シンデレラのお母さん
頭の中、真っ白だった。
パタン。ドア、閉まった。弁護士、帰った。
「お母さん!?どういう事!?」
私は叫んだ。復活。
今まで燃え尽きていた。
自分が「母の子では無い」かもしれない事。
そして「財閥のご令嬢」?
地雷すぎる。
説明!説明してよ!お母さん!?
六畳一間の畳に座り、ゆっくりとお茶をすすっている母。
しかも、それは弁護士に出していたお茶とお菓子では無いのか。
睨みつけていると、母はゆっくりと言った。
「いつか、そんな日が来るんじゃ無いかと思っていたわ」
「・・・・・・・・・」
うん。そ・・・・・う。
って、説明!
説明になって無い!!
何故か納得しかけている自分に喝をいれ、母の正面に座る。
「どういう事、です、か。私が、お母さんの子供じゃないって。」
敬語になったのは、目の前にいるのが「お母さん」では無い事がちょっと理解出来てきたからだ。
本当は「実は全部冗談の嘘でした」とか言って欲しい。
でも、それはさっき否定されている。
弁護士のお墨付きもある。目の前に名刺という証拠もある。
ドッキリという線は・・・・・あるのか。
カメラは?
私がそんな事を考えている間に、母はお菓子を食べ終えて、話し始めた。
「あれは、雨の日の事だったわ・・・・・・」
「ちょっと、待って。」
何だか、不安になってきた。
主に、カメラの存在とか。
「大丈夫。川から流れて来たとか、ダンボールから拾ったとかは言わない。」
むしろ、言って欲しいのですが。
いま、それを心から望んでる。私。カモン。
「海から流れてきた。」
本当!?
やったー、やったよ、びっくりしたよ。
私が、財閥のご令嬢とか荷が重すぎる。良かったぁー。
冗談だったか、うんうん。
カメラは?
さぞ、いい絵が撮れたでしょう。
誰が見て喜ぶかはわから無いけど。弁護士さん役もありがとう。
いい演技だったよ、すっかり騙された!ありがとう!ありがとう!
ちなみに、こんなニーズの無いドッキリ考えた奴、誰ですか?
「冗談よ」
ーーーーー信じないよ?
「嘘でしょ」
「海から流れてきたのは、嘘」
どっち。
母はーーーーいや、今まで母だと思っていた女性は、話し始めた。
10年前のある日。「雨の日だったわ・・・」
まだ引っ張るの・・・それ・・・。
同級生の男が訪ねてきて「預かって欲しい」と女の子を連れてきたらしい。
その女の子が私。
「いつになっても迎えにこないから、どうするのかと思っていた。」と聞いて、私は脱力した。迎えにこないなら、他にやる事があるんじゃないの・・・・・・お母さん。
ーーーーーいや、お母さん改め、小鳥遊彩子は言った。
「迎えに来たんだから、いいじゃない」
「・・・・・・・・」
そういう問題?
うん、と頷く女性。
それは・・・・・どうかと思うよ。
彩子さん。
これって、現実?
ほっぺをつねってみた。痛い。
とりあえず、家の中にカメラが無いか調べてみた。
カメラは、無かった。