表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/53

シンデレラ、見つかりました。

中学校から家に帰ると、母親が誰かと話していた。

しかも男の人。


これは再婚!?

再婚あるのか!

ーーー母子家庭じゃなくなるのか。

・・・・・・・・母の性格を考えると、そこは微妙だなぁ・・・・・。

邪魔はしない・・・・・。そおっと、私は家の中に入る。


あおい、ちょっとこっちに来なさい。」

お母さん!?

ちょっと、空気読んで・・・・!!お邪魔しません、どうぞごゆっくり、おふたりで・・・・・

だが、手招きされてしまっては仕方がない。

見知らぬ男性もこちらを見ているし・・・・こんにちは。

軽く会釈をして、母の隣に座る。男の人とは正面に座る形だ。

居心地悪い・・・・なんで呼んだの、お母さん・・・・。


「葵、これから大切なお話があるの、驚かずに聞いてほしい。」


・・・・・・これは、結婚?

いや、再婚?再婚なの!?


ごーん、ごーん、と私の頭の中でウエディングベルが鳴る。


お母さんのウエディングドレス姿・・・・・おおぅ、歳をとると似合わないドレス多そう・・・・・。


「葵?」

痛い、腕をつねらないで!痛い!地味に痛いよ!お母さん!

笑顔の表情には、「何か、失礼なこと考えてない?」とある。

いいえっ!そんな事考えておりません、流石母親・・・・


私とお母さんが、目と目で会話していると、お母さんの結婚相手(仮)がごほん、と咳払いした。


「では、私は、こういうものと申します。」

名刺を渡された。しげしげと眺めると・・・・


弁護士、さん?


すごい、すごいよ、母さん!

こんな優良物件どこで見つけてきたの!?職場は・・・接点なさそうなのに!

おお、すごい・・・・弁護士という印籠に私はひれ伏した。


ははー、母を末長くよろしくお願い致します。

もう、全面降伏だ。喜んで差し出します、いえ、差し上げます。

このような母でよろしいのでしたら・・・・・・


「葵、落ち着いて聞いてほしいの。」


母が神妙な顔で切り出した。

あっ、顔に出ていたらしい・・・・つい興奮して、鼻息荒くなっていたらしい。

落ち着こう・・・・深呼吸、深呼吸。


うん。大丈夫。

母は頷くと、何度か口を開きかけては閉じる・・・・を繰り返した。

そんなに言いづらい事なの?

だいたい見当はついているんだけど・・・・。ちらっと弁護士を見る。


「・・・・・・葵、実はね・・・・あなたは、うちの子じゃないの。」


え。


静寂。時計の針の音が聞こえる。


嘘、


え、これは、本当?


母と弁護士の間を行き来する。

冗談を言っている顔ではない。ふたりとも大真面目だ。


思考が高速で動き出す。

え、やっぱり?いや、気づいてた?

なんて言うべき?

そう考えてみれば、私とお母さんは似ていない。

むしろ似てるって言われた事がないような・・・・でもそんな事・・・親戚付き合いも皆無だったし、むしろ親戚といえば・・・・あれ?


「・・・・・・・・」


結局、何も言う事が出来ない。

沈黙の三つ巴。


「・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・」


・・・・・・?

やっと、自分で口に出した言葉は


「えっと、冗談なの?」


「冗談じゃない。」

即答だった。

こんなところで、冗談言わないでしょ、と顔が語っている。

分かってるよ、でもそれしか言う事ないもの、どうゆう事なの?


「説明させて頂きます」


今まで空気だった弁護士が、口を開いた。空気読める男!!


「貴女は、三原みはら財閥のご令嬢です」


二度目の爆弾が投下された。


「・・・・・・・・・・・」


えっーーーと。


反応出来ない・・・・・

この雰囲気は、なに・・・・・・しかも、今度は裏切り者の予感。


横目でチラリと、裏切り者(候補)をみる。


もしかして知ってた?

おかーさーん。

ここで、頼れるものは家族。妹弟はいない。母だけだ。

おかーさーん。


「・・・・・だから、うちの子じゃないって言ったでしょ」


スパッと切られた。切れ味良すぎて、切られた事に気づけないよ・・・・。

じゃあ、私はどこの子?


私は救いを求めて、正面を向く。

弁護士は、その能面みたいな顔で言った。


「その通りです。」


・・・・・・・・・・・もう何も期待しない。

もう何も説明に、なってないから!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ