決着の時
まずは晴人の先制。
詠唱無しで造った複数の尖った岩を蒼真目掛けて飛ばす。
「………ふん」
それを蒼真は闇魔法で吸収し、防ぐ。だが、その時点で自分の足元の異変を感じた。
「気付いたようですが…遅いです」
先程と同じように、地面が蒼真の体を覆い尽くそうとしていた。凄い勢いで体を覆ってくる。
「……同じ手を喰らうか」
それだけ言うと蒼真は両手を広げて闇を自身の体に纏わせた。完全に闇に覆われると闇は地面に吸い込まれるように消えてしまう。
「……地属性には地面に隠れても無駄です」
すかさず晴人は両手を地面に付けて目を閉じる。
どこからかゴゴゴゴという地響きが聞こえてその瞬間、地面から数本の岩の塊が突き出た。岩の塊は会場の全てを覆う。
「………そこですね」
何かを掴んだのか、晴人は微笑む。
左手をグッと握ると今までの岩の塊より十メートルを超える岩の柱と共に蒼真の姿が見えた。
「……クッ………地属性はこんな攻撃も出来るのか……どうやら甘く見ていたようだ」
蒼真と晴人は傷だらけのボロボロだった。
しかし、両者のプライドや仲間の為にも絶対に負けられない。
「……私は負ける訳にはいきませんから」
「……ならば、互いが渾身の一撃を出して決着を付けるのはどうだ?」
ようするに一発勝負という事だ。
お互いが持ってる力を全て出し、一撃の力に込める。泣いても笑っても今度こそ決着が付く。
「……なるほど、それは良い案です」
そう言うと晴人の体の周りから魔力が溢れ出して来るのが見える。淡い黄色のオーラが静かに増幅していく。
一方で、それを見ていた蒼真も同じく神経を集中させる。しばらくすると晴人とは違う、禍々しい闇のオーラが蒼真を包む。
全魔力を球状に放出し、それをぶつける。
これが蒼真の言う勝負だ。
「……私の全魔力を込めて、あなたを潰す」
「それはこちらのセリフだ。闇こそが絶対的な強さ。最強の力を思い知るが良い」
両者が両手に全魔力が具現化した球状の魔力を持つ。
晴人は黄色でそれを蒼真は闇だ。
二人が走り出すのは一緒だった。
二人の魔力がぶつかり合う、その時
パアアアアアアアン
耳鳴りのような感覚の後、爆発した。
視界が一瞬だけ真っ白になる。
砂煙が立ち込め、視界を悪くさせる。
気になるのは勝負の行方だ。
最後に立っていた方が勝ちとなる。
砂煙が収まるのをここに居る全員がドキドキしながら待ち続ける。そして、決着の時は訪れた…。
オオオオオオオオオオ!!!
歓声が起こる。
あまりの熱戦に拍手をする者も居た。
トーナメント会場のほぼ真ん中辺りに、ボロボロになりながらも気力だけで立つ者が居る。
『物凄い試合でした……しかし、今ようやく決着が付きました………勝者は、Aクラス 黒曜 蒼真です!』
最後まで立っていたのは黒曜 蒼真だった。
しかし、優勝のアナウンスの途中で安心したのか、倒れてしまった。




