」
神様は元気よく頷く。しかし、神様に無名ってどうなのだろうか?
「うーん、じゃあ、君がよければだけど俺が名前を付けてもいいか?」
「名前、くれるの?」
「え、あ、あぁ。ないと呼ぶ時不便だろ?」
「ほんとに!?」
妙にこの神様は子供っぽい。それでも、神様なんだってことはさっき分かったのだから。まぁ、外見とマッチしてて何ら不思議には思わないけど。
「あぁ、なんかこういう感じのがいいとかある?」
「アキトが決めてくれるならなんでもいい!」
「そ、そうか…」
うーむ、どうしようか。そこで、あの浮遊する球状の宝石が目に入った。それでピン!ときた。
「スフィア…。スフィアなんてどうだ?」
「スフィア?うん!いい名前!」
どうやら気に入ってくれたようだ。俺はほっと胸をなで下ろす。仮にも神様だからな。スフィアはよほど気に入ったのか俺にダイブしてくる。俺はなんとかこけそうになりながらも受け止める。スフィアは俺の胸元で頬擦りをする。なんだか変な気分だな。けど、悪くない。俺はそんなスフィアの頭を撫でる。
「これからよろしくな、スフィア」
「うん!」
スフィアは満面の笑顔で返事する。その笑顔は、まさしく神に勝る笑顔だった。
(さて、改めて始めようか。王の尊敬を取り戻すために)
ケモ耳大好き




