トーナメント開催 前夜
性別逆転騒動から5日後、既にトーナメント開催 前日となっていた。騒動で1日無駄にしてしまったがその時間を巻き返すように修行に明け暮れた。そしていよいよ開催前日となったのだ。
「………」
そう言えば突然、トーナメントを開催すると言われてからあっという間に時間が過ぎた。修行に明け暮れながらも色々な事があったな。柊と悠那、謎の集団である禍罪の者。悠人との再会……そして悠人が言った裏切り者の事。
悠真は自室のベッドに横になり今までの事を振り返っていた。
思えば俺が暁学園に入学して、Cクラスだと分かり、古株寮で仲間に出会った…。
トン、トン
ドアをノックする音がする。しばらく無視していると小さい声が聞こえてきた。
「…悠真、居ない?」
何だ前園か。
「開いているぞ……何の用だ」
ドアに向かってそう言うとゴニョゴニョと何を言っているのか分からない声が聞こえる。
「…ハァ」
このままでは埒があかない。
悠真は上半身を起こして頭を掻くと、小さな溜息を漏らしてドアに向かって歩き出す。
ガチャッ
「ひゃっ!」
ドアを開けると赤面する前園の姿があった。服は制服じゃなく、外に出かけるのか少しオシャレな服だ。前園は小さな悲鳴を上げるとモジモジし始める。
「…何か用か?」
「う、うん。もうお昼でしょ?だから昼ご飯と悠人さんの事も含めていっ、一緒に食べに行かない?」
ボソボソと言いながら、だが確実に用件を伝える前園。
それにしても もう昼か。
「…あぁ。どこへ行くんだ」
「え、行ってくれるの!えっとね、悠真が行きたい所で良いよ」
行きたい所か……よし。
俺と前園は昼間の少し暑めの時に寮を出た。
「何にしようかなぁ〜」
昼ご飯は悠真の希望で近所のファミレスに決まった。店内に入ると冷房が効いていて肌寒い。そんなファミレスの一角に悠真と朱里は居た。朱里はメニューを見て嬉しそうに迷っている。一方の悠真は既に決まったのか氷が入った水を飲む。
「…まだ決まらないのか」
「あっ!ごめん、お腹空いたよね。それじゃあ私はこれで良いや」
店員に注文を頼んで悠真と朱里はまだまだ無言の時間を過ごしていた。
(ここは誘った私が話し掛けなきゃね!)
「ねぇ、悠真。悠真は何を頼んだの?」
「俺はあまり食欲が無いからな…甘い物を頼んだ」
「へぇ!悠真って甘い物、平気なんだ!」
普段、悠真の事を全く知らない朱里は些細な事でも嬉しかった。
「お前は嫌いなのか?」
「へ?う、ううん。甘い物は私も好きだよ!
私はねぇ、お子様ランチを頼んだんだ」
お子様ランチ…は確か子供が食べる御飯だったな?
少し変わってるな前園は。
「お待たせしました。こちら、スペシャルパフェとお子様ランチでこざいます」
しばらくすると店員が料理を持ってやって来た。朱里は興奮した面持ちでお子様ランチを見ている。一方の悠真は平常心を保ちながらもパフェを見て目が輝いていた。結局
、どちらも似た者同士のようだ。
食事を終えると辺りは綺麗な夕暮れに包まれていた。外は相変わらず肌寒い。
「ふぅ……今日は楽しかったね…………いよいよトーナメントは明日だね」
朱里と悠真は横に並んで一緒に学園へと歩く。その帰り道、呟くように言った朱里。
「明日はB組に勝つ」
そして夕日に向かって力強く宣言する悠真。その言葉を聞いた朱里は何故か嬉しくてたまらなかった。
「おっ! おせーぞ悠真、朱里」
寮に帰ると中は何かのパーティをしているような賑わいだった。Cクラス担任である秋葉の姿もある。
「今日って誰かの誕生日でしたっけ?」
「いや違う。明日はトーナメント開催日だろ?だから絶対勝つっていう景気付けだ」
「そーいう事よ。明日はCクラス、目指せ優勝!そしてついでにAクラスになりなさい」
このパーティの準備はほとんど秋葉がやったらしい。秋葉の言葉に強く、明日のトーナメントでの優勝を誓った。
「うわぁ〜。美味しそうな料理」
「料理は氷乃と忍が作ったんだぜ」
氷乃と忍が作ったという料理は全部が食欲を増幅させるような匂いを放っている。例えばテーブルの真ん中に置いてある一際目立つ豚の丸焼きはこんがりと焼かれていて見てるだけでもよだれが出そうだ。そして他にも様々な料理がテーブルを埋め尽くしている。
「兄貴っ! 兄貴の分も持って来ました」
「あぁ」
「涼ちゃん、これ美味しそうだよ」
「はい。そうですね」
「ダメですよ!これは晴人君の分ですっ」
「はぁ?本人食べるなんて一言も言って無いだろうがっ」
「よーし、明日は一年も二年もAとBに勝つぞー!」
「「「おーーーーーーーー!!」」」
それぞれが思い思いに楽しみ、また明日に向けて鋭気を養えただろう。全ての決着は明日決まるのだ。
何だか長くなりました!
すいませんm(_ _)m
そして次からはいよいよ入れ替えトーナメント開催です!
楽しんで頂けたら嬉しいです!




