逆転パニック6
「どうしますか兄貴……アイツの事を信じるんすか?」
「………」
「あぁーっ!そこ、コソコソ何してるのっ。もしかして悪口?いけないんだーぁ」
俺と皐月がコソコソ話すのを見て紅いフードの者は指を指しながら何かを叫んでいる。
「ムムーッ………こうなったら力ずくでも連れてくからね!皆、滅びちゃえっ」
紅いフードの者は両手を前に向けると水色の魔法陣が浮かぶ。どうやら敵は氷属性らしい。
「攻撃が来るぞ! 俺の後ろに隠れろっ」
氷属性の攻撃は炎属性である俺と相性が良い。すぐに指示すると全員が背後に移動する。それを見計らい俺もすぐに詠唱を唱える。
「…炎の精霊王の名の下に、我は見透かす者なり。
ル・グレスト・レ・アルマージ!」
詠唱を唱えると正面に赤色の魔法陣が現れる。
悠真は紅いフードの者を見る。あちらは既に詠唱は終わっていた。いつでも発動出来る状態だ。
「……クッ」
「私もやるっ!
ディ・アクト・レ・キール・エル・モーション・バイオレット」
俺の表情で察したのか、同じ属性の悠那も隣りに来て詠唱を唱えた。
「ふふん……エリシャを馬鹿にした罰だ…喰らえー」
エリシャと名乗る紅いフードの者は叫ぶと魔法陣から一直線に氷の塊が向かってきた。
「来たぞ!詠唱は終わった、発動する!」
悠真の魔法も発動し、魔法陣から勢いよく炎が飛び出す。
向かってきた氷の塊と悠真の炎が激突すると物凄い水蒸気で視界が悪くなる。
「…何という力だ……押されている」
「えへへ、無理だよぉ〜。エリシャの魔法は少し特殊だからねぇ………えっ?」
異変は突然起こった。
紅いフードの者が突然倒れたのだ。紅いフードの上から木の枝が肩に刺さっている。
「…りょ、涼ちゃん?」
朱里の困惑したような声に後ろを振り返ると木の枝を持つ涼の姿があった。体にはビリビリと電気が身に纏っていて触るとビリっとなるだろう。誰が紅いフードを攻撃したのか一目瞭然だ。
「皆さん……どうかしました?」
当の涼は何故自分を見るのか分かっていないようだ。
だが、微笑む涼はいつもと何かが違っている。
「どうかしたかじゃねぇよ!あいつは敵だけどまだ小学生だぞ」
「あ、あれはやり過ぎだよ涼ちゃん」
「…………」
確かにやり過ぎだが…やはり何かがおかしい。
浜野を見るとどうも胸がざわつく。
「痛い、痛いよっ! 酷い。こんなか弱いエリシャによくも酷い事を……っ!?」
何ともなさそうに立ち上がるエリシャ事、紅いフードの者は涼に痛い事をアピールするが途中で言うのを止めてしまった。
「何だ? あいつどうしたんだ」
「お腹でも痛いのかな」
「………」
「…も、もしかしてお前はブラッーーーーーーーーー」
「…エリシャ、お喋りは禁物だよ」
「…なっ!」
一瞬だった。
エリシャが涼を見て何かを喋りそうになった時、後ろから同じ紅いフードの者がエリシャの口を塞いだのだ。
「……この声は…」
「…ん……ふーとはまっ!」
「……やぁ、悠真。しばらくぶりだね…それに悠那も元気そうじゃないか」
「…っ、悠人!」
柊を裏切ったという事もあり、悠那は悠人を睨む。
だが睨まれても悠人は笑っている。
「…まぁまぁ、そんなに怒らないで悠那。今日は機嫌が良いから元の姿に戻してあげるよ」
悠人はそう言って左手で指を鳴らした。
パチンという音は悠人を中心に広がっていく。
「何だ? 何も起きないぞ……って兄貴!」
「…何だ、俺がどうかしたのか」
「あれ…わ、私…元の姿に戻ってる?」
悠真も真実を確かめる為に自分の体を恐る恐る確認してみた。
「…!!」
結果大きくて邪魔だった胸はすっかり無くなり、ぺったんこになっていた。続いて髪を触ってみる。するとやはり長かった髪が元の長さになっていた。




