AクラスとCクラス
会場に行くと代表に選ばれた生徒達が既に並んでいた。周りを囲むように観客席が置かれていて全校生徒で溢れかえっている。
「す、凄い気迫だね…」
「朱里ちゃん…表情硬いよ大丈夫?」
ぐるっと観客席を見渡すとやけに目立つ所がある。そこは悠真達のクラスである一年Cクラスの応援席だ。垂幕には「絶対勝負 頑張れ、Cクラス」と黒地の布に白い文字でデカデカと書かれている。そして応援席の一番前にはチアガール姿の悠那が両手にボンボンを持ち踊っていた。
「ったく……恥ずかしい奴らだな」
「えへへ。でも嬉しいね」
恥ずかしいと言いながら皐月の表情はどこか嬉しそうだった。
「お、来たな悠真」
聞きなれた声がする。
振り返ると案の定、朝日先輩だった。
「あーちゃん先輩! もう来てたんですね。それにしても凄い賑わいですよね」
「だな。ほら、来賓席には十傑の皆さんが居るぜ。勿論、柊の当主もな」
ちょうど後ろの観客席の二階には椅子が並べられている。そこには顔馴染みの人物も居た。柊の当主である源十郎や龍王の姿もある。
「……あ、お父さんも来てくれたんだ」
(……前園の父親…か)
隣から前園の安心したような声が聞こえた。来賓席を見てみると一人、正装姿の人物が居る。黒を基調としたスーツ。髪はきちんと固めてあり、黒い眼鏡をしていた。仕事が出来そうな風貌だ。
「十傑って言っても全員来る訳じゃねぇんだな。で、正面は我らが学園長様だ」
続いて悠真達は来賓席から正面を見る。すると来賓席と同じ観客席の二階に席があった。
「こら朝日! 集合ですよ。君達も集合ですよ、走りなさい」
遠くから氷乃の声がする。
「やばっ!ほら、早く並ぶぞ」
一年のAから二年のCクラスまで並ぶ場所がある。悠真達は朝日と分かれ、自分達の場所に移動する。
「げっ」
勿論、一年Cクラスの隣はBクラスだ。
互いにライバルと認める両者だからこそ、勝負は真剣勝負だ。
「…まさか本当に我々を倒すつもりじゃないだろうね? 冗談はよしてくれよ」
隣りに並ぶリーダーである東藤は嫌味をわざと聞こえるように言った。後ろの皐月は今にも飛び掛かりそうだったが朱里が止める。
「……余裕でいられるのも今だけだ」
「なっ! クッ……お前らなんかすぐ倒してやる」
『…本日はお忙しい中、お越し下さった来賓の皆様ありがとうございます。これより第一回 入れ替えトーナメントを開催致します
学園長、お願いいたします』
進行者の声が会場中に響く。
その声に士気が高まり、歓声が響いた。
正面の席に老人が現れた。白い髪と髭は仙人のようだ。学園長はマイクを受け取ると話し始める。
『…暁学園の諸君、いよいよこの時がやって来た。この時の為に諸君は体を鍛えた事だろう……これまでの苦労はここで果たすのだっ! これにて暁学園、入れ替えトーナメントを開催する』
学園長が挨拶を終えると観客席から物凄い歓声が上がった。鼓膜が破けるんじゃないかというぐらいにうるさい。
『そ、それではトーナメントを開催します。順番は学園長により発表して頂きます』
『ふむ。まず一番目は二年生から始める。まずは二年 AクラスとCクラス、前へ』
最初は二年生から始まった。
いきなり朝日達が居るCクラスとあの黒曜 蒼真がいるAクラスだ。
「…ふん。命拾いしたな」
「んだとっ!」
「ダメだよ皐月君」
東藤はその一言を言うと行ってしまった。
「…いきなりAクラスとなんて。どうして運が無いんでしょう」
「氷乃、落ち込むなよ。Aクラスに勝ってBクラスにも勝ってやろうぜ」
やはりいきなりAクラスとは精神的にも来るか。だが朝日先輩の性格が上手く機能してる。
「あーちゃん先輩、氷乃先輩、晴人先輩、忍先輩。絶対に勝って下さいね!」
「お前………おぅ、俺に任せとけっ」
「我々は勝つ気で行きます。さぁ、あなた達も早く行きなさい」
AクラスとCクラス以外の生徒は自分達の番が来るまで自分の部屋で待機という決まりだ。
名残惜しいが俺達は部屋へ向かった。
「遅い。まぁ、気持ちは分かるがな」
「先生……あ、これ」
頭上に巨大な紙が浮いていた。どうやらここに試合の映像が映し出されるのだろう。現に二組だけになったAクラスとCクラスは向き合っている。
『ではこれよりAクラスVS Cクラスの試合を始める。両者、正々堂々と戦い全力を尽くすのだ』
学園長の言葉と共に両者は左右に分かれ、距離を取った。




